第2話

2人の視界が戻って来ると周りが豪華絢爛な装飾が為されており、ステンドグラスに光が照らされていた。

2人は抱き合ったまま会話をする。


「本当に来ちゃったみたいだね、異世界に」


「マジヤバし、嫌な予感しかないし」


その時、真ん中には一人のローブ姿をした中々のイケメンが立っていた。


御二方おふたかた急な召喚をしてしまい申し訳ありません。しかし、我が国は崩壊する直前なのです。どうか御二方の力をお貸し願いますか?」


お決まりのセリフが飛び出す。

それに対して明日里は神妙な顔で聞いた。


「見返りはあるよね?」


「頑張る元気が欲しいしね!」


「ナツ、そこじゃ無くはないけどちょっと違う」


トンチンカンな事を言う夏奈にツッコむ。

明日里はため息を吐くとローブ男に向き直る。


「というか名前と私達のこれからの待遇を早く教えて貰えるよね?」


「はい!私はトレンツェン魔導士長であります!御二方には快適な生活と手厚い保護をいたします!」


学校では男子全員が震えあがる(一部の男子にとってはゾクゾクする)ほどだった明日里の眼光を受けたトレンツェンと名乗った男は自己紹介と彼女達のこれからの境遇を一気に捲し立てた。


「まあ、それくらいの保護はしてもらわないと困るわね。それで?私達のやってほしいことって何?」


「そこについては儂が話そう」


そういったのは玉座に座っていた王だった。


「自己紹介が遅れてしまい申し訳なかった。私はこのセジュア王国の王であるグリッチ・ド・セジュアだ。左後ろにいるのは宰相であるジェルマン、右後ろにいるのは第一王子であるジルベルト、そこにいる騎士はクォード騎士団長だ。これから話すことはどうか内密にして頂きたい」


それに対して、明日里と夏奈はそれぞれ頷く。


「ありがとう、転移者のお二方にお願いしたいことはさっき魔導士長が言ったように我が国セジュア王国を再建をしてほしいのだ」

それに対し明日里の回答はあっさりとしたものだった。


「分かったわ」


「ん?こちらが言っては何なのだが返事が軽すぎないか?」


王の質問に明日里は平然と言った。


「どうせ元の世界には帰れないだろうし、この世界にすぐに馴染めるわけでもないし、ナツといられるなら私は何処でもいいから」


「私も明日ちゃんといられればそれでいいよ!」


「ナツ!」「明日ちゃん!」


二人は手を組み見詰め合っている。すると二人の周りに自然と桃色空間が形成されていった。

この場にいた者たちは、


(何を見せられているんだ…)


と思いながら口の中が甘ったるくなる感覚を覚えた。

その空気は王が咳払いして二人が我に返るまで続いた。

明日里は恥ずかしがりながら要求を追加した。


「部屋の用意は二人で一室分、メイドは最低人数で警備は出来れば男性は中に入らないように、後の要求は追々伝えるから問題を一覧を書いて出しておいて」


明日里の言葉に王は頷く。


「分かったすぐに用意させよう」


そうして宰相に何か話しかけると宰相は一礼して部屋から退出していった。

ここで、明日里が思い出したように言った。


「準備してる間に知りたいのだけど、多分私達は転生したときに魔法が使えるようになったはずだからどんな魔法ができるか教えてもらってもいい?」


その提案にトレンツェンが答える。


「分かりました。それではこの場ではこれで終わりとして鑑定する魔道具の所に向かいましょう。」


そういってこの場はお開きとなった。

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