第3話 冒険の準備中、ご注文の品をとりにまいりま〜す


翌日はテリが自宅に来た。

「おーい、カインドーいますかーー」

「いますよー」


扉を開けるとテリが立っていた、中に招くと勝手に椅子に座る。お水をだした。

「お茶は今度出すね、」

「いいですよ、お茶は今度いただきます。忙しいですか?」

「お昼寝してた」

「うーん、もうちょっと緊張感が欲しいとこですね…」

「で、何の御用でしょう」

「いや、確認です。武器と防具は修繕に出しました?」

「出したよ、エルフィと一緒に行った。」

「そうですか…食料は?」

「明後日買う」

「薬草は」

「現地調達」

「はー…。薬草とポーションはこちらで用意しておきます。いいですね!」

「おねがいします」

テリが水を一口飲む。

「何日かかるか分からないですし、今回は一応パーティです、1人じゃないんです。他の人の心配もしましょう。あなたは野生児だからいいけど」

「荷物持ちは任せて!」

「ほっとくと足りないものが出てきそうですから、明後日また来ます。荷物見せてくださいね」

「わかったよ…」

テリは言うだけ言うと宿に戻っていった。

昼寝しよう。



3日目は武器を取りに武器屋へ行った。

武器屋で仕上がったものを受け取る。ロングソードも持ち手なども緩みなく満足のいく仕上がりになっていた。短剣は研がれ、どちらのサヤも革に艶が生まれキレイになっていた。

「兄ちゃん、悪いが短剣には少し鋼を足して打ち直したんだ、削られ過ぎて耐久性が怪しくってな!使い込んでるのはいいが、あと少しで折れてたぞ!」

短剣をよく見ると刀身がかなりふっくらとしていた。新しい波紋もみえる。言われればそうだった…慣れない短剣の手入れに、オレはだいぶ力任せだったように思う。教えを乞うこともなかった…し。昔と比べて刀身が痩せていたのを改めて実感した。


「…、すんません自己流で手入れしてたんで」

職人の顔が険しくなった。え!?怒ってんの!?…ですよね!

「兄ちゃん剣は折れてしまえばおしまいだ!」

「は、はひっ!」

「……まぁ、剣を大切に使ってたのは分かったが、ほんとにお粗末な手入れだった」

「は、はい」

「剣を扱うなら覚えてけ。こっちこいよ」

なんだ、怒ってるけど、教えてくれるんだ。

裏で剣の手入れを教えて貰った。手のひらサイズの革と小さい砥石でいいようだ。こんなことも10年経っても知らなかったんだなぁ、反省。他の剣を手入れさせて貰った。お手入れセットついでに購入しておこう。そんなに高くないし。

「わー!剣がキレイ!!」

「ガキみたいな反応するな!わっはっはっ!!」

真剣に手入れ中に職人の機嫌も治ったようだ、切り替えが早い。お金を払いお手入れセットも受け取る。

そういやエルフィの武器は仕上がりが明日らしい。



4日目は防具を取りにいった。

「兄ちゃんいらっしゃい」

「お姉さん、こんにちは」

「かなり痛んでてねぇ、ぎりぎり使えたようなもんだってよ。」

「わぁ!きれいになってる!ここ、こんな形だったのか…布で補強してたとこも革に…」

「ふふ、まぁそれが仕事だからね。素人の手入れとはまた違うさ」

「昨日武器屋で怒られました、お粗末だ!って」

「うちの人もだいぶ怒ってたけど、そういうもんさ。久しぶりにやりがいのあるもんだったから熱中してたよ」

防具を受け取るとしっかりと革が貼られて防御力も上がっている。お姉さんの旦那さん、気になって出て来たらしい。ムスッとしていたが、微調整をしてもらい、当たりの悪い所は皮を削ったり、裏側から叩いて貰ったりした。フィット感が違う。

お金を貯めるために何でも自分でしてたのが、裏目に出たなぁ。あれ?旦那さんはブーツを指さし黙っている。

横目でお姉さんの方を見ると黙って頷いた。

「ぶ…ブーツも見てくれるんですか?」

「……」

無言の圧力で修理してもらった。残りのお金を払い、防具を仕舞った。やっふー!新品みたい、また使えるぞ!ブーツも歩きやすくなってるし!



軽い足どりで市場へ向かう。テリが待っていた。買いこみに付き合ってくれるらしい。

「なんで?」

「あなたの好きなものばかり買っては困ります、予算を見て森に入るのに必要なものをピックアップするんですよ」

「確かに」

「あなた食事はパンしか買ってこない」

「確かに」

テリと市場を歩きパンなどの保存食を買っていく。

「それにしてもあなたがマジックバッグを持ってるのはありがたいですね」

「オレもマジックバックだって知らずに使ってたからなー」

「カインドらしい」

「今回、水どうする?」

いつもは水も袋で持ち込むのだけど

「今回は水の魔法石を買っておきましょう」

水の魔法石は少し魔力を流すと水が出てくる。値が張るけど荷物も圧迫しないし良いものだ。世界樹の森のためお金は貯め込んである。ちゃんとした冒険のためにも今回は買っておこう。

「1つ?」

「2つですよ」

何だかんだでテリと相談しながら買い物が出来て良かった。お話楽しい。

武器屋と防具屋で時間を結構とった。

今日は買い物だけにして、明日、荷物を確認することにしてテリと別れた。




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