7-22 ハンツ・ホイツフェラーの仇討ち (3) - カーブの謎
フィッタは平地だが、分かれ道のある広場の辺りから少しずつ勾配が上がっていく。
分かれ道を曲がらずにやや右に折れていく道を道なりに行くと、赤斧休憩所があり、末端にあるのはベルガー伯爵の屋敷だ。
フィッタの警備兵詰め所は、その道の右手にある。
だが、フィッタの警備兵詰め所から伯爵邸は臨めない。伯爵邸への道は直前になって邪魔をするように突き出した小道の木々が邪魔をしていて、迂回するように道を進まなければならず、その先に伯爵邸があるからだ。
「あえてああやって屋敷を隠してるのかな」
みんなが各々武器やら鎧やら整えている間、手持ち部沙汰に周辺を観察していた折に隣のディアラにそんな言葉をこぼす。
「さあ、どうでしょうか……」
ディアラがちらりとヘルミラに視線を寄せる。ヘルミラも分からない様子だ。
2人が知っていたらそれはそれでルーツが少し気になるところではある。ルーツというのは、シャイアンたちとの巡業あたりだろうけども。
「なんだ、あんた。アンテンブルク家のこと知らないのか?」
少々陰険で粗暴な印象も否めない丸顔の兵士が声をかけてくる。
この兵士は装備はもう準備万端のようで、さきほどから両手斧の立派な刃に油を塗っている。少し見ていたが、荒っぽい印象の割に手元は丹念に仕事をしていた。
近頃は兵士たちにも見慣れてきた。
肌や髪が乾いていて、無精ひげは当たり前で、汚らしくて垢抜けず。それでも眼差しには市民たちとも攻略者とも違う鋭いものがあり、商人たちとは違ってビジネス感覚や洗練さを欠いた人間臭い態度にはどこか安心感を抱けるほどにはなってきた。
厚い上下のまぶたと、口周りと頬の半分まで無精ひげを生やした彼もまたとくに珍しい部類の人ではない。七影の隊員だと思うとだいぶ一般兵士感はあるものの、ケプラ騎士団にも似たような顔つきの人がいたものだった。アランプト丘にいたのだが、確かオデルマーとか言われていた人だ。彼とは体型も似ている。
だが、彼には、丸顔とか背が低めであるとかそんなことよりもひと際目立った個性があった。
「がらがら声」であることだ。これはなかなか見ない。
「いや。アンテンブルク家って?」
今気づいたが、意外と睫毛が長い。
「ベルガー家が領主になる前に領主だった腰抜け子爵さ」
腰抜けね。
表情は結構豊からしく、はらんでいた陰険さは割とすぐになくなるようだ。兵士は第一印象が悪い人が多いが、喋ってみると気さくなのはよくあることだ。もっとも、俺の高くなってしまった身分や尊敬心がそうさせていることは多々あったけれども。
「腰抜けって、領民に蜂起されて子爵自ら屋敷を見えないようにしたって話か?」
近くにいたイーボックさんが話に加わってくる。イーボックさんは魔導士だが、しっかりと鎧は着こんでいる。
性質的なものか分からないが、男性魔導士は今のところは、ハムラにせよ、ロウテック隊長にせよ、そしてイーボックさんにせよ。男くささが少ない傾向にある。ヒゲや体毛はそこまで差はないんだけどね。
「そうさ。アンテンブルク子爵はフィッタを興した功績があるが、人柄は腰抜けだったって話だ。蜂起された時も一切顔を出さずに屋敷の中でガタガタ震えてたって話だし、嫁に愛想つかされて娘ばっかり可愛がってたって話じゃないか」
そりゃあ腰抜けだなぁ……。
イーボックさんがため息をついた。
「ランハルト。それはあくまでも領民たちの口伝だろ? 何の根拠もない噂話だ。だいたい、木こりばかりで何の産業もなかった僻遠の山村を、商人たちが行き交う立派な村に仕上げた人がそんなビビりなわけないだろ」
「でもよ。じゃあ、なんで屋敷の前の道はあんなにくねってるんだよ? 父上や貴族の奴にもこの話はしたことあるが、みんな腰抜け子爵だったって言ってたぜ? 文書が残ってないから噂にすぎないって言ってた奴もいるこたぁいたが……」
父上って、この人――ランハルトさんは家は貴族か? ちょっと意外。この人絶対庶民服が似合うよ。
「いいか。ランハルト。噂は噂だ。普通に考えろ。さっきも言ったが、村の開拓に成功した傑物がなんで領民にビビらなきゃならないんだ?」
開拓の内容にもよるけど。
「確かに蜂起されたのは事実だ。これは記録もあるし、子爵の落ち度だった。だが、剣もろくに持たない領民が蜂起したところで出来ることはたかが知れてる。せいぜい豚や馬のフンを邸内の庭に投げるか、鍬で衛兵の鎧に傷をつくる程度だ。お前は衛兵もどうにかできない奴らにビビるのか?」
ランハルトは肩をすくめて、ビビらねえな、と答えた。蜂起ねぇ。今のところはセティシアくらいか、知っているので問題がありそうな都市は。
「なら、子爵がわざわざ領民を恐れて屋敷を隠す理由がなくなるよな。……となると、答えは自ずと導き出される。戦術的なものか、領民と適当な距離を保つためにこういう道にしたのかいずれかだ。別に貴族は平民と親しくする必要はないからな。税を納める相手と親しくなったところで、未払いの者が増えるだけだ」
ざっくり言ったけど、正しいんだろうな。それにしても戦術的なものって、攻められた時のことを考えてか。蜂起ってそんなにしょっちゅうあるのか?
イーボックさんがちらりと俺のことを見てくる。ん?
「おいおい、ハンツ様のこと否定する気か??」
「そんなことは言ってない。ハンツ様は偉大なお方さ。お前やみんながハンツ様を慕うように、俺だってハンツ様を慕ってる。だが、他の貴族のみんながみんなハンツ様やオトマール様のように平民と気さくに接することができるかというとそうじゃない」
「まあなあ。税をちゃんと納めるかもわからねえし。そんときはケツを鞭で叩いてやらなきゃいけねえ」
ランハルトは言葉遣いがなぁ……なんか貴族じゃないよなぁ……。
「木材はベルガー領の貴重な財源だ。フィッタの職人たちの加工技術も高い。大工でフィッタ出身って言えば、まあ信頼度は高い。だが木こりや職人たちは貴族じゃない。でも領地に金と名誉をくれる人々だ。貴族の金を生まないしょうもないプライドを保つか、金は生むが貴族の体面は崩すか、この選択を迫られてハンツ様やオトマール様は後者を取ったってわけさ。もちろん税をくすねない程度の威厳は保ちつつな」
なるほどね。まあ、そんなに言い切らなくてもいいとは思ってしまうが。
「……ちなみに」
話を聞いていたようで、横から鼻の長い別の兵士がやってきて口を挟んできた。手にはポールアックスを持っている。
なんていったっけ……ホイツフェラー氏に報告をしに来た人だ。マルフトさんか。彼は流暢で聞き取りやすかったしゃべり方もそうだったが、兵士間では珍しいタイプの教養と知性の2つとも感じる人だ。
「あそこの木々のちょうど手前の方に棟梁ギリーのおじい様の家が建ってたんだよ」
「そりゃ初耳だ」
頭領? 棟梁か?
イーボックさんは首を傾げて眉を寄せたかと思うと、はっと気づかされたような顔を見せた。
「道も単に昔からこうだったらしくてね。ギリーのおじい様は家の傍の木の手入れをするのが趣味だったようだから、それで伐らなかったのかもしれないけど、だからまあ、その名残だね。このカーブと木は」
「それだけかよ」
それだけさ、とマルフトさんはランハルトに頷いた。なんてこともない単純な話だったな。
「おい、マルフト~。そういうことは早く言えよ。長く喋って恥かいたじゃねえか」
「悪いね。人の話は最後まで聞くことにしてるから。いいこと言ってたし恥じることないよ。それに戦術的な面からそのままにしてるってことは大いにあり得ると思うよ。攻撃仕掛けるのは多く領民ではなく、外部の者だしね。外敵のことを考えて要塞化する屋敷も珍しくないし」
まあな、とイーボックさんがため息をついた。
ランハルトはともかく、イーボックさんもマルフトさんも賢いらしい。七影は貴族連盟と言ってたものだけど、もしや隊員全部が貴族か? いまさらだが、貴族も普通に兵士をやるんだな。
「ところでダイチさん」
ん?
「あなたは武術家でありながら魔法も使うらしいですが、伯爵邸ではどう戦うんです? 武術だとどうしても戦いにくい場面は出てくると思うのですが」
ランハルトとイーボックさんも、マルフトさんの意見に同意するように見てくる。
まあ、気になるよね。マルフトさんに関しては好奇心も強そうだし。
「こうやって――戦います」
俺は《
「使役魔法……驚きました」
「使役魔法は初めて見たな。その剣使えんのか?」
ランハルトが触りたがっている感じだったので触らせる。イーボックさんとマルフトさんの2人も傍にきた。
「なんか……正直切れなさそうな剣だな」
「そうだな。軽いが……」
「ちょっと切ってもらっても? あの木辺りに」
マルフトさんが指差した木は、詰め所の周りにある木の中でも太めのマツの木だ。
うーん。切るとほんとに切断しそうなんだよな……。《魔力装》では試し打ちしていたものだけど、《魔力弾》の方はあまり試してない。伐採してしまうのはちょっとな。
刺突剣にするか。
形状はとくに意識せず、「細めの刺突剣」とだけ念じて出来た剣は、アバンストさんの持っていたレイピアに、クライシスの刺突剣系ユニーク武器「セント・スティンガー」の意匠が混ざったようなちょっと豪華なものになってしまった。でも細いし、これなら穴が開くだけだろう。
そのまま、それっぽく軽く構えて木をブスリと刺す。
――木には直径5センチほどの穴が開いた。うん。これなら倒れないな。
>称号「使役魔法剣術家」を獲得しました。
「マジかよ……使役魔法の剣ってすげえな……」
ランハルトが木に軽く駆けていって、穴の中に指をつっこんだ。
「鎧なんてあってないもんだな。まあ、そんな悠長に刺せればだが」
「すごいですね……」
そんなに褒めるところあったかなと、姉妹に振り向けば、アレクサンドラがいた。ベルナートさんやベイアーと話していたけれども。
アレクサンドラは俺の穿った木の幹を見ていたようだが、俺の視線に気付くとニコリとする。
……なんかいつも通り過ぎて少し怖くなってきた。俺が撒いた種なんだけどね……。
インは退屈そうに石に座って詰め所内に視線を向けてるままだ。詰め所は家屋の方で鎧の調整をしてる人はいるが、広場の方はほとんど人はいない。
「剣を突き出すまでは正直新米の兵士でもどうにかなりそうだと思わされたのですが、突き出してから一気に雰囲気変わりましたね」
え、そうなの?
「ああ。俺でもどうにかなるなって一瞬思ったぜ」
「私は察知系のスキルは《気配察知》しかないのですが、こう、気迫の厚みが増したというか……」
客観的に見るとそんな感じなのか。
「……そ、そうか?」
ランハルトもマルフトさんと同意見らしいが、イーボックさんはそうではないらしい。魔導士だからか?
ランハルトがこれみよがしにため息をついた。
「お前だって分かってんだろ? イーボックはちょっと意地張るとこがあんだよ。頼りがいはあるんだけど、たまに人を怒らせるんだよな。貴族と揉めたことも何度かあるんだぜ?」
「おい。ランハルトお前な……」
あらら?
ランハルトはとくにしたり顔を見せることなく、口をへの字にして「事実だろ?」という風にイーボックのことを見た。イーボックさんは閉口してしまった。本人もいくらか自覚があるようだ。
つまり、イーボックさんもみんなと同じように俺のぽんこつ剣術をすごい剣術だって分かってたってことか。それにしても天然ってほどじゃないらしいけど、ちょっと面白いな、ランハルト。
情報ウインドウが出てきた。イーボックさんとマルフトさんが俺より年上なのは分かるのだが、ランハルトは俺とタメだった。わかんないもんだな。元々外見からは年齢はよく分かんなかったけど。
鎧の音を立てながら小屋から兵士たちが数名出てきた。みんなもう、両手斧なりハルバードなり、盾なり、弓なりを持っていて、鎧もバイザーこそあげているものの冑までばっちりつけている。
ヘンリーさんも着終えたようだ。ヘンリーさんはケプラに戻ってもいいと言われていたのだが、何もしないで帰ったのではミラー様に叱られます、とか何とか言って残った形だ。
後ろの方で、休憩所にはいたドワーフの人がドルボイさんの背中を叩いた。バシンと鉄が鳴る音。
「お前はもう先に何人か刻んでたんだから俺に譲れよな」
「余裕こいてると死ぬぞ、ベンザー」
「はっ! 死ぬなら奴らの頭を粉々につぶして生皮を剥いでから死ぬってもんだ」
「俺は知り合いが死ぬのはもう見たくないがね」
「ドルボイ様の仇討ちはもう終わりか?? 腰抜けになったのか?」
「そんなわけないだろ! 俺だって生皮剥ぐぜ」
今度はドルボイさんがバシンとベンザーさんの鎧の腹を叩いた。2人とも仇討ちに闘志を燃やしてるらしい。
しかし生皮好きね。鳥の類だったらいいのに、人の皮だからな。俺が言われたら真面目に聞き返しそうだ。
別に似てるとは思っていなかったが、2人が並ぶと違いがよく分かった。
ベンザーさんはちょっと赤ら顔で、ドルボイさんとは正反対に人好きのする顔をしている。ヒゲは短い。
彼はどちらかといえばガルソンさん寄りの顔なのだが、生皮とか頭を粉々とか、言ってる言葉はなかなか強烈だ。ちなみに背中には盾があり、腰には先の尖ったハンマーが腰からぶら下がっている。
アレクサンドラが剣をちょっと見せてほしいというので、持っていた《魔力弾》の刺突剣を渡す。
「やはり副団長のレイピアとよく似ていますね……。別の意匠もありますが」
ああ、それでか。
「こういう形にしたいってちゃんと考えないと、深層心理にというか……印象深く残っているものになるんですよ」
アレクサンドラがアゴを数度動かして、納得した素振りを見せる。
「副団長のレイピアはなにか印象に残りましたか?」
「とくにそういうわけではないんですけどね。手合わせもしてないですし。あまりレイピアを他に見てないからかも」
なるほど、とアレクサンドラが軽く振って、軽いですね、とこぼした。俺的には細い物干しざおとか、つっかえ棒――ねじって伸び縮みするアレ――を振ってる気分だよ。
ホイツフェラー氏も戻ってきたらしい。
彼は戦闘の準備はしていたんだが早くに終わり、一方で兵士たちの準備がまだだったので、ラディスラウスさんたちとギルドに行っていた。
目的はウーリ君についてだ。ベルガー伯爵が愛人の子を認知したか、ないしどういう行動を取ったかの確認をしに行っていたものらしい。
「――グレゴールや使用人たちはどうしていると思う?」
「――どうでしょうな……奴らが殺戮の限りを尽くした現状を見ると望みは薄いかもしれません……」
「――……ああ」
会話はそれっきりでホイツフェラー氏が詰め所にやってきた。
使用人たちか……。商人の類でない村民はマップじゃ表示されないから生きてるかどうか、俺も見当がつかない。俺もどちらかと言うと、殺されていることに一票だ。
各々戦闘への熱意をあらわにしながら待機していた兵士たちが静かになる。ランハルトたちも俺たちから少し離れて、兵士たちの集まっている方に行った。
代わりに退屈そうにしていたインが立ち上がって俺の方にきた。ベルナートさん、ベイアー、エリゼオの3人も、「その他勢」である俺たちの方にくる。
彼らに何か声をかけるのかと思いきや、ホイツフェラー氏は俺たちの方を見て何かに気付いたものらしく、兵士たちには軽く手を上げただけで俺の方にやってきた。ラディスラウスさんが兵士たちの前に立った。
「それは使役魔法か?」
「え、はい」
アレクサンドラが俺に《魔力弾》の刺突剣を返してくる。
ホイツフェラー氏が見せてくれというので、渡した。彼は軽く振ったあと、あの穴はこれで開けたのか、と訊ねてくる。向かった視線は今さっき開けた木にあった。なかなか目ざとい……。ランハルトたちも見ているし、嘘はつけない。
「そうです」
ホイツフェラー氏は、ふっと悟ったような笑みを浮かべる。
かと思うと、彼は木の前に立ち……俺と同じように木の幹に向けて刺突した。もちろん構えはフェンシングの構えのようなしっかりしたもので、傍から見ても俺よりもずっと様になっていただろう。ただ、豪華な金属鎧とマントでがちがちに固められた男の攻撃手段としてみると、いささか物足りなさというか、姑息感はあったけども。
おぉ、と兵士たちの間で軽く声があがった。俺が開けた穴のちょうど真上に同じくらいの穴が開いた。おぉ?
「この剣はいいな。――軽くて、意外と威力もある。あなどれん」
「閣下は剣の経験があるのですか?」
「うむ。昔の話だ。今は斧と槍ばかり振ってるがね。……まぁ、俺の剣の腕がどれほどであれ。君が本気を出せばもっと大きな穴が開くかもしれんな?」
最後の言葉はつぶやいたような小さな声だったので、兵士たちには聞こえなかったように思う。そう願いたい。しかし団長みたいなことを言うな。
その通りには違いないんだが……どう返そうか迷っていると、ホイツフェラー氏はとくに返信を求めてはいなかったようで、剣を返される。
ジョーラもそうだったし、やっぱ分かる人には分かるんだな。俺はコーヒーは「分からない口」だが、多少は分かる男になりたいものだ。
「援護は頼むぞ、君たち」
俺の肩に軽く手を置いて、その他勢の俺たちにそう言ってくる。そのままホイツフェラー氏は兵士たちの前に立った。
「サシャ、斧をくれ」
そう言いながら、ホイツフェラー氏はラディスラウスさんから冑を受け取って被った。
大きな斧を抱えて列の前の方にいたサシャさんが、包んでいたカバーを取り払う。底の方は鉄でもあるようで、地面に降ろされたカバーはごとりと重そうな音を鳴らした。
出てきたのは鎌とコウモリの翼を合体させたようなずいぶん禍々しい黒い斧だった。
禍々しいと言っても、刃に彫られた彫刻は繊細なタッチの曲線で構成されているし、刃の中心から奥にかけて北斗七星のような位置で散りばめられたフルール・ド・リスのような形をした数個の朱色の宝石は、竜のトゲのようなものがちりばめられたこの斧が持つ邪悪さをすぐに忘れさせてくれる。
既に見えていたが柄の部分もしっかりデザインは凝っていて、先端には複数の輪っかがついている。刃に近い部分にも輪っかはあるので、鎖を繋いで壁に飾ることもできるだろう。
もちろんこんなゲーム武器的なデザインの斧の出所は決まっている。
クライシスでユニーク斧武器として存在していた「ドゥームズデイ・ルーター」という武器だ。
斧は攻撃速度が遅いので、武器でありながら火力武器としての性能はあまり重視されない傾向がある悲しい運命を背負っている武器だ。
だが、その分、他のゲーム同様見た目に全振りしたような芸術的な外見をしたものが多くあるので、愛好者はたくさんいたものだった。
ドゥームズデイ・ルーターはそんな斧たちの中でも人気が高い一品だ。俺の知っている数名の斧好きブロガーが挙げる好きな斧ランキングでだいたい10位内にいた一品だ。ちなみに性能も悪くない。
ジョーラが持っていたのはクライシス産のユニーク武器の類ではなかったので、七星や七影がユニーク武器を必ず所持しているというわけではないのかもしれない。もちろん、ジョーラはあの時に所持していないだけだったかもしれないが、見た目のいいユニーク武器を各隊長が持っていたら、それは実にらしいところだ。
ホイツフェラー氏は異世界の武器を受け取ると、まもなく地面に刺した。
「さあ、お前たち。奴らの寝首をかきに行くぞ。連中のベッドは血に染まった真っ赤な絨毯だ。奴らの夢に俺たちの斧が出てくるほど切り刻んでやるとしよう」
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