第13話
「ぼ、僕が相応しくない?酷すぎます!それなら僕という婚約者がいるのに他に男を作ったアイリスの方がよっぽど僕に相応しくありませんよ!」
ここまで救いようのない方だと思いませんでしたよ。
確かに私は幼い頃はカイが好きでした。でも一度は諦めた恋です。
それに私がカイと婚約したのはハリー殿下との婚約が解消になった後です。まるで婚約中に付き合っていたみたいな言われ方をされるのは失礼極まりない。
そもそも私と婚約していたのに他に女性を囲っていた屑王子に相応しくないと言われる筋合いはありません。
「ふざけるのも大概にしろ!」
「父上!」
「先にアイリス嬢を裏切ったのはお前だ!」
「な、なにを…」
「お前がそこにいる平民の少女に入れ込んでいる事は既に報告を受けておる!この恥晒しめ!」
「ち、違います!」
もう陛下にもバレてしまっているというのに言い訳を続けようとするハリー殿下。
そろそろ諦めた方がよろしいと思いますけど。
「何が違う?答えみろ!」
「それは…その、あの…」
「答えられないではないか!」
怒鳴りつけられて再び泣きそうな顔をするハリー殿下。
もういい加減終わりにしてもらいたいところですわ。
パーティーの開始を待っている皆様が可哀想です。
「あ、アイリスが悪いんです!」
「何?」
また変な事を言い出しそうですね。
陛下に睨まれつつハリー殿下は大声を上げた。
「アイリスが僕より優秀なのが全部悪いんですよ!」
ちょっと言っている意味が分かりません。
どうして私の優秀さが彼の浮気の原因に繋がるのでしょうか。
そもそもハリー殿下より優秀な方はこの会場に大勢います。むしろ彼より馬鹿な人を見つける方が至難の業でしょう。
「アイリスが優秀なせいで僕は馬鹿にされてきました!王城で立場を失いました!寂しかったんです!」
何が寂しかったですか。
勉強からは逃げる、王太子として必要なマナーは身に付けない、公務は人に押し付け自分は浮気三昧。
他人の評価が良いものになるわけがないのに馬鹿扱いされるのが嫌だなんて。
ちょっとでも努力をしていれば周りの対応も変わったはずなのに。
それも分からないとはもう彼の更生は諦めた方が良さそうです。
「お前が馬鹿にされていたのはお前が努力を怠ったせいだろ!アイリス嬢のせいではない!」
「そんな…」
「もう良い!愚かなお前には失望した!」
まさか陛下…。
いや、でも、正しい判断かもしれませんね。
「ハリー・エドワード!今この場をもってお前を王太子の座から下す事とする!また学園卒業後には王族を除籍!伯爵位を与えてやるから遠く離れた土地で暮らせ!」
ああ、もうおしまいですね。
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