第21話 オレが思いつた名前って菓子パンだったから、言わなくてよかったです
「わたし、クレア!」
「クレア…は人間ではないのですか?」
テリも直球で聞くことにしたようだ。
「んー?わかんない」
「わからないそうです」
「承知した」
「で、オレ達はこれから世界樹に行くんだけど…」
「うん!いいよ!」
名前ついてから?元気がいいね、クレアさん
「…これからもついて来るみたいね…。クレアちゃん、危ないこともこれからあるよ?」
「あのね?今まで危なくないように、見てたよ?面白かった」
そうか~、今まで危なくないようにしてみてたんだね~!?え。
「今まで見てきたって事ですね…。そうですか。あはは、僕らだいぶ戦闘してましたし、大丈夫ですね〜」
テリがなんか思考を放棄した。
クレアがオレの服の裾を引く。んん?
「あのね、もっと危なくないようにできる。」
「そうか~、もっと危なくないように出来るんだね~」
「んー、見てるのはいいけど、魔物がきたら近づいちゃダメよ?」
エルフィがオレの横に屈んでクレアとお話しする。和む。
「うん、分かった!」
「なんか分かってくれたらしいよ」
「しょうがないです…」
考えるのは放棄して再出発した。
今はオレの横にクレアがついて歩いている。クレアとオレの歩幅が違うな~。
「なぁ、クレア、早速だけど、早く歩いても大丈夫かな?」
「いいよ」
「疲れないの?」
「あのねー、クレア走るの早いよ?…見てて!」
そう言うとクレアはオレの横から森の奥へ駆けていった。
「はやーいぃ!」
見えなくなってしまった。
「あれ?クレアちゃんどうしたの?」
「走るの早いんだって。」
「見えないわね…。」
とりあえず歩いているとクレアが戻って来た。
「ふぅう!…ねぇ!はやかったでしょ!」
「ええ、あっという間に見えなくなりましたよ。」
テリがほのぼのと返事をしている。この速さなら、魔物を避けるのも平気だね!すごいね!
暫く森の奥へと歩いていたところ、クレアの歩みが遅くなって来た
「………」
思っていたが、そこそこ疲れていたようだ。暫く歩くとクレアは眠そうに目をこすり始めた…。お子様だ。おおおぅ。
「クレアちゃん、眠たいんじゃない?」
「うん、ねむい…」
「どうする?」
エルフィが眠いクレアを見ている。
「クレア、木の上でねてくる…」
「うん?木の上で?」
「また追いつくから…だいじょうぶ…」
「オレ達、奥へ進んでいいかな?」
「うん…、カインドのこと、分かる…へへっ」
もう目がしょぼしょぼだ…オレはクレアを抱えると近くの木の上に乗せてあげた。
「ありがとう~」
更に上の方にクレアはするすると登っていってしまった。
「お昼寝か~、ちゃんとしてんなー」
「カインドって名前知ってたわね」
「遠くから見てたって言うのは本当みたいですね。」
クレアが登っていった木を3人で見上げた。
「カインドのこと分かるって言ってたわね、気配でも分かるのかな?」
「光の属性がほとんどいないですからね、カインドの気配は珍しいんではないでしょうか…ていうか、何者かは分かりませんでしたね」
「私、名前つけちゃったけど良かったのかな…」
「あれは不可抗力だよ、喜んでたからいいさ。かわいい名前だよ?」
「うーんん」
エルフィが若干困ってる
「何もわからないですし、なるようになりましょ」
「そうしよう」
オレはエルフィの肩を軽くたたいて、先に進むことにした。
その後、魔物もスルーして先に進めた。今日は10のオークと対峙したからそこそこ疲れたな。
「暗くなったし、ここで休みましょうかね」
「「はーい」」
野営の準備を各々進める。
結局途中でクレアとは会わなかったが、気配…ああ、クレアの気配ってこれだったんだな…。
「カインドどうしたの?」
「唐揚げの時、気配がするって言ってたじゃない?」
「うんうん」
「あれってクレアだったみたいなんだけど」
「あのね……私にはわかんないのよ…クレアちゃん」
「そうなんですか」
「私のスキルって大丈夫なのかな?」
「え?オレより鋭いよ?」
「エルフィは魔物の気配察知に集中して貰ってましたからね。害がない存在を感知しないよう、排除してるのかもしれません。その方が効率がいいでしょうし」
「そうなのかな~」
そう話していたところ、クレアの気配がした。近づいて来たみたい。
この後に及んで、眺めるスタンスのようだ。以前よりは距離が近い。
灯りを向けて目を凝らしてみると、草むらからぴょこっとクレアが顔を出した。かわ
夜だし、大きな声を出さずに呼んでみることにした。
「…クレア~…」
そうするとクレアはオレのいる近くの木の上へ移動してきた。お忍び上手ですね!
「こんばんわ、クレアちゃん」
「ほんとに追いつきましたね」
「んふふ~」
「お水飲む?」
「うん!ちょうだい」
素早く木から降りてきた。みっがる~!オレも木登り練習するか。
バッグからコップを出すと水を注ぐ。クレアに渡すと直ぐに飲んでしまった。クレアはコップを見つめる。ん?もっとお水かな?
「…」
「あのね、もっと奥のお水はカインドはのめないの」
「もっと奥の水?どうして?」
「うーんとね、たおれるから」
「何のことかしら?たおれる…毒でもあるの?」
「ああ!そうでしたね、深部の水は魔力が濃く出ているから、魔力酔いするってことですね?忘れていましたよ!大丈夫ですよ、奥の水は飲まないようにします。」
「よかった」
「クレアは森のことよく知ってるのね」
「うん、知ってる。みんなの名前も分かるよ、カインドとエルフィとテリ!」
一人一人指差して楽しそうにクレアが言う。正解だよ~。オレもにこにこ。
「…やはり知っていましたか」
魔力酔いか~久しぶりに聞いた。
人は魔力を持ってはいるが、直接的に高濃度の魔力に触れると、具合が悪くなったり二日酔いのようにグロッキーな状態になったりする。それを魔力酔いと言っている。魔力が少ない人は魔力が重力のように重く感じられることもあるんだって。
水を調達したところはまだ、魔力が少しだったからそんなに影響は出なかった。
クレアは物知りだね~。おいくつですか?年齢って聞いてもいいのかな?
…やめとこう、
「ねぇ、テリ、オレも木登りしたい」
「どうぞ、空いた時間に登ってください。あ、見張りの時はダメです」
「どうして?遠くも見渡せて見張り捗るとおも…」
「あんた、気配察知あるじゃないの、木に登ったって範囲は変わらないから」
「あ」
「人が休んでる時にガッサガッサされるのはゴメンです」
「あ」
ええ~オレ、かっこよく木に上る練習したかったのに~!!そしてさ、颯爽とさエルフィの前に登場する~
「ふふふふ!」
クレアがオレ達を見て笑っている。賑やかな一日となりました。
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