第15話 揚げ物のジュワーーーパチパチパチっていい音だよね、名曲だよね!
お昼
「ふっふ~ん、ふふ~ふ~ん♪」
鼻歌を歌いながら作業台のコカトリスの塊肉を一部切り分けていく。
「??」
「楽しそうですね…」
「うん、唐揚げ!楽しみにしてて!」
お肉を切り分けると、塩コショウを振ってもみ込んで下味をつける。沢山のお肉を下準備していった。ふーーっ。マジックバッグから鍋を取り出す。
エルフィが鼻歌交じりのオレを遠くから眺めている
「楽しそうで何より」
ハーブをみじん切りにし、深皿に出した小麦粉と混ぜ衣を作る。
鍋に油を2㎝ぐらいはり、コンロで温める。うん、これぐらいかな?二度揚げするから、一回目は熱すぎない油で揚げていく。あっと、お肉を置く平皿も一つ出して。
さぁ!揚げますか!!
お肉にハーブ小麦粉を軽めにつけて油に投入していく。
ジュワー!パチパチッと油が音を立てている…いい音~!
少し離れた所で座ってエルフィが料理を眺めている。眼がキラキラしてない?
「美味しそう…」
「うん!美味しいんだよ!」
少しして、衣に色が付いたお肉を平皿に上げて休ませる。
「あれ?もう上げちゃうの?早くない?」
「今日は時間があるから二度揚げするんだよ」
「二度揚げか~」
休ませると余熱で中まで温まってジューシーな仕上がりになるよ!
平皿に山盛りに唐揚げが乗っていく。
コンロの火を薪で調節。温度を上げていく。
一度揚げた唐揚げを、温度を上げた油に再投入。
ジュワワーーー!!と勢いのついた音がいい!!
うまそう…
「これは…いい匂いで危険ですね…」
テリも唐揚げを美味しそうに眺めはじめた。
パチパチパチパチと油が弾ける。少し揚げの音が落ち着いた。よし、いい色~!お皿に揚がった唐揚げを次々とのせていった。
少し冷めるのを待って、新しい深皿に盛っていった。
一つ手に取って…アチチ…ぱくり。サクっとしたあとジュワっと肉汁が溢れる。むぐむぐむぐむぐ…。
「うん、揚げたて美味しい~♪」
「カインド、わたしたちには?」
「ちょっとした拷問ですよね」
「うふふ、食べて食べて~」
唐揚げを待ち構えていたエルフィにお皿を渡した。熱いよ、フォークで食べて!
「熱いから、きをつけてね」
「わーーい!」
「早速いただきます」
サクっ!もぐもぐ…もぐもぐ…。
2人が食べているのを眺める。2人ともにっこりしてる~。視線を戻すとオレは作り置き分のお肉も揚げはじめた。
「うーん!美味しい~!カインド、美味しいよ!」
「これは…美味しいです!ジューシーです」
「良かった~やっぱりコカトリスだねぇ、お肉柔らかい」
揚げながら自分の分もつまむ。
「ふふ~ん、ふんふんふ~ん♪」
作り置き分もいい音と共に揚がった。
「唐揚げ美味しかったです」テリは結構食べてたな…。
「また食べたい」
空になったお皿を受け取りクリーンをかけてバッグにしまう。
「えへ、作り置きしてるから、これはまたね」
「二度揚げすごい」
…ん?…んんん?何だか…
「唐揚げが狙われている気配…?」
「真剣な顔で何言ってるんですか…まぁ、狙われるのも分かりますが」
「…?ん?…わたし?お腹いっぱいだよ?」
「いや…気のせいかな…?」
地味に気配を察知していたオレだった。
「!?」
小さな存在が慌てて木から降り、カインドたちと距離をとる。
びっくりした、見つかったかと思った。
「…」
唐揚げが揚がって行くのを眺めてたら、食べたくなった。
薄く漂ってきた匂いはとても良かった。
「あれ…食べてみたいな」
軽くお腹をさすった。
今日はここから動かないっぽい。ここで休んじゃおう…。
唐揚げの後始末をして、旅の支度を始めた。野営に使ったものも手分けしてマジックバッグに収納していく。水の入れ替えもした。ぬいぐるみは早々に仕舞っているよw
それぞれの荷物も持って出発する。疲れも取れたし、楽しかった。
「さぁ、少しだけ移動します」
「二時間くらいかね?」
「そうなるわね、んー」
「どうです?」
「気配察知にも何もひっかからないし、暫くは大丈夫そう」
ん…。確かに何もいない感じかな…。あってる?
「それじゃ、奥に進みましょう」
「あいさー」
オレ達は1時間ほど森の奥へ進んでいった。
ジャイアントフロッグに遭遇したが、それだけだった。今回はお肉には困っていないので、そのままにした。
1時間ほど更に歩いて遠くに水の音を確かめつつ進む。
小さい岩がゴロゴロしていた場所から少し離れた。木々の間から日が落ちていく。森は早く暗くなるなぁ…。
木々の間に少し開けた場所が見つかった。
「今日はここですね」
「うん、そうしよう」
「お疲れー」
野営の準備にとりかかった。
…くぅ~、すぴぃー…
小さな存在はカインドたちが進んだことに気付かず寝入っている…。
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