第242話 予定変更
「今日集まってもらったのは他でもない。今後の予定についてだ」
俺はリンネとカエデ、イナホ、子供たち、全員を船の会議室に集めて話し始める。
「厄介事が片付いたから天空島に行くんじゃないの?」
「そうだな。元々はそういう予定だった」
俺の言葉にリンネは首を傾げると、俺はその言葉に頷いた。
当初は確かにそういう予定だった。ただ、ヒュマルス王国の件が片付いたことで俺の中の一番の懸念事項が片付いたことになる。
しかし、男としてやりたいことが残ったままだ。それはリンネの隣にふさわしい男になること。
単純に地位的なもので釣り合いをとるのなら、まずはSSSランク冒険者になる必要がある。
今はまだSランク冒険者だ。はじめのころは全く見えなかった目標だが、今なら全く無理と言うことはないだろう。推薦してくれるという国もあるからな。だから各地を巡って推薦してもらないか交渉しに行く。
次にどこかに自分の家を持ちたいということだ。
船に不満は全くないのだが、船はやはり船なのだ。ずっと帰る場所ではあったんだが、やっぱり自分の家というよりは至れり尽くせりの宿、という印象が強い。だから、リンネが生きる世界に根を下ろす、という意味でも、これまで巡ってきた国のどこかに一つくらい家をもちたい。
出来れば一からオーダーメイドで造りたいところだ。道具類は俺が付与魔法で造ればなんとかなるだろう。空いた時間で研究は続けている。その成果ももうすぐ完成する。今ならかなり快適な家が作れると思う。
そして最後に、自分の店を持ちたい、ということだ。
今でもお金は有り余っているからニート生活も悪くはないが、働かないのは流石に精神衛生上も良くないし、小さな子供たちにとっても教育に悪い。それにかねてより考えていた、インフィレーネの倉庫と転移能力を使った商店をやってみたい。
とは言え、俺がその店にかかりきりになるとリンネとの時間が減ってしまうので、仕入れだけは俺が行って、それ以外は信頼できる人に任せる、というのが理想だ。
「思えば俺たちはずっとそれほどのんびりすることもなく世界を巡ってきた。それに、ヒュマルス王国の一件は、なんというか、俺にとって一区切り着いた心地なんだよ。だから、ちょっとここら辺で少しのんびりしたいと思ってな。勿論各々やりたい事があればやってみたら良いし、今まで行ったことがある場所で行きたい場所があれば、バレッタ達の誰かを連れていけば、行きも戻ってくるのも一瞬だ。だから天空島に行く前に少しゆっくり過ごさないか?という提案だ。リンネの話を聞く限り、天人族はあまり友好的でもないようだしな」
考えたことを直接言うのはリンネに対して恥ずかしいので、なんとか一度立ち止まる理由をこねくり回して皆に提案してみた。
「私は構わないわ。元々寿命も長いって言われてるし、見たことがない所を巡るのも、体験したことがないことをするのも、ゆっくりで構わないわ」
「うむ。私も基本的に主君に仕えられれば満足なのだ。後は子供達が健やかに育ってくれさえすれば、何も問題ない」
「にゃおーん(僕は美味しい物が食べれればなんでも良いよ〜)」
リンネとのカエデとイナホからは快く承諾してもらい、
「ねぇねともっと遊びたい〜」
「私も〜」
「僕も〜」
「俺は肉が食いたいぜ!!」
「どれも出来るぞ?」
『じゃあいいよ〜』
子供達は、カエデが暫くゆっくり子供達の相手をできると分かると、快く許可してくれた。子供達はカエデが出かけてることが多かったから少し寂しかったみたいだ。
「皆ありがとう。それじゃあ早速出かけますか!!」
『了解』
俺の号令に、皆の返事が綺麗に揃った。
幸先が良さそうだ!!
こうしてヒュマルス王国のゴタゴタを終了させた俺達は、少しのんびりする事にした。
船の窓から刺す日差しがとても眩しかった。
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能無し陰陽師は魔術で無双する〜霊力ゼロの落ちこぼれ、実は元異世界最強の大賢者〜
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