【書籍化】おっさんと超古代文明〜巻き込まれて召喚され、スキルが言語理解しかなくて追放されるも、超古代遺跡の暗号を解読して力を手にいれ、楽しく生きていく〜
EX.12 三国会談という名の酒盛(アレリアーナSide)
幕間6
EX.12 三国会談という名の酒盛(アレリアーナSide)
「皆揃ったようですね」
「おう、シンの奴を説得するのに時間がかかったぜ。開催をウチの国にしてくれてありがとな」
「フン、相変わらず執務から逃げておるのか。一国の主なんだからしゃんとせい」
「へいへい」
獣王国の首都に集まっているのは、エルフの国、獣人の国、ドワーフの国の王の三人と護衛が数名だけ。集まった理由はケンゴについて話すためです。
獣王は相変わらずの執務嫌いで、なんだかんだ理由をつけて仕事をサボっているようですね。全く仕方のない坊やです。
今も後ろで目を光らせているシンという配下の厳しい監視のせいで、国から出るのは難しいと泣き言をいうので、仕方なく年長者の私とドワーフ王が獣王の国にやってきたというわけです。
「それで今日の議題なんだけどよ……ケンゴのことだよな?」
「ええ、そうですよ?何かありましたか?」
獣王が頭を掻きながら言いづらそうにしているので、気になった私が尋ねる。
「いやぁ、ここに三か国の代表が集まってるってことはつまりそういうことなんだろうけど、アイツってエルフの国に行く前にアルセリオンにいて、ドワーフの国の後、今はまたどこかの国に行ってるんだろ?」
「ああ、確かにウチの国を出てまたどこかに行ったみたいだな」
獣王の質問にドワーフ王が答える。
全く忙しないです人達ですねぇ。
もう少しゆっくりした方がいいのではないでしょうか。十年や二十年くらい。
今度うちの国に来てくれた時はゆっくりしてもらいましょう。
ふふふ、私が無限図書館に連れて行って欲しいと言う訳じゃないんですよ?……訳じゃないんですからね?分かりましたか?返事は?
ハイよろしい。
「そう考えると、アイツに救われる国がもう三つくらい増えてもおかしくはないと思わないか?」
『……確かに』
三か国が一人の冒険者について話すことといえば、SSランクへの昇級のことです。三つの国が推薦し、アルセリオンの議会を通せば晴れてSSランクへと昇格できます。
そしてSSSランクはさらに倍、六つの国の推薦が必要になるのですが、アルセリオンでやったことと、つい先ほど風の精霊が教えてくれた情報によると、魔族の国をも救い、さらには人間至上主義の国ヒュマルスまでもをどうにかしてしまったようです。
一体何をやっているのやら。あきれるというか、あの人らしいというか、またウチの国をどうにかした時のように簡単に問題を解決してしまったのでしょう。
本当にあの人はいったい何者なのでしょうね。
それはさておき、風の精霊による情報が確かならもうすでに六つの国を救っている状態と言っても過言ではないと思います。つまりここでSSランクの話をしていても、すぐにSSSランクの昇格の話になるので、話しても無駄になるのではないか。
獣王はそう言いたい訳であり、私たちも思わず頷いてしまった。
「それならそれでいいじゃないですか、ケンゴ達の話を魚に久しぶりにお酒でも飲みませんか?」
「おう、そりゃあいいな。あいつがウチの国に来た時の話をしてやるよ」
「それも悪くないか……。アイツは話題に事欠かない」
確かにSSランクの推薦の話は無駄になるかもしれませんが、まだ確定ではありません。それに、ケンゴ達の活躍について我が国以外での様子を聞くのも悪くないと思っています。
「それじゃあ、シン、とびっきりの奴を持ってきてくれ……」
「陛下……本当に今日だけですからね?」
「はいはい、分かってるって。んじゃ頼んだぞ?」
私の提案に乗り気になった獣王が部下のシンに指示を出して酒を持ってこさせようとする。シンはジト目で睨むように獣王を見つめると、獣王は両手を上げて、降参だとばかりに投げやりに返事をした。
「はぁ……わかりました」
その返事にため息をついた後、シンは呆れた顔で部屋の外へと向かう。
「遊ぶために私が仕事を手伝ったわけではないのに……」と他の人に聞こえないような小さな声で愚痴りながら酒を手配をするために室内をでたを知っているのは、風の精霊を使役できる私だけだったと思います。
「それじゃあ、ケンゴのSSSランク昇格を祝して、かんぱぁああああああい!!」
それからなぜか私たちはいつの間にか、ケンゴのSSSランク昇格を祝って乾杯をして楽しく飲んでいました。
一体なぜでしょうか?
まぁ、些細な事でしょう。
私たちはケンゴの話題が尽きるまで楽しくお酒を飲み明かした。
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