第4話 シェイクマン

常連客にはあだ名がつく

そんな飲食業界の常識というか

通例みたいなもんがあるのをご存じであろうか?


お客様は神様であると同時に

陰でスタッフにいじられる存在でもあるという

闇の事実をここに暴露する


通称’シェイクマン’

この男

上記の通り常連客に付いたあだ名である


30代も半ばだろうか

見た目に特徴はない

月に5,6回

平日夜仕事帰りにやってくる常連客である

と思えば土日や祝日に来ることもある

その時は必ず

どこかの娼婦のような女を連れてくる

その時点でこの人物の危険度を察してほしい


それだけではなくこの男はある癖を持っている

ワイが作る極上の料理を満喫すると

体をくねらせ全身全霊で感動を表現するのだ

体幹全てをくねらせ喜ぶ

実にアメリカンである

ダイナミックでござる

そしてついたあだ名が’シェイクマン’


そんなある日の出来事

いつもの時間にシェイクマンはやってきた

店主「かなちゃん」

かなちゃん「来ましたねシェイクマン」


すっかりと業務に慣れ

’東野’

と書かれたネームプレートを付けた

かなちゃんが答える

元読モである(可愛い

何があったかは割愛する


一言だけ言うと


ワイのマンションの合鍵を持っているということだけだゲヘへ

金の力は偉大なり(ゲス顔

※アルバイトのかなちゃんご参照


今日も今日とてワイらの期待通り

その体幹を揺さぶるのであろう

さてやってやるかワイのスペシャル料理で

息をまくワイ

するとかなちゃんが慌てた様子で厨房に来た


かなちゃん「てんしゅー」

店主「なんだいマイハニー(ゲス顔」

かなちゃん「ちょ、お店の中ですよ!」

とさらにかなちゃんを慌てた様子にさせてしまった

店主「ああ、すまん。どしたん?」

そう聞くと


かなちゃん「シェイクマン今日2件目らしいです!」

な、…何だと…!?

戦慄が走る…!!

店主「2件目!?オーダーは?」

かなちゃん「チャンジャとドリンクだけです!」


ワイは愕然とする

こんなこと今まで一度もなかった

なんだよぅ…ワイの料理食ってけよぅ

意気揚々から消沈へ

ワイは奈落の底へと落とされたようであった


かなちゃん「てんしゅー…」

落ち込んだワイに思わずかなたんが声をかける

店主「………今日は高校の制服持ってきてくれないかな?」

かなたん「…制服プレイ?」

店主「うん」

かなたん「…うん」


シェイクマンはささっとアテと酒を口にし

どうやらもう’おあいそう’のご様子だ

レジに向かってきたのでワイが会計をすることにした

すると向こうから話しかけてくるのはおそらく初めてであろう


シェイクマン「あいにく俺は地獄耳でお前らの会話は聞こえていてだな」

シェイクマンは続けた

シェイクマン「次は必ずくねらせてみろ」

やってやる…!今度こそ……!!

店主「ウィ・ムッシュ」

何故かフランス語で答えるワイであった


てかそのあだ名………気に入ってたんかい

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