第73話
「ちょっと待って。どういう夏休みを過ごしてたの?」
こいつは隣の席だからいい加減席替えしてほしい。
うるさいな、余はそれどころではないのだ。
もしかしたら余の敵はもっと多くいるのかもしれない、ということで悩んでいるのだ。
それにお前らにも関係あることだからな、まぁこいつらには黙っておくが。
「ただボランティアをしていただけだ」
「ボランティアしていただけって、どれだけのことをやったらそんなに人から感謝されるの?」
「余にとったら些細なことだ」
余がちょっと20キロ離れたところにおつかいに行ったり、普通の人間だったら3日かかるところを3時間で終わらしたり、500kgの荷物を一回で運んだりしただけだ。
「ボランティアやってたの私たちだけだと思ってた」
そうだったな、良い思い出はないが魔法少女の奴らにもボランティアしていたな。
今思えば敵にボランティアをしてやるって余は正気か?
「どれくらいやったか覚えてる?」
「100いってから数えていない」
「え?」
数を数えることで余がどんどん強くなっていっていると思って数えていたが100いってからはめんどくさくなった。
「ひゃ、100?」
面白いリアクションをとるなぁ。
「おはよー」
「おはようございます」
他の魔法少女である高宮千沙と九重菫が余の席にやってきた。
いや、魔法少女どもが余のところに来るなよ、しかも余の席に集まりやがって。
「どうしたの?何の話?」
高宮千沙が余たちの話が気になったのか、何の話か尋ねてくる。
「宇野くんが夏休み中にボランティア100以上もやってたって話」
「100?!」
「さすがです。宇野さん」
高宮千沙は驚いているが九重菫はなぜそんなに嬉しそうなのだ?
「でもそうだよね、お母さんもボランティアしてる私のクラスメイトがいるってことで宇野のこと知ってたからびっくりしたもん」
そんなに余のことが広まっているのか、さすがは余だ。
「また演劇部に来てくださいよ」
九重菫が余に引っ付いてきた。
「ええーい、引っ付くな、うっとおしい」
余は九重菫を引き離す。
「え〜いいじゃないですか〜」
「ダメだ、離れろ」
面倒な奴だな。
「あの菫ちゃんが誰かに甘えてる…」
「菫どうしたの?」
そんなにこいつが誰かに甘えるのが珍しいのか?珍しいのは別に良いのだが、なぜ余なのだ。
他にもっといるだろう。
「あ!話変わるけどもうすぐ体育祭だね」
「あー、そう言えばそうだね」
「楽しみですね」
体育祭かぁ、まぁ余には関係ないことだ。
「宇野くんは種目何に出るの?」
「余は出ない」
「どうしてなの?出れば良いじゃん」
「宇野さんのカッコいいところ観たいです」
余が出るわけがないだろ。
だって
「余が出たら絶対に勝ってしまうだろ」
「「「あ〜」」」
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