第24話 あちゃー…。
昼の休憩からまた進んだところ
夕方にかかる頃にワーム(ヒル系虫さん)が地面から飛んできた。
そろそろ野営かと思っていたので油断してしまった。50㎝程の丸々としたワームだった、地面に潜んで居たようだ。うっかりワームを腕で受けてしまったー。
あーー地面から出てくるのか~気を付けないとな。
ワームはオレの腕に食い付いている。鋸状の歯が食い込む、あたた、痛い。血が流れ出した、あちゃーー!
「カインド!!」
エルフィが来ている。他に潜んでいないだろうか…。ワームの群れじゃないだろうな…。
「エルフィ、先に気配察知を!」
オレはワームに噛みつかれたままエルフィに言った。
「他にワームが潜んで居ないか、確かめてください!」
テリも急いで警戒する。ワームが大量に湧いてるとなると厄介だ。
「え・あ、うん!」
「シールド、」
テリがウィンドシールドで防御する。エルフィが気配察知を細かく展開。
オレはワームを腕から引き剥がした。
「くっ!!」ワームの食い込んだ歯が余計にオレの腕を引き裂く。
あ、失敗した!引き剥がすんじゃなかった!
「いてぇ!」
腕から更に血がぼたぼたと流れた。
「他はいない、この一匹だけ!」
ビタンッ!とオレはワームを地面に打ちつけるがまだ動く。空いた手で急いでロングソードを引き抜き、ワームを真っ二つに斬り割いた。
うごうごとしていたが動かなくなる。
「カインド、座って」エルフィが傍にくる。テリも近くにいた。
オレは腕を押さえているが、その間も血が流れている。ワームの唾液のせいで、血が止まりにくい。
「ヒール」
テリが詠唱している。痛みは引いて来たが、治りが遅い。ヒールが効きにくい。
座り込んで、オレは装備のポケットに入れていた薬草を噛んだ。うーえーっ!!苦いぃ!ガムガムと噛んで飲み込む。
「とりあえず、万能薬も使いましょう。エルフィ、カインドのバッグから万能薬を出してください」
「わかった…、カインド、これも」
エルフィから、万能薬を飲ませてもらう。
「くぅう~!変な味〜。」
少しすると血が止まり、腕の怪我は治った。
けど、ちょっと血が流れすぎたかな。
「ふーー」
「ワームの群れじゃなくて良かったですね」
「一匹でこれだもんな」
ワームは血液を好むため、噛まれると血が止まりにくい。
「今日は少し移動したとこで休みましょう」
大量失血した場所から離れようとする。
あ、あれ?
少し離れたところでクレアが呆然と立ってた、
「クレア?」
ビクッとクレアがオレを見る。流れた血とオレを交互に見てる。
オレはクレアの前に片膝をついた。クレアが悲しそうな顔をしている。
「か、カインド…、どうしたらいい…!」
「クレア」
「クレア、テリに治してもらったから大丈夫だよ」
急いで腕にクリーンをかけて腕を見せた、ゆっくりクレアが手を伸ばす。
クレアはまだ呆然としていた。流血したシーンが離れないようだ。そういえば、戦闘でここまでの流血したことがなかったんだ。
「クレアちゃん…びっくりしたね」
エルフィが声をかけた
「クレア…びっくりした…ぎゅうって、痛かった!」
「怖がらせてごめんな、クレア。」
オレはクレアに笑って見せた。クレアはオレにぎゅっと抱きつく。ちょっとびっくりしたが、…小さなクレアの背中をぽんぽんと叩く。
出会って間もないけど、ここまで心配される仲になったんだなぁ…。オレは少し嬉しくなったけど、悲しい思いをさせたくないとも思った。
「心配してくれてありがとな…」
クレアが落ち着いたところで、場所を移動した。そこで野営することにする。
いや〜、ちょっとクラクラするね、その場で横になった。
「体調どうですか、カインド」
「ちょっと血が足りないー。万全とはいかないね…」
「…造血剤持ってくれば良かったね、カインド」
野営の準備をしてくれてる2人に話をする。
「二、三日動くのやめますか」
「いや、そこまでしなくていい、万能薬効いたし…自分でヒールかけていく」
「カインド、無理はダメだよ?一日は休もう?」
エルフィが話に割り込んでくる。心配そうだ
起き上がり若干フラフラしながら寝床を準備して、そのまま横になった。
「うん…そうする」
ナイトウルフの毛皮、昨日の休憩中にブラッシングしといて良かったな。
無理してみんなに心配かけるのもいかん、
「ヒール」
自分にヒールをかけてみる。うーん、疲れはない。が、身体の怠さが残る。休養は必要なようだ。
ん?クレアは?クレアを横になったまま探す。
また1人遠くをじっと凝視している。
真剣な顔
……クレア…何…見てる…だ…?……
「カインド寝ちゃったね…結構血が出てた」
「少しカインドの装備外しましょう、」
「ん、そうだね」
テリとエルフィがオレの身体から装備を外す。そんなことにも気づけずオレは爆睡していた。
「…ねぇ、カインド治る?」
クレアが近くに来て言った。若干顔色の悪いカインドの様子を見つつクレアに言う。
「大丈夫ですよクレア。治りが遅かったらポーションも使います。…お薬まだありますから」
「ねぇ、カインドのそばにいていい?」
「はい、どうぞ、傍にいてあげてください」
僕はクレアの肩を撫でた。
早速クレアはカインドのお腹に顔を乗せ、腹這いに抱きつく。
「え、そんなダイナミックに傍にいるんですか」
「心配したんだもの…いいじゃない。さ、夜は保存食食べましょ?」
「カインド、早く良くなってね」
クレアがつぶやいている。見ているとクレアも目を閉じていた。そのまま寝かして置いとこう。カインドも規則的な寝息だ。僕は少し安心した。
「私たちも少し休憩しなきゃ。」
「ええ」
僕らも装備を外し、食事を取ることにした。
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