第4話 すこすこ
パンドラの箱。
開けるな!危険!
パンドラの箱を開ける時、パンドラの箱もまたちょっと蓋を開けてこちらをのぞいているのだ。
ニーチェ…………、凄く怖いですよ!
でもまぁ、開きましたよ、例の別サイト。
腕がもうね、生まれたての小鹿のようにブルブル震えてマウスのカーソルが上手く定まらない桜 吹雪です。
ようやく、はじまりの村のはじまりの部分的なところへたどり着いた感じです。
ここまで来られたのも、ひとえに皆様のあたたかい見守りのおかげです。
そして、はやらない気持ちを抑えないようにしつつ、牛歩でここまできましたが、サイトのトップ画面で一度宿屋で休みたいと思います。
ふぅぅ…………。精神統一…………。
では、いざワークスペースへ!
の前にひとつ?皆さんに知っておいてほしいことがあります。
分かります。そのツッコミを入れたい気持ち。大切にしたい。
でも少しだけお付き合いをお願いします。
こちらの新し目サイトで投稿しているストーリーは、真剣に考えていたもので、当初の予定では超絶有名サイト様の方で公開しようかと思っていたものです。
しかし、鳴に折角紹介してもらった投稿サイトですし、新規開拓、どうせなら、という気持ちで扱いの慣らし運転がてらに新しい小説は、こちらの新し目サイトをお試ししてみようかな、と思った次第です。
で、ここまでは前置きみたいなものだったので、知っておいてほしい本題に入りたいとおもいます。
では本題ですが、僕はPCやスマホを扱っておりますが、それの能力のおそらく一割も引き出す事が出来ていないのだということです。
PCなんかは『筆活』のために活字のタイピングする以外は、ネットショッピングくらいしかできないです。
スマホなんかもだいたい同じ感じです。
つまり何が言いたいのかというと、良き親友の鳴のようにプログラムやメンテナンス、怪しげな遠隔操などが出来るような知識が皆無であるということです。
そりゃもう壊滅的に。
そんな感じの僕が皆さんにお伝えしたかった事は、平たく言えば機械音痴で、このあとに何事かが発生しようものならパニックになるだけで対処法など考えつかないであろうという事実。
でも、ここまで来てしまいましたからねぇ……
ふぅぅ…………
皆さんの、いいから早く行けよ!という叱咤激励のお言葉が聞こえて参ります。
じ、じゃあ、行きますからね。本当に入っちゃうんだからね!!
ダイブ成功!
今度はちゃんとワークスペースへ入りましたよ!
ここまでは良いのですよ。
問題はこれより先、パンドラの箱の中の、藤堂 梨々香さんです。
いったいどうして勝手にキャラクターが話し出したのか?
僕から見れば、話し掛けられているのではなく、勝手にタイピングされている訳ですが…………
乗っ取りの遠隔操作ではないと鳴は言っていましたが、僕の目にはそういう風にしか見えないのですよ。
これから開こうとしている『花より団子よりありよりの梨』のタイトルを目前にして、少しだけ考えさせて下さい。
この先をどうするのか。
このあいだは、恐怖で狼狽え執筆したところまで保存したのかさえ憶えておらず、保存されていたとしても、本文はあの現象によって途中から崩壊している筈です。
なので、読者の皆様に謝罪をして削除するか、恐怖はありますがしれっと書き直すか、なんとかそのまま軌道修正をするのか、悩ましいところです。
あのぐだぐたなまま、公開されている可能性もありますし、そこらの記憶も曖昧です。
削除案は、手っ取り早い手段と言えるでしょうけど、なにか気が退けるというか後ろ髪が引かれるというか、我が子をその手にかけるようで最終手段にしたいな、と本能が訴えてるような、引き留めているような感覚を覚えるので保留とさせてもらいます。
しれっと改稿案、こちらは予め考えていた文章を書き込んでいっているだけなので、事故った箇所のみを改稿すれば良いので一番の解決方法なのでしょう。
だがしかし、ですよ。これは削除案、改稿案に共通していえる事なのですが、もし削除という行為そのものが出来ないように仕掛けが為されている場合、この二つの案は死亡です。
よって、ここは強硬突破のごり押し軌道修正案を採用!
ワークスペースへ移動!
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ワークスペースへと移動して、即座に本文の確認をします。
「なに勝手にこんなナヨナヨ男とくっつけようとしとんじゃボケ~ ア~ン!」
あぁ良かった、ちゃんと保存されてるよ。
ホッ……
いやいや違うよ、何できちんと保存されてるんだよ!
いっそのこと消えてくれてれば問題はキレイさっぱり解決だったのに!
はぁ……
でも、良かった~~。
そこで気付いたのですが、文章がこれより以上先には進んでいない、という事に。
僕はてっきり乗っ取られて、遠隔操作をされてもうここは荒れ放題なのだと想像していました。
何せ鳴も「俺の見立てが合っている保証はないからな。本気で調べるには手持ちの機材じゃ無理がある。とりあえず今できる限りの結果で白に限りなく近いグレーゾーンてな感じかな」
鳴がそう言ったからこそ、あらゆる可能性を捨て去ることなく疑ってかかっています。
だから、荒らされていないのは良いことなのですが、少しだけ拍子抜けな思いがあるのです。
早速作業に移りましょう。
まずは勝手に綴られた文章の削除からしていきましょう。
ああ、うん、やはり駄目ですね。
想定内です。こういう場合って、たいてい悪い方へ事が流れますよね
でも、心の準備をしていたこともあって、不思議と冷静でいられるんですよね。
僕凄い!
だけどこれ、どう軌道修正したら良いものか本当に悩ましいですね。
いっそのこと勝手に話し出した最後のセリフに乗っかってみましょうか?
皆さん、どう思いますか?
一応、意見を募ってみましたが、もうやるしかないでしょう。最後のセリフに乗っかる、の一択勝負にかけてみます。
よし!行きます。
○○○執筆再開
「なに勝手にこんなナヨナヨ男とくっつけようとしとんじゃボケ~ ア~ン!」
「「「「「…………………………」」」」」
突然の梨々香の変貌振りにその場に居合わせたすべての者達が凍りついたように動きを止めた。
告白の返事をきくために梨々香のもとへ訪れた一条も例外ではなく、整った顔も少しひきつらせていた。
梨々香の周囲は、もともと一条に場を譲るたるに少し広く空けられていたのだが、その空間を埋めるようなものはいなかった。
梨々香はぐるりと周囲を見回し「話しは終わり」とばかりに踵をかえし教室へ戻ろうとしたときだった。
「ま、待ってくれ、藤堂君!す、すすす、すこ、すこし、すこ、すこ、すこ、すこ、すこ、すこ!すだ!いだ!いだ!いだ!いだ!いだ!いだ!」
「だから近づくなあぁぁぁぁ!顔も言葉も気持ち悪い!なんなのよ、すこすこ言って!ひっ!さ、触んな!この!この!この!この!この!この!この!」
「ぎゃあ~~(ドサッ)」
「はぁ、はぁ、はぁ、そ、それよりもアンタ!やっと現れたわね!いったい何のつもり!何がしたい訳!ふざけんな!」
○○○執筆中断
出ましたーーーーーー!
はい、執筆中断~~。
や、やはり勝手に話しだしましたよ!
しかも今度は、梨々香のみならず一条君までもセリフの途中から操作不能です。
僕は「すこすこ」言わせてませんから、「すこすこ」あたりから一条君まで勝手に話しだしましたから。
梨々香はご立腹ですし、彼女、たぶん、一条君のことを殴るか蹴ってますよね?
梨々香、凶暴か!
そして、僕は思っていたよりかなり冷静だなという自覚はあります。
当初の狼狽が嘘のように状況をクールに対処出来ていると思っていますが、どうでしょうか?
それにしても、彼女は……、梨々香はなんと言った?
まるで僕がストーリーの続きを書きに来るのを待っていた?
セリフから、そんなことが読みとれる気がしてならないのは僕だけでしょうか…………
でも、それもそうなのですが…………
一条君、生きてるかな?
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