第66話 盗賊の砦・地下一階②




 上から目線ってのは見下されているみたいで、気分は当然よろしくは無い。連中は4人いて、その中の1人は明らかに雑魚とは一線を画していた。

 つまりはボス級、ってか名前がオレンジ表示である……ユニーク種らしいが、名前を“影渡り”のルスカと言うらしい。戦略的に有利な地点も取られてるし、参ったね。

 つまりは、ヤバくなったら秘密の通路に逃げ込む作戦も使えない。


 しかも部下の1人が、命令に従って仲間を呼びに走り去っていく気配。もう罠に引っ掛かるなよとの声は、お優しき同僚かららしいけど。

 つまりは一番下っ端が、罠に掛かって満身創痍まんしんそういらしい。やや冷静さを取り戻した俺は、海月モドキに“妖怪”塗り壁モードへの変形の電波を飛ばす。

 上手く行ったかは不明だが、どちらにしろここを突破しないと話にならない。


 さてさて、それではこちらも本気を出そうか……SPも充分に貯まったし、小休憩のお陰で魔力も戻って来ている。天使のベールはいいな、良い拾い物をしたよ。

 相棒のファーに本気モードを告げると、悪巧みな笑顔が返って来た。盗賊達にすら無視され、プライドが傷付いたのか……或いはわが仔の捕獲計画を聞いて、静かに怒っているのかも。

 どちらにしろ、彼女の反撃は派手だった。


 水晶玉の乱舞で、複数個所で派手な爆破が巻き起こる。それに合わせて、俺も両手棍スキルの《乱撃》を披露。広範囲に振り下りるダメージに、近付いていた敵の群れは哀れな姿に。

 次の策は決まっていた、上の連中を何とかしないとね……ファーの真似をして、ベルトのポーチから水晶玉を投げ込んでやる。慌てる連中に、両手棍での打撃もプレゼント。

 棍棒の長さのお陰で、前にいた盗賊のすねの辺りに攻撃が見事ヒット!


 あまりの痛さに、もんどりうって転げ回る雑魚盗賊。情けない事に、そいつはそのままトラップ部屋に転落して来た。狙っていたUM盗賊は後ろに下がっている、さすがに注意深いな。

 それでも水晶のダメージは与えた様子、冒険者の身体能力なら2メートルの段差程度は超えられる気がする。今行くべきか、もう少し慎重に敵を減らすべきか……?

 ええぃ、男は度胸……行ってしまえ!!


 爆裂玉を取り出して、段差の上へと放り投げて改めて隙を作ってから。ファーに声を掛けて、この底辺の部屋からの脱出を告げる。

 ファーもネムも空を飛べるので、脱出は何でも無い作業だったりする。実は、滑り台の仕掛けにはまったのも俺一人……ネムなど律儀に、後をついて落ちて来てたのだ。

 頼りないご主人で御免よ、ここから是非とも挽回せねば。


 喧騒けんそうは上手い事伝播でんぱしていて、二つ名を持つUM盗賊も幸いにもこちらから注意を逸らしてくれていた。お蔭で懸垂の要領で、無事にトラップハウスからの脱出に成功。

 両手棍は邪魔なのでいったん収納、武器を持たずの上がり際に攻撃されるのは充分承知。通路を転がって移動しながら、ファーとネムの援護に期待しつつ。

 自身は手甲に収納していた投げナイフを、手近な敵に投げつける。しかし投擲とうてき技を使うのも久し振りだな、まぁ水晶玉の投げ付けにも投擲スキルは適用されてるっポイし。

 無駄ではない筈、今も急所に刺さって雑魚盗賊Bは悶絶しているし。


 しかし人の形の敵って、やはり感情が豊かと言うか急所がてんこ盛りと言うか。お蔭で武器を取り出す余裕が出来た、ってか雑魚盗賊Aはネムにたかられて既に戦力外。

 これで残ったのはボスだけ……と思ったら、報告に去って行った雑魚Cが慌てた様子で戻って来た。どうやら海月モドキは見事に役目を果たしてくれた様子。

 まだ分からないが、増援の気配は感じられない。


「ルスカ様、なんか黒い壁が通路に出来てて、階段を上がれなくなってるんですが……」

「なんだそりゃ、使えない奴らめ……さっさとそのガキ倒して、竜の仔をひっ捕えろ!」


 向こうは揉めているみたいだが、こちらは敵の動向を確認出来て一安心。やはり報告には行けなかったみたいで、これで増援の可能性はほぼ無くなった。

 後はここにいる戦力を確実に倒すだけ、トラップハウスでは出来なかった強化魔法をそっと掛けつつ。盗賊UMからは目を離さない、何しろコイツはかなり手強そうだ。

 両方の手に違う武器を持っていて、どうやら二刀使いらしいのだが。


 命令された雑魚Cが、慌てた感じで突っ込んでくる。取り敢えず《硬化》の呪文は掛け終えた、多少の安心を得て迎え撃つ構えを取って。

 コイツもろくに武器を扱えないみたい、盗賊団って本当に戦力はピンキリだな。などと油断していると、不意に死角からナイフが飛んできた。

 盗賊UMのルスカの仕業らしい、さすがに避け切れずにダメージを喰らってしまったけど。雑魚盗賊とのコンビプレーは全然成立せず、この隙に付け込めない体たらく振り。

 俺と相棒を見習えと言いたい、いや余計なお節介か。


 邪魔でしかない雑魚盗賊を上手く利用して、こちらが逆に呪文の詠唱の隙を作ってやる。闇魔法の《Dジャッジ》は、ルスカにはレジストされたが雑魚Cには覿面てきめんに効果があった。

 コイツはネムに任せて、俺はボスに張り付く事に。短刀2本で攻め立てるボスUN、スピード感が半端じゃない。こちらの攻撃も、短刀で巧みに逸らされる技巧派の技。

 やっぱり強いな、さすがレア級認定だけはある。


 それにしても、さっきの闇魔法レジストが少し気になる……コイツの二つ名は確か“影渡り”とか何とかじゃなかったっけ? ひょっとして闇属性なのかも知れない、そっち系の技能も持ってるとか?

 考えた先から、向こうは先手を取って来た。しかも予測していた闇系の魔法、俺も持っている《Dタッチ》の呪文だ。モロに喰らってしまったが、慌てる事は無い。

 目潰し攻撃は何度か喰らっているし、隙さえ作らなければ何とでもなる筈。


 手甲を前面に押し出し、防御の構えでこちらも呪文を紡ぐ。何度か短刀を弾く感触、何故か腕輪の攻撃反射の効果も発動した感覚が伝わって来る。

 反撃の《フラッシュ》の目潰し返しは、敵のいる方向に勘頼みで放ったモノ。ただし相手の短い悲鳴が聞こえて来たので、効果はあったみたいだ。

 まぶたをしぱしぱさせてみる、ようやく薄ぼんやりと視界は戻って来た。


 相手の隙を見逃したくない俺は、短槍で無理やり攻撃に転じる。残っていた雑魚盗賊Cは、意外とあっさりネムが始末してくれていた様子。

 ファーがちゃっかりネムに騎乗していたので、相棒の稼働率は相乗効果で軽く2倍以上かも。頼もしい相棒を持つものとそうでない者の違い、見せつけてやろうと攻撃を激化させ。

 二刀流の敵UM盗賊は、その勢いに防戦一方。


 ……に見えたのも束の間、急に盗賊UMの姿が揺らいだと思ったら。地面に飲み込まれるように、奴は姿を消してしまった。なるほど、これが奴の奥の手らしい。

 二つ名の“影渡り”は、伊達や酔狂では無かったようだ。どこに行ったと慌てる俺と相棒ズ、定番だと自分の落とす影から出現するパターンかっ!

 その予想は大外れ、突然背後から威圧感を感じて。


 ファーの指差し合図が無ければ、首筋をバッサリやられていたかも。大慌てでの手甲でのガードは辛うじて間に合って、危険な一撃は防ぐ事に成功。

 続いて行使された《闇の断罪》と言う二刀流のスキル技は、避ける間もなく喰らってしまったけど。結構な威力に、こちらの体力は一気に3割程度持って行かれる破目に。

 普通に強いな、手下がいない方が実力を発揮しているルスカなにがし


 しかも毒ダメージまで、いつの間にやら付加されてるしっ! 何なのコイツ、ひょっとして盗賊団の四天王とかって嫌なパターンなんじゃあるまいか?

 試しにと尋ねてみたら、良く分かったなと厭味ったらしく答えてくれた。ちなみに大ボスの頭がいて、その下に四天王的な存在がいるらしい。

 “影渡り”のルスカは、四天王では片手武器最強の猛者だとの事。


「この二刀の牙と“影渡り”から逃れられた者は、過去に一人も存在せぬ……恐怖と共に沈め、盗賊団から盗みを働いた愚かモノよ!」


 なるほど、あの技はそのまんま“影渡り”と言うらしい。奴の言う盗み云々は事実なので、ここは敢えて反論はしないけど。

 素直に倒される訳には行かない、こちらも命は惜しいので。


 しかし連続で使えるとは思わなかった、再び地中へと沈んで行く“影渡り”のルスカ。対策を練るかダメ元でカウンターを狙うか、はたまた範囲魔法でも撃ち込んでみるか。

 策は幾つか思い付くが、どれが一番効果的かは試してみないと分からない。


 敵の能力を早速心得たファーが、俺と対面するように位置取りをしてくれる。なるほど、これでさっきみたいな背後からの不意打ちも、お互いの目でカバー出来る。

 何気に賢い娘だな、ファーってば……その彼女の咄嗟の作戦のお陰で、今回の不意打ちも回避に成功。どうやら長い間影に潜っているのは、性能的に不可能なのかも知れない。

 カウンターこそ取れなかったが、短槍での畳み掛けには成功した。


 ついでの勢いで《四段突き》を見舞ってやると、相手の体力も半減して明らかに苦しそうな表情に。ハイパー化でも来るかなと思ったが、奴が懐から取り出したのはただの回復薬みたい。

 飲ませる隙なんて与えるモノかと、ネムと共に嫌がらせの上下からの挟み撃ち攻撃に。すると今度は、闇魔法でのHP吸収に活路を見出そうと慌てて詠唱を始める盗賊UM。

 だからさせないってば、頭悪いのか往生際が悪いのか。


 こうなると、向こうの打つ手は限られてくる。案の定の再度の“影渡り”に、こちらも《ライトアロー》を撃ち込んで攪乱してやるけど。

 呪文の完成が遅かったのか、向こうの逃げの気迫が勝っていたのか。ダメージはそこそこ与えられたものの、ルスカの姿は再び影の中へと消えてしまった。

 まぁいいか、影の中で回復とか出来るなら話は別だけど。


 さてここで妙案が閃いた、簡単な理科の実験の時間だ……影を造り出すには、どうすれば良い? 任意の場所に造ろうと思ったら、その反対から光を当ててやればいいのだ。

 奴の能力が影がある事が前提だとしたら、それは逆手に取れる弱点でもある。そんな訳でまずは《ライト》の呪文、後はその光源の位置をしっかりと固定して。

 何をやるか感付いたファーが、影を消す行為を手伝ってくれている。


 本当に賢い娘だ、これで奴が出現し得る影は、俺の前にあるここしか無い。もっと遠くのこちらの視覚外に出現する手もあるが、それをされたらお手上げだ。

 その時は、素直にこちらの作戦失敗を認めるしかないが。そんな便利な能力を、何度も呪文詠唱も無しに発動させられるかは怪しいところだ。

 それこそチート能力、運営に抗議のメールでも出さないと。


 阿呆な事を考えている内に、ひょっこりと盗賊UMの頭が影の中から出現し始めた。しっかり待ち構えていた俺は、まずは《落とし突き》でカウンターを見舞う。

 敵の驚き声をBGMに、こちらの手番は続く。途中にネムの《尻尾撃》が入ったり、とどめにと用意していた《白垂飛泉槍》でも相手は生き残ったりしたけど。

 結果的に、こちらはこれ以上の被害は出ずに終焉しゅうえんの運びに。





 いやいや、盗賊団の実力を少し舐めていたかも……四天王であれだけの強さって事は、ボス盗賊はもっと強いのだろう。でもまぁ、盗賊を全滅させなくても義理は果たせると思うし。

 要するに半壊程度でも、連中が師匠にちょっかいを掛ける余裕はなくなる筈。ちょっと妥協して、その辺りを目指そうかな。しかし盗賊UMの、ドロップは割と美味しいかも。

 これはもう何人か、お相手して貰いたくなるレベル。


 スキルPこそ2と低かったモノの、他のドロップ品は割と豪華で。まずは闇の術書と盗技石が1個、それから冒険者の心得:初級が1枚にお金が2万モネー。

 お金は雑魚もちみっと落としていたかな、冒険者スキルは『竜宮の遣い』にでも振っておこうか。一点伸ばしが強いのは分かるが、現状は色々伸ばして比較してみたいし。

 冒険スキルにも、手持ちのスキルPが振れればいいのにね。


 後のドロップだが、冒険スキル『罠感知』と破砕の短刀というダガーが1本。それから『服従の笛』と言う危ない名前のアイテムに、『複合技:短剣・闇《闇の断罪》』がドロップ。

 いやいや、何か凄いドロップだけど大丈夫なのかな? 複合技の書は2冊目だが、こちらは短剣用なので、俺は使えないとしても。

 ちなみに服従の笛は、人間には通用しないらしい。


 モンスターには通じるのかな、そこら辺のラインが良く分からない。最後に『ハートの鍵』というアイテム、これはどこで使えば良いのだろうか?

 色々と謎なアイテムを含め、結構な量のドロップ品を貰ってしまった。しかしまぁ、砦に潜り込んでちょっとしか移動してないのにこの様だ。

 ――今後の作戦も、少し考え直すべきかな?





 名前:ヤスケ   初心者Lv23   種族:ミックスB+


筋力 54(+9) 体力 58     HP 268(+26)

器用 50(+4) 敏捷 60(+4) MP 203

知力 35     精神 33(+2) SP 168

幸運 21(+10)魅力 7      スタミナ**


職業(2):『新米冒険者』Lv23

武器(7):《乱撃》《撃ち上げ花火》《四段突き》《ブン回し》《貫通撃》

      《白垂飛泉槍》《落とし突き》

補正(5):《投擲威力20%up》《防御力10%up》《集中》《》《》

冒険(5):『野生』『水中適正』1『地図形成』2『隠密』2『魔力温存』1

武器:弓矢8P《貫き矢》《貫通撃》

  :短槍20P《落とし突き》《捻り突き》《二段突き》《四段突き》

        《白垂飛泉槍》

  :両手棍18P《ブン回し》《撃ち上げ花火》《Pハンマー》《乱撃》

  :盾8P《防御力10%up》《ブロッキング》

  :投擲6P《投擲威力20%up》

魔法:『闇』25P《Dタッチ》《バグB》《Bタッチ》《影纏い》

         《Dジャッジ》《闇の腐蝕》

  :『風』18P《風の茨》《風属性付与》《風疾く》《双翼撃》

  :『光』14P《フラッシュ》《ライト》《ライトアロー》

  :『水』24P《清き水》《水中呼吸》《Pヒール》《マナプール》《ヒール》

         《アクアガード》

  :『炎』5P《キャノンB》

  :『雷』8P《スパーク》《雷精召喚》

  :『土』8P《ストーンウォール》《地駆けラット》

  :『氷』8P《魔女の略奪》《アイスランス》

合成:『木工』3、1P

種族:『ミックスB+』(職業+1、幸運+4、器用+2、魅力-2、全耐性+20%up)

称号:『蝶舞』『猪突』『竜宮の遣い』『巨人討伐』

モネー:393、540

スキルP:29



 ***『新米冒険者』ヤスケ 装備一覧***


武器 :竜宮の短槍(12)  攻+15、精神+3

武器2:野蛮な大鎚(7)  攻+17、筋力+3

予備 :狩人の弓(10)  攻+12、命中率+35%up

盾  :野蛮な手甲(7)  防+8、筋力+3

頭  :竜宮の兜(10)  防+10、精神+3

上着 :飛竜のベスト(15)  防+15、耐風+25%up

鎧  :護衛の胸当て(6)  防+6、器用+2

下着 :クールな下着(5)  防+1、耐寒+20%up

アクセ:野生の御守り(4)  防+2、筋力+6、敏捷+2

指輪1:清水の指輪(4)  耐毒30%up、ヒール効果20%up

指輪2:契約の指輪(-)  従者+3

腕  :霊亀の腕輪《硬化》(10)  防+10、時々攻撃反射

ベルト:狩人のベルト(8)  防+6、ポーチ×5

下肢 :疾風のズボン(8)  防+7、敏捷+2

靴  :蛙のブーツ(8)  防+6、水耐性+30%up

背中 :海賊のマント(8)  防+7、敵対+2、魅力-2

従者:妖精Lv1  幸運+6、魅力+4、精神-4

  :仔竜Lv22《飛行》《尻尾撃》《ブレス》《噛み付き》《突進》

鞄:魔法の鞄(初心者用)+商人の鞄

アイテム:ポーション(大)×4、ポーション(中)×4、ポーション(小)×12

    :マナポ(中)×8、マナポ×14、毒消し×9、マナP×7、Sポ×7

    :ポーションP×15、ハイポP×10、万能薬×4、炎の神酒×3

    :闇の秘酒×5、聖水×5、目薬×3、鯨の骨、玉手箱天翔雷鳴

    :虹色の果実×9、魔石(小)×8、魔石(中)×3、魔石(大)、経験の飴玉

    :料理キット、冒険者セット、投擲セット、豹柄のマスク、魔力の核

    :闇の眼帯、魔除けの香炉、憩いの香木×2、時の狭間の香木×7

    :金のメダル×15、大猪の毛皮、還元の札×2、逆巻きの風呂敷(6)

    :幽霊の呼び水、水妖の呼び水、南瓜の呼び鈴、骨工ギルドの推薦状

    :闇の契約書、闇蝙蝠の牙、探索のコンパス『初級八属性魔術師』

    :旅人のマント《秋波斬り》魔法の腐葉土、銀葉樹の苗木、白い甲羅

    :霧の呼び笛、闇蛭の瓶、隠者の呼び水、忍びのブーツ、野蛮な大腿骨

    :壊れやすい鉢、魔水連の球根×8、淡い水瓶、服従の笛《闇の断罪》

    :森狼の毛皮、風の牙、奇妙な頭蓋骨、転換の札×2、鯨の髭×2

    :『妖精使い』星の涙、月の滴×2、木工ギルドの推薦状、飛竜の骨

    :海豹の呼び水、水と氷の香木、水中珊瑚、三色珊瑚、炎と雷の香木

    :ヒドラの鱗、宝飾の片手剣、戦闘メイド服×2『竜使い』暗塊の杖

    :ヒドラの生肉、飛竜の財宝『竜宮の遣い』従者の呼び鈴、革製の鞍

    :木人形の呼び鈴、理力の杖、波紋のロッド、竜玉石、星の涙×2

    :戦士の紋章、魔術師の証、騎乗者の鞭、魔力の大骨『罠感知』

    :盗技石×7、鑑定石×5、天使のベール、宝の地図、破砕の短刀




 さてさて、盗賊UMルスカとの戦闘ではレベルは上がらなかったものの。もう少しで上がりそうだったので、トラップハウスの残りの敵を《キャノンB》で焼き払い。

 せしめた経験値で、見事にLv23へとレベルアップ! ちなみに現時点で、盗賊の増援がやって来る気配は無い様子で一安心。

 そんな事後戦闘をこなして、今いる場所だけど。


 例のワイン庫に戻って、魔除けの香炉で時間を止めている次第である。ついでに光と風の香木も焚いて、魔法スキルを上げたりと成長に余念が無い。

 もちろん休憩が目的だが、レベルアップ時の諸々の作業もこなしたいし。レア種討伐で、結構なドロップ品も入手したのでその整頓も兼ねて。

 時の狭間の香木の数にも、割と余裕があったからね。


 ついでに逆巻きの風呂敷で、損耗の激しい武具の耐久度を修繕しておいて。ベルトのポーチの中身も色々と補充、使ってしまった分は鞄から移し替えておく。

 ちなみにトラップハウスでは、安全な場所から色々と試す機会もあったんだけど。時間が惜しかったので、それは後の安全そうな戦闘中に行う事に。

 特に弓矢スキルの《貫通撃》とか、試してみたい気は充分にあったのは確かだが。師匠の忠告に、耐久度が必ず減って行くぞってのがあったのを思い出し。

 自粛した次第である、威力の程は試したかったんだけどなぁ。


 ちなみに前の戦闘で大活躍した楯スキル、自然に上がっていたのでスキルPを追加で振り込んで8にしてみた。その結果、新たに《ブロッキング》の楯スキルを覚えたのだが。

 相変わらずのスキルスロット不足問題で、使う段取りすら侭ならず。本当に何とかしたいのだが、その手段が全く思い浮かばない。

 今後も武器スキルは増えて行く一方なのに、どうしたモノか。


 魔法スキルの方では、新たに《アクアガード》と言う水系の魔法を得た。『竜宮の遣い』の冒険スキルの効果で、自動的にスキルPが増えてくれた恩恵だ。

 この呪文は、アバターの強化系の呪文らしい。防御を数分間微増してくれるみたいで、既に持っている《硬化》とも重ね掛けは可能っぽい。

 しかも魔法防御も上がるらしく、かなり良さそうな呪文である。


 レベルアップは嬉しかったが、どうもミックスBの嫌な性質が発動した模様。つまりは増えたスキルPがたったの1のみ、久々だけど嫌なモノは嫌である。

 その感情を何とか割り切って、無理やり別の事案を試して見る事に。ちょっとした実験である、時の止まった空間で海月モドキは作られるか否か。

 作られた場合、時間のカウントはどうなるのか。


 《マナプール》で作り出された魔力プールは、30分しか維持されないのだが。この止まった時の中では、一体どう判定されてしまうのだろうか。

 結果として、魔法は作動したしバッチリ継続もされた。システムとしては甘い気もするが、こちらは文句を述べる立場でもないし。

 有り難くその恩恵にあずかって、次の戦闘へ繋げよう。





 ――さてさて、階段の上はどうなっている事やら。





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