第11話 プリフォーのキャンプ合宿初日(後編)
PM17時。
来た道を行くのではなく道沿いに歩いてコテージに戻る、再度山を登るわけではないので体力的には楽だ、帰りは皆疲れていた感じではあったが充実した顔をしていた。
PM19時。
コテージに到着後、バーベキューの準備に取り掛かった、と言うかすでに準備はされていたので焼いて食べるだけだ、肉、魚、野菜、等並べる、パチパチと火花が散る、串にささった肉を彗夏が豪快にかみついたら負けじと臣もむしゃむしゃ食べる、心と伊莉愛も今日のワークを振り返り賑やかな夕食の時間になった。
PM20時10分。
食事も終え、コテージ内、中央のテーブルで今日体験したこと、気付いたこと、反省点、明日の課題などを4人に書かせる、俺は一人用の机で明日のやることをまとめていた。
「私たちもそろそろ露天風呂に行きましょう」
心が声をかけてきた、周りを見渡すと他のメンバーがいない、俺が不思議そうな顔をしていると、
「皆5分前に出ましたよ」
とのこと、思ったより集中していたようで3人が出ていくのを気付けなかったようだ、俺と心は並んで露天風呂へと向かう。
「今日のレッスンは面白いですね、メンバーの考え方と言うか同じ体験しているのに違う感じ方をしていて、それを共感する、とても勉強になります」
「あのワークはリルが考えたんだよ、あいつ教えてリル先生をやっていた時、子供の悩みを聞くコーナーがあっただろう、番組終了後、振り返ってみて的確に悩みを答えることが出来たのだろうかと、あんな答えで良かったのだろうかと悩むこともあったみたいでね、で、番組も終わったことで時間もあるし心理カウンセリングの資格を取るために勉強始めたんだよね、本当凄いやつだよ」
「還流さんも凄いですよ、ちゃんとワークを理解していないと私たちは何をして良いのかわかりません」
「俺は書かれていることをそのまま伝えているだけださ」
心はやや強めの口調で
「いえ、還流さんの指導のおかげです」
何に対しての返答だったかは忘れたが前も心に対して同じようなセリフで返事したような気がしたが、
「ありがとよ」
と伝える。
その後お互い暫く無言で歩いている、そこには緊張感はなく無理にしゃべる必要はない、少なくても俺は自然体なままでいられた。
沈黙を破ったのは心だった。
「初めて出会った時のことを思うと還流さんとこんな風に話せるとは思っていませんでした」
俺は苦笑いをしながら、
「そうだな」
と答える。
「私男性恐怖症になりかけたんですからね!」
「えっ本当か?」
「あ~、いや、これはまぁ大袈裟な言い方ですが、でもしばらく年上の男性に対して恐怖心はありました」
俺がすまなさそうな顔をしていると、
「ごめんなさい、困らせてみたいで、今は何とも思っていないので気にしないでください」
気にするなって言われてもなぁ・・・・。
「ですから」
「心おねぇちゃ~ん! 早く早く~!」
臣が露天風呂の入り口で手を振っている、彗夏と伊莉愛も待っていた、じゃあまた後でな、別れ際に伝えると心は笑顔で一言。
「責任取ってくださいね」
そう言って三人の元へ走って行った。
責任か・・・・女優業、アイドル業を成功させてくれってことだろうな・・・・。
露天風呂、足を湯に入れるとポカポカして暖かい、そのまま奥の方へ進む、すると狭い通路があり人気がなくシーンとしていている、どこまで続くのだろうかと進んでいくと、一人で入るには十分な広さの場所へと到着した、ちょっとした隠れ湯的な場所だろうか、誰もいないのでまったりくつろぐ、パチャッっと音がしたので振り返ると煙で良く見えないが女性のシルエットが映る、ひょっとしてここは混浴場所に繋がっているのか! ドキドキと心臓の鼓動を感じる、煙が晴れるとそこに綺麗な女性の姿がはっきりと・・・・、なんて展開はないから期待するなよ。
ここは男湯、連休ともあり結構人がいるよ、俺は隅の方でまったりお湯の暖かさを楽しむ、空を見上げているとふと先ほどの心との会話から俺たちの初めて出会った時の事を思い出していた。
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