第2話 冒険の準備から、話すね。今日はお出かけ

オレは今、世界樹の森の町「グロウ」に滞在している。

世界樹の森は世界に3つある「エバーグロー」「タームグロー」「トワイグロー」

それぞれの森に世界樹が一本ずつ鎮座し、魔物の素となる魔素を取り込みながら浄化しているという。もちろん、世界樹とはいえ完全に魔素を取り込むことはできない。魔物も存在するし、魔素の濃い所からはダンジョンコアが育ちダンジョンができる。魔物と人の戦いは日々続いている。


オレはというと、一部屋しかない家を借り、冒険者ギルドの小さい依頼から中くらいの依頼まで幅広く受けて小銭を稼いでいる。世界樹の森が枯れていっているというのは他の冒険者からもたらされた情報だ。冒険者ギルドはそんな情報を共有している、ありがたい。

冒険者としてのオレのレベルは42だ。19才にしてはレベルが高いよね?それは光属性のおかげだよ?経験値が入りやすいようです。でも最近はめっきりレベルアップしなくなったなー。


そして、一週間の内に装備を整えてやっと世界樹の森「エバーグロー」に入る予定だ。枯れる前に世界樹の森に入らないと…ねー。エルフィとテリに相談して森に入る日を決めた。

世界樹に会いに行けるワクワクとたどり着けるかという不安どっちもある。


世界樹に呼ばれたと感じたのは幼い頃の話だ。だけど、オレは目標に突き進むことで、これまでの困難も乗り越えてきた。まだ若いけどさ、いろいろあったんだよ。果たして、世界樹と何が起こるのか分からないが、一つ目標があると、生きやすい。それだけ考えればいいからねぇ。


ベッドから起き上がり、身体を伸ばす。今日は武器屋に防具の修復を頼みにいく予定だ。今まで自分で手入れして酷使してきたから、大丈夫かな…。顔を洗い外を眺めるといい天気だ。パンを齧り、スープを流し込んで食事を済ます。

簡単にシャツを羽織り、ベストを付けて肩からマジックバッグを下げる。オレの両親の形見だ。父ちゃんは木こり、母ちゃんは元冒険者だった。このバッグの存在は本当にありがたかった。オレがギルドの依頼達成のためにはなくてはならないものだった。依頼の品物を持ち帰るのに大いに役にたった!!母ちゃんありがとう!


歩いて防具屋に向かう。はー、いい天気。眠くなるなー。今日はお昼寝しよーー。


防具屋につくと店のおばさ…お姉さんに話しかける。

「兄ちゃん、可愛いね、何の様だい?」

「防具の修復を頼みたくて、お姉さん」

「はいよ!見せてみな!ふーん、…結構使い込んでるね…あらあら」

防具を裏返しながら触っていく。

「ここは打ち直しがいること…皮を当てなおさなきゃいけないところがあるねぇ…時間はあるかい?」

「はい、あります。何日ぐらい?」

「4日後にまた来てちょうだい、細かい調整をするから」

「わかりましたー、前金いります?」

「お、若いけどちゃんと稼いでるんだね。銀貨2枚大丈夫かい?」

「はーい、銀貨……はい、2枚」

「まいど」


防具を預けて店を出た。キレイになるの楽しみ。

…帰ってお昼寝しよう。



…あ、短剣とロングソードもお手入れしてもらうんだった…

家に置いてきた…。

立ち止まり、再び歩き出す。一度自宅に戻るとエルフィが家の前にいた。


「あ、エルフィ、どしたの?」

「カインド、武器屋にいくんでしょ?」

「うん」

「私も行くから、行きましょう。寝てると思ったけど起きてたのね」

「防具屋に行ってきたんだけど…剣持ってくの忘れてさー戻ってきたの」

「なんだ、1回出てたのね」

「お昼寝したかったけど…」

「…短剣キレイにしてもらうんでしょ?」

「そう。持ってくるから待ってて」

家に入り、ロングソードと短剣を手に取る。

「行くわよー」


エルフィと並んで武器屋に歩いていった。お昼寝は明日だな。



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