第72話

 おいおいおいおい、どういうことだ?


 デスゴーンの他にも敵がいるというのか?


 おいおい、冗談だろ?


 余には魔法少女もいるのだぞ、それに加えてデスゴーンと余を怪人化にしようとした奴がいるのか。


 ただでさえ魔法少女に手こずっているというのにさらに敵が増えるのか。


 いや、ちょっと待て、まだデスゴーンが余を忘れている可能性がある。


 デスゴーンはこれまで数々の人間を怪人化にしてきたはずだ。


 だから、その数々の中からの一人なんか覚えているはずがない、そうに違いない。


 そうでなかった場合、デスゴーンの他に一体、二体、三体、いや、桁が違うかもしれない。


 もう余は魔法少女だけが敵ではなくなってきたな。


 余は魔法少女だけが敵とばかり考えていたが、それ以外にもいるとなると余はまだ強くならないといけないな。


 


 おい、ちょっと待って。


 この夏休みにやった感謝や褒められるという弱点を克服することってもしかして無駄だった?


 こんなことをしても余は強くならないぞ。

 

 というか、感謝や褒められるを克服するってなんだ?


 なんか余が感謝や褒められることを前提にしていないか?


 余は感謝をされることや褒められることはもう今後ないことなんだぞ。


 それなのに余は、余は、一体余は夏休み何をしていたのだ。


 ***


 とうとう夏休みも終わり、二学期になってしまった。


 夏休みを取り返そうと寝ずにトレーニングと魔法の特訓をしていたら、逆に寝不足になって元気が出ずに過ごしてしまった。


 いい加減学べよ。


 余はあのクラス劇で何を学んだのだ、余は寝なかったら普段の力が出ない。


 なのになぜ余は同じ過ちを繰り返してしまうのだ。


 もう嫌になってくる。


「う〜の〜くん。おはよう」


 余の敵である魔法少女の桜井莉緒だ。


「ああ」


「今日から二学期だねー。二学期もよろしくね」


「ああ」


 はぁ〜なぜ敵である魔法少女とこんな仲になってしまったのだろう。


「宇野くんは花火大会以降何やってたの?」


「何もやっていない。バイトぐらいだ」


 敵に余の特訓のことを言えるわけがない。


「へー」


「おー宇野。学校か?頑張ってこいよ」


 魚屋のおっさんが声をかけてきた。


「ああ」


「?」


「あー宇野くん。学校かい?頑張ってきてね」


 近所のおばさんが声をかけてきた。


「ああ」


「??」


「宇野〜また手伝いに来てね〜」


 八百屋のおばさんが声をかけてきた。


「暇だったらな」


「???」


「お、宇野じゃん。また海に行こうな」


 クラスメイトの男が声をかけてきた。


「そうだな」


「????」


「あ、宇野くん。お母さんがありがとうって、またご飯食べに来てね、だって」


 クラスメイトの女が声をかけてきた。


「時間があればな」


「?????



 


 どういう夏休みを過ごしたの?!












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 異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました

という作品も書いているのでぜひ見てください。

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