エイプリルフールにある計画を実行しようとしたら、相手がプロポーズしてくれたので、利用してみた。
ブリル・バーナード
エイプリルフールにある計画を実行しようとしたら、相手がプロポーズしてくれたので、利用してみた。
ついに。遂にこの日が来た!
4月1日。今日、私はある計画を実行する。
それは、愛しの旦那様(仮)と『結婚』する!
あれは一目惚れだった。
彼を一目見た瞬間に脳が、身体が、子宮が、心が、魂が、揺さぶられた。
あの時の衝撃は今でも忘れることが出来ない。
思い出しただけで、彼のことを想像しただけでお腹が疼き、濡れてしまう。
あぁ……欲しい。欲しい欲しい欲しい!
髪の毛の一本から、血の一滴、細胞の一欠けらまで、彼の全てが欲しい!
私のものにしたい……!
一年に及ぶリサーチの結果、彼の趣味趣向、性癖、あらゆる身体のサイズ、買った物やその日食べた物も全て記録してあるし、記憶している。
盗撮した何枚だろう? 数万枚ちょっとくらい? 意外と少ない。
最近は動画という便利なものがあるので、写真はあまり撮る必要がなかった。欲しいショットは動画から切り抜けばいいし。
結婚に関して、両親は説き伏せた。彼のご両親とも仲良くなり、結婚したいとも告げている。
もちろん、彼にはすべて秘密だ。
既成事実という言葉は実に良い響きね!
外堀は全て埋めた。指輪も準備した。婚姻届もある。市役所の場所も把握している。新居は内装までこだわり、婚姻届を提出した直後、彼の家から荷物を移す予定。
もちろん、初夜の準備も完璧だ。
結婚するまでの道のりを、あらゆる状況を想定してシミュレーションした。
そして、本日実行に移す。
何故今日4月1日なのかって? だって旦那様から呼び出されたから!
待ち合わせ場所は普通のファミリーレストラン。
もうこれはデート! だから結婚!
うふふ。彼の趣味趣向の結果から導き出した勝負服を着て、勝負下着も身につけた。
彼は私に何を言うつもりだろう? 気になる。
でも、忘れたらダメ。どんなことを言われても、婚姻届を提出し、既成事実を作れば私の勝ち!
いざという時はエイプリルフールを利用すれば……ふふふ。
待ち合わせ場所にはもう旦那様がいた。
きゃっ! 格好いい! 脳が痺れる。子宮が疼く。股が切ない……。
「お待たせいたしました」
私を見て一瞬驚いた旦那様。身体を視姦される。
はぁ……素敵。もっと私を見て。私だけを見て!
そして、旦那様は可愛く顔を赤くしながら第一声を放った。
「あの……俺と結婚してください!」
……えっ?
今なんて? なんて言いましたか?
結婚してくれと言いましたか!?
私の聞き間違えじゃ……。
あぁ……旦那様の顔を観察する限り、本心ではない様子。たぶん、エイプリルフールの嘘だ。
折角プロポーズされたと思ったのに。酷い人。でもそこも好き。素敵。愛してる。
それに……
――ふふっ、この状況は使える!
「うぅっ……うぅ~……!」
私の目から涙が零れ落ちる。
突然のプロポーズに喜んだ嬉し涙。嘘だという悲しさと悔し涙。
涙が止まらない。
手で顔を隠さなきゃ……。
だって、旦那様から作り出してくれたこの素晴らしい状況に、笑いが堪えられないから。
数分をかけて頭の中で今後の予定を練り直し、心を落ち着かせる。
「申し訳ございません。つい取り乱してしまって……」
「い、いいや。こちらこそごめん。いきなりこんなことを言って」
「それでですね、プロポーズの件ですが……」
「は、はいっ!」
声を裏返した旦那様が可愛すぎる!
嘘だとわかりつつも緊張しているところとか、顔を真っ赤にして期待しているところとか……押し倒してしまいたい。
「こちらこそよろしくお願いします!」
「……はい?」
あぁ……何故そんないじらしい顔をするの?
私もう我慢できそうにない。
早く、早く早く早く! 全てを終わらせて二人きりに!
「そうか。よかった……急なことでびっくりしたよな?」
「はい。でも、とても嬉しいです」
「まさかオーケーされるとは思っていなくて、指輪も準備してないんだ」
「あっ、婚約指輪でしたらここに。こういうこともあろうかと」
全て準備は整っていますよ、旦那様。
バッグからこの日のために準備していた指輪を取り出す。
旦那様の指のサイズなど測定済み。もちろん、左手の薬指だけではなく、足の小指の長さや太さまで全て。
驚く旦那様と指輪の交換。
あぁ、素晴らしい。嬉しい。旦那様とおそろいの指輪。何度夢見たことか……。
はっ! 次のステップに進まなければ。
「では、こちらに記入を」
「これは……婚姻届?」
「はいっ!」
ふふふ。旦那様は私のことを世間に疎いお嬢様だと思っているようだ。
プロポーズを了承したことも婚姻届もエイプリルフールの嘘だと。
仕方がないなぁと思いつつも、スラスラと書いてくれるところに旦那様の優しさを感じる。
私、惚れ直してしまった。旦那様の笑顔で濡れる。
「次は、両家の挨拶を」
この日のために両親も旦那様のご両親もお呼びしていた。
近くの席でハラハラドキドキと全てを見守っていらっしゃったことは、旦那様だけが知らない。
「「 娘をよろしくお願いします 」」
「「 バカ息子をよろしくお願いいたします 」」
旦那様はご両親の前ではそんな顔をされるんですね。初めて知りました。
今日の様子はもちろん動画で撮影済み。
後でじっくりと観賞しなくては!
「では、行きましょうか」
両家の挨拶が終わったので、恥ずかしいけど勇気を出して旦那様の上に抱きついた。
この香り……好きぃ~。匂いだけで感じちゃうぅ~! んんぅっ!
「……どこに?」
「市役所ですっ」
バレてない……よね? セーフ。
車に乗り込み、市役所へ。無事に婚姻届を提出することが出来た。
これで私と旦那様は本物の夫婦に……。
夢じゃないよね? 旦那様が計画したエイプリルフールの嘘じゃないよね?
嘘でもいいかなぁ……既成事実さえ作ってしまえば!
急いで愛の巣へと移動しよう。
「ここは?」
「今日から私たちが住む愛の巣です!」
ふふふ。私と旦那様の家ですよ。今日から愛を深く深く育む二人だけの家。
旦那様の家の荷物も無事に搬入済み。
もうニガサナイ……
――そして夜。
勝負下着とネグリジェを着た私は、旦那様の腕を押さえつけ、馬乗りになっていた。
我慢できない。我慢したくない。混乱する可愛い旦那様がイケナイの……。
「ふふふ……やっと私のものになってくれましたね。想って想って想い続けて、計画を立て、準備して、外堀を埋め、いざ実行しようとしたときに貴方からプロポーズをしてくださるなんて、やはり私たちは結ばれる運命だったのです!」
あぁ……旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様旦那様好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる!
「もう離しませんよ。私たちはずっと一緒です」
逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない逃がさないにがさないにがさないにがさないにがさないにがさないにがさないにがさないにがさないにがさないにがさないニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイ!
「――さあ、一つになりましょう?」
そして、私と旦那様の唇が重なって一つになった。
うふふふふ……旦那様の唾液が美味しい……。
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ノリと勢いで書きました。
こちらは男性視点の作品です。
↓
【エイプリルフールにプロポーズしてみた。】
エイプリルフールにある計画を実行しようとしたら、相手がプロポーズしてくれたので、利用してみた。 ブリル・バーナード @Crohn
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