第10話 プリフォーのキャンプ合宿初日(前編)

 AM9時。


 俺たち5人はキャンプ場に到着した。


 山に近い場所は空気がきれいでいいな、受付を済ませ寝泊まりするコテージへ案内された。


 コテージから徒歩5分の場所には露天風呂も用意されている。


 このキャンプ場には臣だけは2回来たことあるので勝手がわかっていて3人を案内している、どうも皆ピクニック気分でいるので檄を入れる。



 「お前達、今日は遊びに来たんじゃないんだからな!」


 山登りのための準備をさせて出発した。



 AM10時。


 本日は晴天、実に登山日和だ、山のふもとにはちらほら登山客がいて賑わいを見せている、標高550m程で初心者にも気軽に登れる高さの山だ。



 「アイドルは歌や踊り必須だからな、体力づくりは必要不可欠だ、楽しみながら頂上を目指そう」

 4人に声をかける、皆笑顔で元気のいい返事が返ってくる。


 登り始めて1時間30分程たった、サスペンスドラマだったらここらで突然天気が崩れ大雨になり足を滑らせ誰かひとり崖に落ちて事件事故が起こったりするんだろうがそんな心配をよそに無事頂上まで来て各自持参の弁当を食べる所だよ。



 AM11時50分。




 おみ 

 「頂上で食べる御飯は美味しい!」


 こころ

 「天気もいいし風がとても気持ちいいね」


 彗夏すいか

 「時間が許すなら大の字に寝そべって昼寝したいな」


 伊莉愛いりあ

 「わかる~、お腹が満たされると眠気くるね、朝早かったし~」



 皆が食事を済ませたのを確認してから片づけ後にペンとノートを出すよう指示する。


 「お前達、素直な今の気持ちを口にしてもらっていいか?」


 臣→ 心→ 彗夏→ 伊莉愛の順にそれぞれ一言ずつ自由に言わせることにする。


 「楽しい!」 

 「キレイ」

 「解放」

 「涼しい~」

 「賑やか!」

 「美しい」

 「絶景」

 「まぶしい~」

 「ヤッホーって叫びたくなる!」

 「鮮やか」

 「自由」

 「眠りた~い」

 等々。


 「よし、それくらいでいい、今言った言葉と感覚をしっかり持って、イメージトレーニングをするぞ」

 

 自分とメンバーから出た言葉をノートに書かせた後で4人を立たせ、自分の言った言葉を思い浮かべるように指示して何が映像として浮かんだかをお互いシェアさせる。



 楽しい、賑やか、ヤッホーって叫びたくなる等の言葉が出た臣はライブ中に空に浮かんで飛んでいくようなのがイメージできたと言っている。


 他の三人もそれぞれ自由に意見を出して感心、興味、疑問、発見等メンバー同士で盛り上がっていた。


 俺はここからが大事だと言ってから、


 「今度は臣の言葉を心がイメージする、心の出した言葉はキレイ、美しい、鮮やか等を彗夏が思い浮かべ、彗夏の言葉を伊莉愛が、伊莉愛のを臣がイメージするんだ」



 4人に円になるよう向かい合わせ手を握らせる、それを順番に全員分同じワークをさせる、その後もたっぷり1時間して感想もノートに書かせる。


 山を下りながらお互い感じた事、思ったことをアウトプットさせた。



 今のワークはメンバーの感じ方、自分との違いを明確化させる、そこのずれがライブでの歌やパフォーマンスで上手くいく、いかないを左右するからだ、正し無理に合わせる必要はない、自分との違い、各メンバーのイメージが理解出来ればいい。


 PM15時30分。



 山のふもとの川のほとりに到着した、10分程自由時間を作り、四人それぞれに好きなことをさせる、ただし10分やり続けることが出来ること限定でだ、すると、裸足になって川に足をつけ水をけって遊んだり、写真を撮ったり、水切り(石を川に投げる遊び)したり、ノートに風景画を描いたりしている。


 10分経ったので集合させ山でやったようにメンバーのやっていたことを各10分ずつそれぞれ順番にさせる、普段自分がしない行動をするという事で戸惑っている子もいるがそれはそれで楽しそうだった。

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