第18話 ちょっと強めの筋肉は風圧で痛いものなんだねぇ。


「オークだよ、一匹は少し小さい」

「特殊個体じゃないといいですね」

「オレが前に出るから、2人は一旦隠れてフォローお願い」

「わたしは?」

「暗闇から奇襲をかけて、1人しかいないと初めに思わせる。」

「不意打ちで、サイドから魔法を放ちます。巻き込まれないように」

そういうとテリとエルフィはその場から一旦隠れた。


ロングソードを構えて、オークの出方を待つ。小ぶりのオークはオレが1人だと思ったようだ。しかし同時にオレの視界も悪い。

「ぶもーーおお!」

オークは速度を上げて振りかぶってきた。余り動かずに応戦したいな。…2匹の内、一匹は少し余裕があって強そうだ。

小さめのオークを先に片付けてしまおう。

頭に当たる前にこん棒を横に躱す。深めに踏み込み、オークとの距離を縮め、胴体に切り傷を付ける。


「おりゃ!」

致命傷にはならないか。

更に上からこん棒が降ってきた。もう一匹も同時に攻撃を仕掛けてくる。

剣でこん棒と対峙すると、こん棒に剣が刺さり、持っていかれる可能性もある。剣でこん棒を受けないように気を付ける。

「ぶもーー!!」


少し後ろに下がると、一匹が横から棒を振ってきた。下がるのが遅れた、痛い。風圧で腕に傷が入る。傷は構わずに更に後ろに飛びのくと同時に、

暗闇から二匹に、ウインドカッターが放たれた。おお、無詠唱。

間髪与えず二陣・三陣とウインドカッターが飛んでくる。テリさん、お上手!

一匹は胴と足に傷を負ったが、致命傷にはなっていない。もう一匹は脚に深く傷が入り、バランスを崩している。

「はーっ!」

横からエルフィが飛び出し、一匹の肩に短剣を深く刺した。

そのまま追い打ちをかけ、胴に深くロングソードを突き刺す。一匹が前のめりに倒れた。一匹はこれで完了。エルフィはすぐさま離れ隠れる。


「ぶもあーー!」

もう一匹は更にテリのウインドカッターを受けていた。エルフィに気が向かないように攻撃の手を緩めない。

「フン!」

テリは隠れるのをやめ、出て来た。視界が悪いのかも…魔法はオークの左の腕に深く傷が入り振り回す動きが鈍っている。でもまだまだか。


「てや!はっ!!」

エルフィが後ろから背中に攻撃をしている。短刀とは言え、傷に何度も刃が入ればダメージは受ける。

「ぐぉ!ぶおおおおー!!」

後ろを振り返り、こん棒を振り回す。エルフィは躱しているようだ、…視界が悪い。気配を探り、オレは攻撃を仕掛けることにした。

「おりゃーー!!」

オークのこん棒の風圧が頬にかかるがオレは身体強化をかけ、ロングソードを頭へ深く切り込んだ。

「ぶ!ぐあ…」


ズシン…とオークが倒れた。


「はぁ…はぁ…」

二匹のオークを眺めながら息を整える。2人とも無事か。エルフィが汗を拭う。テリも息をついていた。

「はーっ、少し離れますよ」

「はっはっ…オーク、しまうね。」

マジックバッグにオークを二匹仕舞った。


「ふぅ…行きましょう」

「あ~ん、休めると思ったのに~!」

「残念だね~」


そのまま、30分ほど歩く羽目になった。

うん、ちょいと疲れた…。茂みの中に適当な広さの場所があったので、今日は明かりを小さくして過ごすことにした。



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