第6話 森の初期~初期まで、進んでるよー。


森に入って三日。もりもり歩く。歩くしかしていない。魔物と言えばホーンラビットと言う角を持ったうさぎが出てきたが、エルフィが狩りお肉の備蓄となった。スライムも出てきたが、襲ってくる気配が無いので回避して進む。スライムと言えど、切ったら増えたり、酸を吐いたりと割と厄介だ。それにお肉にならないし。たまに野ネズミが出てきたので野ネズミは狩る。野菜と煮込んで食べよう。


お昼になると、エルフィの解体教室が始まる。今日も野ネズミを何匹か解体する。

血抜きをして、お腹から刃を入れて皮をはいだら、内臓の処理をして…エルフィは皮を途中で破ったり、皮を厚くし過ぎて身を削ったりと割と危なげにこなす。

…エルフィは不器用さんかー。短刀の扱いは凄いのになー…

「何か言った?」

「いいえ、なんにも!!」


「あ!ふえぇぇ!」

あ、内臓を傷つけてしまったみたい。野ネズミのお腹が大変グロい。エルフィが苦い顔をしている。かわいい。

「もっとこの先に刃を入れたほうがいいよ」

「……早く言って。…この辺ね…次はそうする」

「そうそう、その辺。まぁ、洗えばいいから」

「何匹も捌くしかないですしねぇ、こればっかりは経験ですから」

テリがエルフィの手元をのぞき込んでいる。

「テリは?大きいの捌いたことあるの?」

「あ、いや、僕はそういうのはあんまり…一応ホーンラビットぐらいならいけます」

「そういや、エルフィはなんで捌いてなかったの?」

「ダンジョン入ってたんだけど、ダンジョンってお肉はお肉の塊でドロップされちゃうじゃない?」

「捌く必要がないから便利ですよね、アレ」

「外のクエストはそんなに長旅してなかったのよ。魔物を倒したらそのままで持ち帰ってギルドに渡してた」

「あ、そうか!不器用なのも自覚してるんだね!!すご…、痛っつ!!」

エルフィに足を踏まれた。

「カインドはバカですね、あいかわらず。」


「いてて…エルフィはグロウにはどうやって来たの?オレ野宿しながら歩いてきたんだけど」

オレは残りの野ネズミを捌き、保存の葉に包みながらなんとなく聞いてみた。

「歩き!?結構かかるんじゃない?」

「さすが野生児」

「え!?2人はどうしてたの?途中の村とか町によりながら一か月ぐらいかかった。」

「はぁ!一か月!?」

「うん」

「あのね、移動する馬車にのせて貰ったり、他の冒険者が護衛する商隊に混ぜて貰ったり…」

「普通はそうなんですけどねぇ。」

「そ、そうか!そういう移動の仕方があったんだ!」

「カインド…他の冒険者に教えて貰わなかったの?」

「いや、歩けば着くと単純に考えてて…」

「実に清々しい考え方です」



エルフィが捌いた肉は薄く切り、鉄串に刺す。次に軽く塩コショウをし火で炙る。ホントはフライパンで焼きたいけど…出すのめんどいから手抜き。焼けた肉を串から外し皿に置く。キャベツの千切りを用意しておく。手袋をつけて火で直接食パンを炙り、少し焼き色をつけたら、細く切ったキャベツと肉を挟み完成。

皆でパンにかぶりつく。パンとキャベツのザクッとした歯触りいいねぇ。パン炙ってよかった、香ばしい。


「うーん、パンとお肉は美味しいねぇ」

「カインドの食事は美味しいです。普通なら干し肉と硬い保存食を齧るだけですし。」

「食料が少なくなってきたら保存食も食べるよ」

「これからもお肉だけは確保しておきたいわね。…少し森が深くなってきたかしら?」

「あと2日ぐらいで中腹に入るかと」

「2日かー。ペースとしては早いの?」

「若干遅い感じですかね。」

「少しペースをあげて行こうか…?」

「いいですよ」

「わかったわ」


昼を軽く済ませて、俺たちはまた歩き始めた。道も少しずつなくなってきている。歩くペースを速めて森の中を突き進む。魔物の数も多くない。またホーンラビットが出て来たぐらいだった。少し遅くまで歩き一日が過ぎた。



この調子で翌日もペースを落とさないまま進む。歩くペースを速めて進んだが疲れは今のところ出てきていない。そろそろ道が見えなくなってきた。むき出しになった木の根や石ころが少しずつ増えていく。途中で2mのジャイアントワーム(でっかいミミズ)に出会ったが、エルフィが素早い動きで留めを刺した。

「そろそろ、こういうでかいのが出てきそうね」

「エルフィ、かっこいい。」

「はいはい、」

「お肉どうします?」

「お肉…これはいいや…備蓄あるしいらない」

「そうですね、それじゃ先に進みましょう。」


ワームを放置し先を急ぐ。暗くなるまで歩き、今日は休むことにした。


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