3-16 死線採集 (2) - ハムラとタタバミ
部屋で準備を整えた俺たちは、市場でリンゴ、ヤギの乳、食糧の干し肉や
もちろん目的地は銀竜の顎――インの住処ないし七竜の聖域ではない。七竜の聖域の周囲のエリア、「外郭」と呼ばれている場所だ。ここに夜露草が生えているらしい。
俺が
“人の子ら”が七竜の住処に無闇に近づくことはあまり褒められたことではないし、ジョーラも話していたように聖域に許可なく踏み入ることは国で禁じていることではあるが、イン曰く、外郭の方は様々な理由から隠れ住んでいる人がいるのはよくあるとのこと。
様々な理由とは、動植物や鉱物などの研究者、人や世間を嫌って隠棲している魔導士や武術家の類、熱心な信者、あるいは何らかを理由に人里を追われた者たちなど、らしい。
外郭への道は狭かった。道は馬車が一台通るのでやっとだ。傍にはすぐに狼の森があり、安全路とも言い難い。馬車が通ることを想定した道ではないだろう。
この道は、かつてシャイアンは狼の森を出た後に通った街道から南にある小道で、狼の森と俺が飛竜たちと戦った草原との間に位置している。草原側は切り立った崖になっている。
今回は俺の生まれたティアン・メグリンドの小屋付近の草原に行くわけではないと思うのだが……。
飛竜と戦った草原はひたすら広かった。
ウインドウのマップだと広さは「メイホー村 < 狼の森」なのだが、草原や銀竜の顎はそれ以上に広いようで、未だにマップ情報で半分も披露されていない。
ああいったスタジアム何個分の規模の広さを持つ場所に夜露草が生えていて、なおかつ、原っぱやら森やらが延々と続き、加えて採集の目的物が他の雑草と見分けがつかない上に、珍しい草……あまり考えたくない話だ。
この人数で探して本当に見つかるのか。移動前は探す気満々ではあったけど、今は正直不安しかない。
その不安を反映したものではないだろうが、ディアラとヘルミラはそれぞれ槍と弓を手に構えて警戒態勢を取りつつ歩みを進めている。
ジョーラと俺とインが二人を挟んでいるし、ジョーラも狼程度に後れをとらないとは告げているおかげもあって声をかけられないほど緊張しているわけではないのだが、かといって呑気に話しかけるのも躊躇われるほどには二人は真剣だ。
平和な世の中で生きていた俺はその辺り素人だけど、二人は力みすぎで腰が引け気味だ。あまり専心がすぎると、かえって悪い結果を生みやすい道理くらいは知っている。なにも戦闘に限ったことじゃない。
里では多少狩猟をしていたというが、まぁ……狼には一度煮え湯を飲まされているしね。
大丈夫だよと声をかけて安心させたいのは山々なのだが、血のにじむような戦闘にまつわる鍛錬をしてない俺には――尻の血流を悪くして、睡眠不足に陥るくらいの努力という名のデスクワーク&オンゲ活動はしたけど――彼女たちの緊張を理解できるとは言いづらく、話しかけかねている。
一応狼は一度相手をしていて、スキル任せだが問題なく対処はできるんだけどね。
マップでは森の中で赤いマーク、つまり狼たちがうろちょろしている。
先日のインの“威嚇”は未だに継続中だそうで、彼らは一定の距離以上は詰めてきていない。称号では狼頭領とか言われていたくらいだが、まさにそうだ。
とはいえ、姉妹にはインの防御魔法も付与されている。
イン曰く、「狼の噛みつき程度どうということはない」とのことなのだが、だからといって堂々とするのが難しいのは探知ができている俺も内心では視界の右上でちらちらマップを見ていて細心を払っているので気持ちは分かる。物理的接触はなくても、目はつぶっちゃうだろうしな……。
ジョーラはスキルでマップ情報が見えているわけはないと思うのだが、特にキョロキョロしたりはせず、堂々としたものだ。
マップ情報という俯瞰情報を得ていることにズルをしているような気分を味わいつつも、この差だ。結局場数なんだろうな、と思う。何でもそうだ。たとえ、マップ情報という「得難い先見の知」があっても、自信がつくわけじゃない。
結局姉妹には一度だけ水を薦めて軽く緊張をほぐしてやった。
ちなみにそんな姉妹にとって懸念事項の狼だが、実際のところ、全くないわけじゃないが、彼ら狼はさほど通行人を襲うことはないそうだ。
それは「狼の森」の狼たちが、メイホー村の村人をはじめとする人々が自分たちを狩れる捕食者であり、自分たちが被捕食者であることを聡く認識しているかららしい。
もちろん夜の一人歩きの時には襲われる確率は高いので危ないし、はぐれゴブリンの例のように、まだ群れ意識が薄く、弱肉強食の現実を甘く受け止めている子供の狼から襲われることはままあるが。
この話を聞いていて、俺はこの世界の狼は俺の世界の狼よりも野生の程度が低いのかもしれないとぼんやり思った。
スキルや魔法のある世界だ。
この世界の住人によって被捕食者になる可能性は俺の世界よりも高いだろう。狼たちの間で、「あいつらは“火を噴く”こともあるから気をつけろ!」だなんて、動物的なテレパシー的やり取りが交わされているのを想像するのも何も不思議なことではない。
ペットの動物が野生を失い、狩猟が下手になってしまうように、動物における野生というものは環境によって激変する。それならば、狼の野生が変化していくらか理性的な動物になるのも道理だ。
あまり会話もないまましばらく歩くと、開けた場所に出た。そこにはハリィ、アルマシー、ディディ、ハムラの4人が既に控えて待機していた。
馬はいない。傍には馬にも乗せていた、使い古したリュックやキャンプ道具っぽい荷物、大きな盾などが置いてある。なかなか多い。
アルマシーは手にしているランスの他に、布を巻いた槍を持っている。形的にハルバード辺りの槍だろうが、スタンダードな形ではないし、柄にも膨らみがある。
かぶせている真っ白な布も上等なものだ。転生前からすると、布団カバーとかに使いそうななんてことのない白い布だが、この世界だと違う。
中身は高価な槍かもしれない。ジョーラが使う、七星の槍使いが使うに相応しい槍。
「参拝者はいたか?」
「きていないようです!」
「よし。好都合だな。なら行こうか。ハリィとダイチが先頭を頼む。私とディディが後ろ、アルマシーとハムラは中で、二人とインを守ってやってくれ」
特に異論はないので、ジョーラの指示に従う。先頭に行く前に、インの肩を指先で3回叩いておく。
『なんだ?』
――隊列を組むみたいだから、念話出来るようにと思ってね。……ジョーラたちに道を任せているけど、飛竜たちにはもう指示出してあるの?
『とっくに出しておるぞ。私がいいというまで飛竜たちが顔を出してくることはない。ついでに前に紹介した部下の二匹には一応夜露草を探しておけと命じておいたぞ』
――ありがとね。人型でだよね?
『うむ。私ほど変身時間があるわけではないんだが、ヤツらも夜露草のことは知っておるしな。人型でなければ草なぞ摘めん』
――……もしかして、合流しないよな?
『いや、せんよ。バレはしないと思うが、近づくなとは言っておるよ』
ふむ。
インとそんな念話をしつつ、ティアン・メグリンドの小屋から降りてきた時と似た穏やかな傾斜の坂道を登っていると、ハリィ君から唐突にしばらくは飛竜も魔物も出てこないので安心してください、と告げられる。
確かにマップ前方および周囲には赤いマークは全くない。
「そうだな? ディディ」
「問題ありません。第一出たところで、この辺りのは飛竜以外は大したのは出てきやしませんね」
ディディはどうやら探知に長けているらしい。飛竜以外の魔物は何が出るんだったかな。ゴブリンとかネズミだったか?
「ディディはスキルの《気配察知》を持っているんですよ。なので、肩の力を抜いて大丈夫ですよ。お二方」
やっぱりか。
お二方とはもちろんディアラとヘルミラのことだ。ハリィ君紳士。
「はい」
ハリィの言葉に姉妹がふうと息をついて、肩の力を緩めた。
「大丈夫かい?」
一度声をかけて好きにさせていたままだったので、俺も声をかけてみる。大丈夫です、とちょっと疲れた感じで微笑まれる。うーん、撫でたいが……ちょっと我慢しよう。
「はは、そんなに緊張しなくても大丈夫だって。私たちもついているし、気持ちの体力の温存しときな!」
ジョーラがそう陽気に二人に言って、肩を叩く。気持ちの体力か~。
「そうですよ! 私がしっかりお二人を守りますからね!」
アルマシーも二人を励ます。ありがとうございますとにこりと二人。
最初は部活か、とか思ったものだが、こういう時は元気の出る声だ。アルマシーはジョーラ部隊のムードメーカーかもしれないね。
アルマシーの情報ウインドウが出た。レベルはディディの2個下の35で、特に変わった情報はなかったが、32歳でディディよりも年上らしい。
アルマシーは張りのある頬や良く動く表情などで若々しい顔をしているので、ディディの方が年上な感じはある。ディディはあまり表情を崩さず、常に軽く眉間にシワを寄せているからだ。
ハムラは追従笑いこそすれ、まだ喋っているのをろくに聞いてない。完全にイメージからだが、まず無口な人間ではないように思う。
「なんだい?」
見てしまっていたのに気づかれてしまったようで、ハムラが首を傾げる。
ちょうどいいと思い、インから既に聞いてはいるのだが、「植物に詳しいと聞きましたが、夜露草ってどんな植物なんです?」と訊ねてみる。ハムラの人となりも気になるしね。
「タタバミっていう植物が魔力により変異したものだね。ああ、タタバミはねぇ、クローバーとよく似ているんだけど、雪国でも沼地でもどこにでも生える逞しい野花だよ。生えない場所は砂漠くらいだろうなぁ」
思ってたよりもずっと丁寧に教えられる。口調はやはりというか、緩くてチャラい兄ちゃんといった感じではあるのだが。
それにしてもクローバーか。小学一年生の頃、四つ葉のクローバー探しをした覚えがある。もっとも、覚えているのはやったという事実だけで内容は全く覚えてない。
「だけど小さな花を咲かせるタタバミとは違って夜露草は花が大輪で、さらには魔力を溜める性質があってね。溜め込んでいる魔力の量によって背丈を伸ばすんだ。俺のきいた話じゃ、最長では1メートルくらいになるって話だよ。花もヒマワリやクレマチスくらいの大きさになる。もっとも背丈が変わらない場合もあるんだけどねぇ」
インの話通りだが、でかいな。てか、聞いてた通り植物にだいぶ詳しいらしい。
ハムラのイメージはガーデニング好きのお兄さんで定着しそうだ。顔が整っているのでこれで関西弁とかだったら、テレビが放っておかない逸材になりそうだ。
「なら咲いてればすぐに分かりそうだな」
と、ジョーラ。だね。
「魔力も周囲に撒き散らしていますしね。ただ」
「数が少ないんだろ?」
「そうなんですよね。霊薬と同等と言われるほどの植物だけあって、非常に珍しい植物です。開花していないものではタタバミと見分けるのは困難ですし、開花の時間は二日もないらしいです。薬草に詳しい者の間では千本タタバミを摘んで一本夜露草があれば運がいい、とも言われているほどです」
そりゃきついな……。ハムラの言葉にディディが舌打ちをする。
「おいハムラ。お前……やる気あるのか?」
突然のディディのきつい言葉にジョーラがよさないかとたしなめる。
ハムラはディディの言動にちょっと焦った顔をしている。なんで急に喧嘩腰に?
「来る前にも言ったが、主戦力でないハムラを連れてきたのは植物と採集に関して詳しいからだ。それにディアラとヘルミラはともかく、あたしは軍に入ってから随分経つし、お前たちにしても植物に詳しくない。つまりその辺り詳しい者に具体的に指示してもらわなければ探しようもないというわけだ。それはお前も分かっているだろ?」
ディディがはい、と口をつぐむ。
「下手に希望を持っていると疲れるだけだぞ。感謝はしているが……そこのところは理解しておけ」
「すみません……」
ジョーラがズバっと言う。ああ、なるほど。ディディが喧嘩腰になったのは厳しすぎる現実を突き付けられたからか。それにしてもさすが大将の言葉は重みが違う。
それから、「すまんなこんなことに付き合わせて」と、ジョーラが声を落として言葉を続ける。
「謝らなくていいよ」
もう苛立っているわけではないのだが、つい言葉が出る。沈黙があった。一番肩身が狭いのはジョーラ以外の何者でもないのは分かってるよ。
「ハムラさん、どういう作戦で探すんですか?」
何か言おうかと思っていると、ディアラが沈黙をやんわりと破る。ナイスだ、ディアラ。
「えーと……一応まずは現地を見ないと何とも言えないんだけど、タタバミの群生地を見つけたら魔力探知の魔法を使うつもりではあるよ」
ハムラが慌てて答える。スキルの《魔力眼》の魔法バージョンかな。……ん? でも《魔力眼》の対象は主に補助魔法だったよな。つまり……
「魔力を感知したらそれが夜露草っていう?」
ご名答と、ハムラが振り向いた俺に指を指しながら言う。軽い。クイズ番組の司会の決めポーズか何かみたいだ。ハムラのノリに、ディディが喧嘩腰になるのも少し分かってしまった。
てか、魔力探知ってインにできないのかな?
「副隊長から聞いた話では、メイホーの村人たちはときどき銀竜の顎に分け入って薬草やワラの採集をしているそうでね。薬草はともかく、ワラの元になるイネは大抵背丈が高いし、群生していることも多い。イネの多く生えている場所に、他の植物が一切生えないなんてことはもちろんないんだけど、イネが群生しているならその他の群生地に絞って探す方がいい。イネが群生していなくて、タタバミが多い場所。最悪クローバーの群生地でも構わないが、とにかくそこで魔力探知をかけるのさ」
結局、雑草探しだしね。絞れるところまで絞った方がいいのだろう。
「私が聞いた話では、村人が入ったのは銀竜の顎の麓、外郭の中でも遠い場所だよ。敬虔な村人が外郭とはいえ銀竜様の聖域に分け入るくらいだから、外郭ですらないかもしれないぞ。……ハムラの言っていることはあくまで観測なので注意してくださいね」
ハリィ君が俺たちに真摯にそう述べてくる。現実を受け入れろと言ったジョーラの副官だけあるのか、全く現実的な発言だ。
それにしてもハリィ君は俺の中ではジョーラの小姓的存在であり、苦労人気質の可愛い後輩的な認識でもあったので、軍人らしいというか、きっぱりとした物言いに多少驚く。
「まあ、なんというか、なにぶん七竜様の住処なのが辛いとこですねぇ……。参拝場所や巡礼箇所なら別なんですが、住処は聖域はおろか外郭もたいてい人跡未踏の地ですし。口承でも文献でも伝えることは禁止されていますからねぇ」
慣れているのか、ハリィ君の指摘にさほど意を介さず、ハムラが肩を落として嘆く。
銀竜の顎でもそうだが、他の七竜も自分の住処には信者をこさせないのか。まぁ、寝床などのプライベートな場所で公務的な態度で接されるのが嫌になる気持ちは分からないでもないけども。
「こればかりはな。だが、タタバミの群生地を探知していくのは確かに効果的なように思う。私たちはとりあえずタタバミとクローバーを探せばいいのか?」
「そうですね。ちなみにクローバーは、ハート型の葉っぱが三つで一つになっている野草です」
そう説明してハムラが歩みを止めて、地面に杖の石突でクローバーの葉を描く。ハートの底の部分が三つ集まった、クローバーの葉。外見は現実世界と全く一緒のようだ。
クローバーを一生懸命探すなんて、大の大人がやることではないようにも思うが、この世界に住む彼らにとってクローバーがどういう風に認知されている植物なのかは分からない。
四つ葉を見つければ幸せになる、なんて子供が喜ぶ逸話が現代にはあったが、皆の真剣な様子を見ていると特にそんなものはないように思えてくる。
「タタバミの葉も三つ葉で、クローバーと一緒なんですが、クローバーの葉には白い線が入ってます」
そうしてハムラは、「ちなみにタタバミの花はクローバーと違ってですね……」と、五弁の可憐な花を描く。
「そして、これがクローバーの花」
さらさらと今度はキクの花に似たクローバーの花を描く。上手い。
「お上手ですね。花は結構違うんですね」
と、ヘルミラ。
キクっぽいだけあって、クローバーの花の方が豪華だ。
一方のタタバミは立体感がなくぺたんとしていて、可憐と言えば可憐だが、子供でも描けるような安っぽい花だ。
「そうだね。花が咲いてたら簡単に見分けがつくけど、必ず花が咲いてるわけじゃないし。咲いてないのも見分けなきゃならないから、葉っぱの違いはひとまず覚えといてね」
一応探すときには、俺たちにタタバミとクローバーを持たせるつもりらしい。
きっと腰が疲れるだろう。休憩は適宜入れよう。探知魔法のチェックを終えた範囲には槍でも立てたらどうか。夜はどうするか。
クローバーとタタバミの違いを軽く説明してもらったあと、皆でそうした作戦談話をしている間、折を見て、インに魔力探知ができないか訊ねてみた。
『できんよ。いや、魔力の探知自体はできるんだが、動植物の持つ微量の魔力を感知するとなると私には少々不得手での。開花していて、魔法が使えぬ者にも魔力が視認できている時ならともかくな』
そうか。
『……ふむ。少し教えとくかの。魔力には指向性があっての。例えばダイチが私に攻撃魔法を放った場合、その魔力の探知は容易い。子供にもできよう。危機感知も働くしの。だが、自動発動する魔法罠の類や、夜露草のように何の指向性も与えられていない微量の魔力を感知するとなると、別の話なのだ』
なんだかややこしい話だ。
『要するに別の能力が要っての。ジョーラの奴が《魔力眼》を持っておるだろ? あれでも見えん』
――《魔力眼》で見えるのは補助魔法だけだよね。
『うむ、その通りだの。……ん? 《魔力眼》について教えたことあったかの。……もしやお主、《魔力眼》を持っていまいな?』
――え? うん……まあ……。
“念話の後ろ”でため息の気配がした。リアルのインも俺にジト目を向けている。
『七竜の矜持と威厳をここまで木っ端にされたのは、私くらいのものであろうな。ジルの奴が知ったら、烈火の如く喚きそうだの。はぁ……よかったの? 七竜一寛大な私が相手で。……ま、ともかく、私の方では手っ取り早く手伝うことはできんよ。すまんの』
赤竜のジル、ね。怒ると怖い系か。
――気にしないで。なんか見つけるコツとかないのかい?
『そうだのう……。私の巣の近くならよう咲いておったと思うんだが……さすがに巣の場所を教えるわけにもいかぬし、魔力が濃いし来ることはないだろうしの。見た目でも目立ちはするし、もし咲いていたら割と遠方から分かるとは思うがのう』
ふうむ。ひとまず地力で探すしかないか……。
ジョーラ部隊のこれまで築いてきた魔物討伐譚やジョーラの実力の賛美。ハリィ君によるジョーラ部隊のずさんな部分や、オルフェの内政事情の一端に対する愚痴(ディディがちょくちょく同意していた)。姉妹に向けた槍と弓のコツ談義。
また、俺とディアラたちとの出会いはドラマチックではあったので内部も外部も大変盛り上がったが、俺の生い立ちや格闘技術や魔法のルーツ、インとの出会いなどは全く話題を掘り下げられないために絞り出した俺の「旅が好きで各地を巡っている」という言葉から、各々が提示した各地の絶景スポットの話。
内心では違和感なくどうはぐらかそうか、少しひやひやしながら会話を楽しみつつ。
姉妹のペースで進み、かつ、休憩も挟んだためか、降りて来た時のような体の疲れがどっとくることもなく、そうしてやがて俺たちは開けた場所に出た。
目にした光景に、正直誰もが思ったと思う。
作戦なんて、意味ないだろうと。
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