4-27 黒竜乱入


「……よく出来たスープだわ、ほんと」

「これも美味いぞ? ちょっと食うてみるか?」

「今は遠慮しとくわ……。切り分けたのを今度ちょうだい」


 食事が終わるのを待とうと思っていたのだが、二人の食べるペースは早かった。

 インなら分かるのだが、インよりも人間味のある外見を持つジルも早いのは、一気に距離が近づいたように感じるのも含めてなんとも不思議なものがある。


「にしてもジル。よほどスープが美味かったんだのう。すっかりご機嫌ではないか」


 インがいくらかやらしい笑みを見せながらそう告げる。ジルの皿はもうほとんど空だ。


「うるさいわね……。美味しいものは美味しかったんだから仕方ないじゃないの!」


 ぺろりと平らげたのが恥ずかしいのか、そう叫んでそっぽを向くジル。ツンデレの素養大アリだな。

 スープで体が温まったようで、ジルはマルトンさんのチュニックを脱いだ。


 とにかく、少し聞きたいことがあったので、機嫌よくなってくれたのは正直助かる。


 殺し合っていたなんて事は事だが、当の二人がこんな調子だし、“そういう世界にいる”しで、あまり引きずりすぎないでいるのが本来はベターなのかもしれない。

 水に流すにはまだちょっと付き合いが足らなさすぎるし、俺のこの世界や七竜についての理解度も足りないが……ひとまずインは無事だ。姉妹も眠らせただけだし。


「二人に聞きたいことがあるんだけど、少しいいかな」


 二人は顔を見合わせる。インは少しだけ肉が残っているので、食べながらでいいよと言っておく。


「ジルよ。話をややこしくせずに聞いてやるのだぞ?」

「分かったわよ」


 ジルに追撃する様子はない。


「話を聞いてたかもしれないんだけど、明日ソラリ農場ってところに行くことになったんだ。ここの支配人の人にあげるチーズを買い付けるためにね」


 ああ、あそこのチーズは美味しいわね、とジル。知っているらしい。


「あの支配人の男に何かあるのか?」

「チーズが好きらしいんだよ。支配人には色々と迷惑をかけたから、あげようと思ってね。……俺たちが亜空間内に行ってた間、現実世界では1日と5時間ほど経ってたらしいんだけど、その間に俺とインの捜索願いが出されてさ。騎士団が動員されてたらしいんだよ」


 あー、とインが思い当たる節を見せたあと、申し訳なさそうに見てくる。


「そうだったか。すまんのう、世話かけて。亜空間内の時間経過の具合はあまり気にされとらんでの。今回は短かったようだが」


 今回は短かったようだが。


「……長い時ってどのくらいに?」

「1時間が10日くらいになったりするわね」


 うっへ。さらっとそう答えるジルに、ぞっとする。1日で良かった……。


 亜空間については興味がないといえば嘘になるが、……今はそれほど重要な部分ではないので置いておこう。


「……で、俺さ。明日の朝はできるだけ早起きか、いつもと同じくらいの時間に起きたいんだけど、どうにかならない?」

「起きれんのか?」

「ジルと戦ってた時にさ、結構魔法使っちゃってたんだよ。夜露草を探した翌日も起きるのが遅くなってたからさ。たぶん、今回も前回と同じか、……っていうのはだいぶ希望観測的で。もっと遅くなるって俺は考えてて」


 お返しをするというところだけを切り取るなら、別に急用ではない。でもここには、ホムンクルスについてよく知っている人物が二人もいるし、睡眠時間の融通が利かず、いつも10時間以上の長時間睡眠で昼前に起きることができないことが悩みといえば悩みなので、どうにかできるのならどうにかしたかった。


 ジルから教えられた自分の死について思うことがないわけじゃない。でも、まぁ、二人の平常運転っぽい様子を見るに、俺がすぐに死ぬなんてことはない……と思う。インは俺を生かそうとしてくれてるみたいだしな。

 ……インは色々と隠していたようだが、シンプルに俺にとってはショッキングな内容だから伝えずにいた、ということだと思っていたい。


 ふむ、とインが考える素振りを見せたあと、立ち上がって俺の肩に手を触れてくる。


「……そのようだの。少しだが、魔力が減っておる。しかし相変わらず分かりづらいの」

「え? 分からないの? てか、あんな大魔法使ったんだから相当減ってるでしょ」


 ジルもまた俺の肩に触れてくる。


「げ! まだこんなにあるの!? 底が知れないわ……私たちよりもずいぶん濃いようだし……」


 二人とも触れるだけで俺の魔力の量から質までが分かるらしい。七竜だし、不思議ではないけども。そういや、俺の魔力に関してはインに特に聞いたことなかったなと思う。


「うむ。末恐ろしい量と質だろう?」

「ええ、そうね……。……あんたが魔力すっからかんで子供の姿でいる理由が分かったわ。こいつが私やあんたを殺せるのもね。……でも、こんなに魔力があるなら別にあんたがあげなくてもいいんじゃないの」


 それがそうもいかなくてな、とイン。


「こやつはまだ生まれて一週間ばかりでな。魂と肉体の調和が上手いことできとらん。極端に疲れた時や、眠気が襲ってきた時に、魔力の巡りがぴたりと止まっての。魔力が心臓で留まるようになり、魔力が体内に巡らん状態になる」


 メイホーに下山してきた時に妙に疲れたり、眠気がひどかったのは、そういう状態だったのか。

 つい心臓の辺りを見る。……内臓はどうなってるんだろうな。人間仕様だよな?


「それはあれね」

「ああ、まだ未熟なホムンクルスや、不出来なのがよく陥る症状だの」

「それと特別優秀で魔力が多いのもね。でも、ならなんであんたの魔力が取られるのよ。巡りを戻してやるだけでしょ? この量じゃ魔力がなくなるなんてないでしょ?」


 多いんだったらそうなるな。


「いやの、こやつの場合はそういうわけにもいかんようでの。魔力が心臓付近で留まり始めると、途端にその魔力が減っていくようでな。しかもすごい勢いでなくなっていっての」

「は? なにそれ? でも、こいつの魔力にあんたの魔力大してないわよ?」

「うむ。私は日々しっかり魔力を与えておるよ。これは仮説だが……」


 インが綺麗に串だけにした肉串の串をジルに向ける。


「おそらく、ダイチは私の魔力を“食らっておる”」


 ジルが何か言おうとしたようだが、口を閉じて考え込む顔つきになる。

 食らってる、ねぇ……。俺、なんかやばそうな奴なんだが……。いや、まあ、色々とやばいことは分かるんだけども。


「私はダイチから魔力の漏れを感知したことは特にない。では、私の与えた魔力や、心臓付近でなくなった魔力はどこに行くのか? 本当になくなるのなら、ダイチは補填するために自ら魔力を生成しなければならぬのだが、ダイチは魔導を極めた大魔導士でも大賢者の類でもなし、ひと眠りでそれを出来るとは思えんしな。もちろん絶対ではないが……」


 インが見てきたが、俺は首を振った。出来ないよ、そんなこと。出来てたら苦労してない。


「でな、私はこう考えた。なくなったダイチの魔力は消えていく。また、私の与えた魔力もそこにはない。生成の可能性が低いというなら……消えるというよりは、“どこか別の場所に魔力を格納している”のかもしれんとな」


 ジルがなるほどね、その可能性はあるわ、と難しい顔をしたままに頷く。格納ねぇ……。


「魔導王ウォーレスや<虚ろなる者>が《収納スペース》に魔力を保管したようにでしょ?」


 視線をあげたジルにインは頷いた。《収納》に魔力保管できるのか。


 ちなみに魔導王ウォーレスと<虚ろなる者>について軽く聞いてみると、前者は昔の凄腕の魔導士、後者は空間魔法に長け、日々研究していた集団らしい。黒竜信者でもあったのだとか。


「確かに巡りを戻すために私の魔力が使われもしようが……巡りを戻すのにはさほどの消耗はないからの。となれば、格納していた魔力を体内に戻すためのエネルギーとして私の魔力は使われていると、私はそう考えている。あの量だからの。相当量の負荷はあろうて」


 データ圧縮と解凍みたいなものか。そうだとしたら、俺は日頃から無駄にデータ圧縮してることになるな。さしずめ必要なのはもっと容量のあるハードディスクか。


 ジルがそうね、とため息をつく。そして俺を見てきた。


「……で。あんた、何者なの?」


 そう問いかけるジルの顔には、インが時々見せていたものと同じく、とても一少女ができそうにない大人びた表情があった。

 私は何でも知っている、だが言葉は選べ。そう暗に問いかけているかのような尊大かつ思慮深い表情だ。


 ……転生者だと言うか。


 インが論舌した俺の体に起きているかもしれない事象に対してジルが納得できて、俺がよく分かっていないのなら、俺が説明詐称できることは何もない。

 第一、さっきは怒りから勢いで丸め込んだが、仮にも千年以上生きてる七竜だ。魔法やホムンクルスという全く未知の専門的な分野で、言い逃れできるとは思えない。ジルは意外とというか、ホムンクルスについても詳しいようだし、インにだって基本的には素直に話している。


 というか、もう正直めんどくさい。


 転生者だとさっさと告げて、ちゃんとした転生者情報や、今後のための有益な情報を貰う方がずっといい。インもこの分だとジルには言うつもりだったろ。


 インからタイミングよく『お主が転生者であることを話すがよいな?』と念話がくる。当然、いいよ、と答える。


「ジル、こやつはな、」

『転生者、でしょうね』


 突然、いつぞやに聞いた少女の声が、頭に響いた。


「ゾフか?」


 インが辺りを軽く見回しながら問いかける。ジルは「て、転生者?」と俺を見て狼狽えるばかりだ。ジルは知ってるか? 転生者のこと。


『はい……。お邪魔します……』


 しばらくして、少女の声でそう告げられる。おとなしそうな線の細い声は、いつか亜空間で聞いた、思わず優しめに接してしまった声と酷似している。


 間もなく、テーブルの前の空間が歪み、高さが姿鏡ほどもある大きな黒い楕円が出現する。大きさこそ違うが、《収納》で出すものと同じだ。


 そこから出てきたのは、黒いタイツ、黒いミニスカート、黒い羽根飾りのついた外套、髪は焦げ茶のようだが黒い帽子を被り……、


 そして目を黒い布で覆われ、頭頂部からは異様に長い二本の角を伸ばした、黒い少女だった。


「こ、こんばんは。皆さん……」


 外套には白い生地もあるが、やけに黒率の高い少女がペコリとお辞儀をする。


 当初真っ赤なドレス姿だったジルでさえも借り物のチュニックを着ていて、室内ではみんな至って普通の装いの今、少女の黒と目隠しの外見はあまりに尖りすぎた個性だったが、中でも俺が真っ先に目がいってしまったのは頭から伸びた二本の長い角だ。


 お辞儀をした少女――ゾフには、頭を重そうにしたり、周囲に角が当たることを気遣う素振りはなかった。


 角度的には20度程度の低い角度で伸びている横に長い白い角は、転移門だかゲートだとか呼ばれていそうな黒い楕円から出てくるときには“先がなかった”。正確に言うなら、“枠に隠れて見えなかった”んだろう。ゾフが黒い楕円から出たと同時に、黒い楕円からはみ出る分の先が現れたのだった。


 俺の《魔力装》も完全に遮断していたし、角もそういう仕組みにしているんだろうが……。

 転移してきたことも含めて、ファンタジー極まれりだ。


「うむ。久しぶりだのう、ゾフよ。いつ振りだったろうか」


 少女にまつわる諸々で好奇心をビシビシ刺激されつつ、でもさきほどから脳内処理の追い付いてない俺とは違って、インが平然と声をかける。同じ七竜だもんな。


「イ、インさんとは、……105日振り、だったと思います……」


 完璧な個性を擁した外見の割に、亜空間で話した時の例によってどもりながらゾフが答える。105日ね。正確だな。記憶力いいのかな?


 インが立ち上がったため気付いたんだが、ゾフはインよりも背が高かった。

 とはいえ、ゾフは150あるかないかといったところだ。ジルは人型モード=成人であると発言をしていたので、ゾフはこの状態が成人なのだろう。


「そうか。3か月経ってたか。その角はまたエルフらにもらったのか?」

「はい! い、今一番の……お気に入りの角です……」


 ゾフが機嫌よく自分の角を軽く触る。


「ほう。それはよかったのう」


 角好き少女か。加えて黒好きの。


 それにしても、頭巾のような帽子をかぶっているので判断がつかなかったが、角はどうやらゾフの頭から生えているものではないらしい。

 ともあれ、個性的すぎる見た目とは別に中身の方は亜空間で軽く喋った時に受けた印象のままの、お喋りがあまり得意ではなさそうな、おとなしめの性格らしかったのでいくらかほっとする。


「既に知ってるようだが、こやつがダイチだ」


 インの紹介でゾフが俺に向く。目隠しがあるため視線が分からないので変な感じがあるが、とりあえず本来目がある場所の布に視線をやっておく。というか、挙動的に盲目って感じはしないな。


「よろしくね」


 とりあえず以前喋った時同様に、職場の子よりは年下の女の子に対する優しめの声でそう言っておく。

 まだ若干、外見やらなんやらに戸惑っているところはあるが……いい子だと信じたい。


「ご、ごめんなさい!」


 だが、よろしくとは返さずに唐突にゾフは謝ってきた。え、なにが?


「急に戦いをしかけてしまって……イ、インさんを傷つけてしまって……」


 ああ、そこね。てかジルの指示だろ?


「ジルの指示だったんでしょ?」

「は、はい……い、いえ! は、はい……」


 どっちだよ。内心で苦笑する。


「まあ、一応わだかまりは解いたというか……」

「……そうなんですか?」

「うん。とりあえずは。食事を振る舞ったくらいには、一応?」


 ジルを見ると、ふいとそっぽを向かれてしまう。おい。合わせてくれよ。


「そ、それと、……皆さんをずれた場所に……転移してしまって……」


 ずれた場所? ああ、亜空間に転送されたこの場所からね。それは俺だけに謝ることじゃなくないか?

 インに救いの目線を送ってみるが、インは特に助けてくれる素振りはなく、俺の視線には疑問符を薄く顔に貼りつけているだけだ。


 だが、何かしらは感じとってくれたようで、


「気にするな、ゾフ。ダイチが私とジルをここまで運んでくれたからの」


 と、会話に参加してくれる。さすがイン。


「はい……。もう魔力が……あまり残っていなくて、……亜空間を、元の位置にずらすには……あの位置が限度でした……」


 亜空間を移動させるとか、どれだけ難しいことなんだろうな。正直想像もつかない。


「ありがとな。あれ以上離れると大変だったから助かったよ」


 一応そう穏やかめにお礼を言ってみると、「い、いえ……すみません」と再度謝られながらも、どことなく照れた感じがあったので安堵する。

 外見はともかく、やっぱり中身は俺の印象のままの子のようだ。インやジルをベースにするほかないが、気が弱そうだし、あまり竜っぽい感じの性格ではないけれども。


「ゾフ」


 そんなやり取りの最中に、ジルが呼びかける。


「は、はい。何でしょう?」

「……援護助かった。……ありがと」


 唐突なお礼だったが、ゾフが「い、いえ……」と答える。戸惑いの方が強いようだが、かといって特に悪いものは感じない。


 一瞬何のことかと思ったが……なんだ、お礼言えるんじゃないか。素直じゃないね。

 ジルのことを見ていたら睨まれた。はいはいすみませんね。


「で、ゾフよ。お主はダイチが転生者だと知っていたのか?」


 いくらか微笑ましいムードが漂っていたように思うが、そんな雰囲気をインがぶつ切る。

 ジルとゾフとのやり取りにはあまり興味がないものらしい。ちょっとインらしくはないようにも感じたが、同じ七竜相手だし、これもまた本来のインというべきか。


「は、はい。……魔力の波動が……他の方と違っていましたし……」

「ふむ? それはジルを下したと言う氷魔法か?」

「はい。み、見たことのない魔法だったので……ちょっと、調べました……」


 いつの間に。転移できるくらいだから、移動させるくらいはわけないのかな。


「ほう。何が分かった?」

「はい……。生成された雪は、……魔法が解除されない限り、溶けませんでした。……こ、氷も同様です」


 ふうん? 雪解け水もなかったしな。なんなら称号システムは「遺失魔法」とか言ってたし、この世界の現在の魔法と規格が違うっぽいし。


「……破壊を試みましたが、……ガルロンドの氷塊や、……ルオさんの氷魔法で出来た氷より……」

「硬いと?」

「は、はい……《氷の魔女の癇癪ヨツンズ・スパンク》の氷は溶けましたが……例の氷魔法の氷は、……ジルさんでも溶かせませんでした」

「それは……とんでもないの」


 インが薄い笑みを浮かべながら俺を意味ありげに見てくる。ゾフも見てきた。こちらは布で覆われているので表情は分からないが、特に口元には変化はない。


 いやいや……。


「俺に説明を求めても大した説明できないよ?」


 俺が慌てて言うと、そうだったの、とインはふっと表情を緩めたようだ。

 仮にできても、どのくらいのダメージを入れたら氷が砕けるとか、どの程度の状態異常抵抗を揃えれば凍結状態を防げるとかのゲーム内メカニズム的な説明しかできない。


 まあ、ゲーム内のネタスキル扱いを鑑みると、かなりランクアップしているようだけど。

 ……考えてみたら、俺、危険人物だな……七竜確殺できるようだし。


「気になるところはあるだろうが……ま、ダイチに敵対する意識はないからの。そこのところは安心してよい。しばし寝食を共にした私も保証する。こやつは本来戦いの類を好まぬ気性でな。……もっとも、私や隣室におるダークエルフの姉妹なんかの身内を害しない限りは、といったところだがの」


 インがひょうきんにそう言って、目で同意を求めてきたので、一応頷く。


 無闇に使うつもりはもちろんないが……今回のようなケースが頻発するのなら、その先の展開には正直ちょっと自信がない。

 いくらインが不死であるとはいえ、あんな惨い仕打ちを見せられるのは勘弁してほしい。……七竜はインの身内だし、できる限り仲良くしたいし、殺すことも避けたいが……今は七竜もいるし、やめとこう。あまり考えたくない話だ。なまじ完璧に殺せる手段があるのは困るよ。


「……まあ、半分は信じとくわ」

「素直じゃないのう。散々助けてもらっておいて」


 ジルはインの嘆きを取り合わずに続ける。インとのこれまでの会話でいくらか察していたけれども、ジルはヒステリックなところはあるが、結構理知的な性格でもあるようだ。


「……で、ゾフ。あんた何しに来たのよ。こいつが転生者なのは分かったわ。無害そうなこともね。わざわざ謝りにきたの?」


 ジルが面白くなさそうな声でそう訊ねる。転生者について結構あっさり納得したな……。インは転生者のことをあまり知らないようだが、ジルは知ってるのか?


「それもありますが……あ、明日、……お二人はフェルニゲスに集合せよとのお達しです……」


 ゾフの言葉を聞くと、ジルは途端に驚愕を顔に貼りつける。


「ほ、ほんと?」

「はい……」


 しばらくして、ジルは盛大なため息をついた。インもしばらく眉をしかめて黙考していたが、「まあ、そうなるだろうな」と納得したようだった。


 ……なに? フェルニゲスって。

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