第4話 リグレット



 この手で守ると誓った

 この言葉で 誰にも聞こえない場所で 約束をした


 叶わない世界があるなんで 思わなかった

 離れる時が来るなんて 予想だにしなかった


 嘆く声が 暗い暗い闇の中へ吸い込まれていった


「その手をとって言葉を交わしたかった」


「その瞳に宿る未来を、ともに見つめていたかった」


――あなたは未来のない人間ではない


――空っぽの人間ではない


 淡い想いも 小さな願いも

 育つはずだった命も 抗うはずだった運命も


 すべて 意味のない記号


 もし 過去に戻れたなら…


 何か違った?


――いつも楽しげだったあなたの声


――あなたの慈しむ声が涙声にかわっていた




「ストーリー」

 悪神の神殿に乗り込んだウォルド達。

 窮地に立たされた彼らを守ったのは、死力を尽くして顕現したリグレットだった。


 叶うならばもっと彼らの旅を見守っていたかった。

 けれど、もうここでお別れだ。


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詩集 星を動かす者達と未来知る巫女 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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