383.捕食と収穫


 ――どうも、レイラさんの心意気に圧倒されてしんみりしちゃった勇者アレックスです。


 もうレイラはレイラさんだよ。すっかり強くなっちゃって……。


 しかも『あなたのことを考えていたから、強くなれました』とか言われちゃったらね、俺はもう泣く。


 こんな俺のために……申し訳ないやら、ありがたいやら……。


「じゃあ、」


 と、俺が涙を拭っていると、レイラが不意に身体を離した。


「んしょっと」


 …………。


 ぬ、脱いでる。


 レイラさんが、いそいそとワンピースを脱いでらっしゃる。


「今度こそ、アレクをわたしのモノにしちゃいますね♡」


【キズーナ】だけを身に着けた姿で、ふーっ、ふーっと鼻息も荒くレイラさん。


 ……!!


 やるのか!? 今……! ここで!


『あ~』


 と、沈黙を保っていたバルバラが、俺にだけ聞こえる出力で念話を。


『じゃ、アタシ寝とくから……』


 スンッ、とその気配が薄れていく。えっ、自ら非活性化を!? いつの間にそんなことできるようになったんだバルバラァ!


『抱けっ! 抱けぇっ! 抱けーっ!!』


 そしてにわかにアンテが大音量で騒ぎ出す。うるせえ!


『もうここで食っちまうのじゃ! いや、食われてしまえばいいんじゃ!』


 いやでも俺、仮にも船守人なんスけど今! 途中で湖賊とか魔獣とか出たらヤベーって!


『アーサーがなんとかするじゃろ! それにお主、とっとと踏ん切りをつけんといつまで経っても禁忌の収穫ができんではないか! 禁忌の果実は熟せば熟すほどいい、とかのたまいながら、結局わんころは手を出さずに逃がしてしもうたし!』


 あれは仕方ねえだろ! 想定外の事態すぎた!


『またその想定外がいつ起きるかわからんじゃろ! 抱けぇ! 父を殺した挙げ句、特殊な環境に置いて価値観を変容させ、ドロドロに依存させた幼気な娘とぐっちょんぐっちょんにくんずほぐれつする禁忌と快楽をしゃぶり尽くすのじゃ!』


 言い方ァ!!


「アレク……っ♡」


 目を爛々と輝かせたレイラさんが、ガバッと抱きついてきた。


「いつもは、わたしがアレクを乗せてますけど……」


 ニコッと微笑んで。


「……今度は、わたしがアレクに乗る番ですね♡」


 そのまま押し倒される。


 つ、つよい……! かてない……!!


「アレク……♡ アレク……!♡」


 くっ……!!


 俺もなぁ……!!


 レイラみたいな子に慕われて、嬉しくないはずがないんだよ!!


 それでも魔王子時代は、平静を保てていた! なぜなら魔族は15歳くらいで肉体が完成して、ようやく性欲が湧き始めるからッ! あのダイアギアスでさえ成人するまではウブだった(!?)らしいし……!


 ところが今の俺は、人族の青年の肉体だ!


 しかもずっとそれを維持している!


 前線で疲労困憊してるわけでもなく、のんびりしていたおかげでコンディションは抜群、元気も有り余っている!



 つまりアレだ!! 察してくれ!!



 察して!! くれ!!!



「大好き……! 愛してます……!!」


 ちゅっちゅ、と口づけてきたレイラさんが、潤んだ瞳で俺を見下ろす。


「あなた……♡」


 何を求められているかなんて。



 う……おああああああ!!



「俺もだよ」



 抱き寄せる。



「愛してる……!!」



 ……ああ。



 ……あああ――ッ!



 ああああああああああ――ッッ!!!



 あああああああああああああああ――ッッッ!!!!



 うおおおおああああアアアアアァァァァァァ――ッッッ!!!!





 …………。




 ……………………。




 ………………………………。


















 禁忌いっぱいでた。

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