命題なる等価交換

つんざく悲鳴に涙する

怒号が響き

開いたドアから人が流れてく

心と体を侵す臭いが充満していく

ゆれる想いは走馬灯に

どろどろと開け放たれたドアから人が溢れ出る

目を押さえ

口を押さえ

胸を押さえ

足がもつれて

倒れ込む

命が

ひとつ、ひとつ失われていく

これに贖うなら

同じ命を差し出すのがいいのか

誰も教えてくれない

拳を振り上げる群衆は

命と苦痛を申し出て

亡くした生命は戻らないと

自覚して、理解して

人生から抜け出してしまった

人たちの気持ちを代弁する

死人に口なし

しかし憎し憎しと蜷局巻き


瞬く間になくなっていく

体も顔も声も失っていく

見えず聞こえず

生き残った人の人生は消費されていく

同じく贖う人の人生も消費されていく


こころ殺し殺しと麻痺として

その場に倒れて亡くなった命の説明を

誰かしてくれないか

まだ揺れている

あの日に止まった炎が消えずに

揺れている

ゆれているんだ

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