第3話  LV3 スキル習得

 本日ヴィオラは、トーレムグレイグ王との謁見えっけん及びパーティー出席のため不在。

 

 フミヤは扉のなくなった出入り口を眺めていた。


「このままでは駄目だな」


 ウロウロと部屋を歩きながら考える。「よし。鉄の扉を作ろう」思い立ったフミヤは鍛冶屋へ赴く。


「なんだ勇者の婿さんじゃねーか。今日はどうしたんだい?」

 名鍛冶職人のガジさんだ。


「製鉄を教えて頂きたいんです。」


「嫁の剣かい? 言ってくれれば作ってやるのに……勇者特権で安くしとくぜ」


「違うんです。扉を作りたくて。」


 ガジ「……。何かと大変そうだなー」


 そして、フミヤの特訓が始まる。


「違う、そうじゃねー!」

 フミヤの額から汗が滴り落ちる。


「ひいぃ」


「打ち方が弱すぎる。もっと気合いれろ!」「こう、打つんだよ!オララッラーー」

 

 辺りに激しい怒号と金属音が響き渡る。


「違う、こうだ‼」


 そして半刻ほど経ち……


 *自宅扉鉄が完成した。

 

 *フミヤはレベルが上がった

 *腕力が5上がった

 *フミヤはスキル製鉄LV1を獲得した

 *称号 汗をかく凡人を手に入れた(汗をかいてる時ステータス補正+10%)


「これはお前だけじゃ無理だろ? 一緒に運んでやるよ」

 ガジは見かけによらず親切で、家まで一緒に来てくれた。


(今度何かお礼をしないと)


「ついに完成だ」


「俺は帰るぜ、勇者様によろしくな」

 扉の取り付けまで手伝ってくれたガジは、満足そうに帰って行った。


 フミヤもヘトヘトになりながらもとても満足していた。


「疲れた……ヴィオラが帰るまで少し仮眠しよう」

 体力の限界であったフミヤは、しばらく部屋で休息を取ろうと家に入ろうとする。



「ん??」


「んん??」


「おおおお‼」


 フミヤは扉が重すぎて家に入れない。

「だあぁーー! ダメだ」



 その夜、ヴィオラが帰宅すると扉の前で力尽きたフミヤを発見する。


「フミヤさん、そんな所で寝たら風邪ひきますよ」


「う……ううん。おかえり」


「ベッドで寝ましょうね、フフ」

 ヴィオラは軽々と扉を開け、フミヤと手を繋いで家に入る。


「ありがとう、ヴィオラ」


「??」


 ヴィオラの笑顔に癒されるフミヤでした。

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