天才天然少女と家庭的腹黒ヲタクエセギャルの異世界王国再建記

鎌威

第1話

「ふっふふーん」


 とある女子生徒が上機嫌に歩いていた。彼女の名前は木下夏奈きのしたなつな、短めの茶髪をしたカチューシャがチャーミングポイントな少女である。

 ちなみに今は学校帰りである。


「やったー、今回のテストも全教科満点だった~」


 上機嫌だったのはそのためらしい。そう彼女は天才なのである。いつも勉強はしていないのだがいつも満点を取っている。

 そこに一人の金髪の少女が後ろから抱き着いた。


「ナツ~」

 

 彼女の名前は滝原明日里たきはらあすり。服装がギャルっぽい。親は片方が外国人で金髪は少し黒みががった地毛である。

 二人は幼馴染みで、よく遊んでいる。


「ど、どうしたの、あすちゃん?」


「ナツのおかげで全教科赤点回避できたよぉ」


 夏奈が勉強を全くしてないといったな。あれは嘘だ。

 もちろん自主的にはやっていないが、勉強のできない明日里に教えているのだ。

 夏奈は苦笑しながら言った。


「お互い様だよ、あすちゃん。いつも実技四教科で助けてくれるでしょ?私は運動や手先を使う作業は全く持ってできないからこれくらい普通だよ♪」


「うぅ~ナツマジ女神~」


そう夏奈は不器用かつ運動神経が皆無であり、いつも手先が器用で運動神経抜群の明日里にいつも助けて貰っている。

彼女たちの周りには甘い雰囲気が漂っている。そりゃあもう甘ったるいほど漂っている。しかしそれに空気を読まない人達もいるようだ。


「ねえ、明日ちゃん。今光っている幾何学模様きかがくもようが沢山書かれていて意味不明な言語で書かれている円形の物って知ってる?」


「うん知ってる。魔法陣だね」


「私たちってこれからどうなるのかな?」


「もしかしたら異世界に召喚されるかもね」


「どういう所かわからないけど向こうでも一緒にいようねあすちゃん」


「そうね、なつ」


そんなやり取りの後二人は光に包まれ、消えていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


数時間前、セジュア王国のとある部屋では王、貴族、騎士、魔導士の四人が深刻な雰囲気で話していた。


「今、我が国は危機的状況に陥っている。この中ではお主らしか頼りにならん。何かこの状況を打開できる方法は無いか教えてくれ」


王の言葉に貴族と騎士は困った顔をした。


「と言いましても今我等貴族内で闘争が起こっておりますし…」


「魔物も年々増えていて、被害が拡大しておりますし…」


「そうじゃな、問題が山積みじゃ…」


その時、魔導士が言った。


「絶対に解決出来るか分かりませぬが一つだけ方法があります」


「方法とは?」


「それは異世界からの召喚です。記録によれば異世界人によって平和と莫大ばくだいな富を与えてくれたというものがあります」


その言葉に王は少し渋い顔をする。


「その表情の理由は分かります。しかしこのままではこの国は滅亡してしまいます!」


魔導士の言葉に騎士と貴族も頷く。

王はしばらく瞑目めいもくした後、


「分かった転移者には申し訳ない事をしてしまうが、協力してもらうしかないか」


そうして秘密の会合が終わり彼らは召喚の儀を執り行うのだった。

しかしこの時、転移してきた二人がとんでもないことをしでかすという事を、ここにいる四人を含めてまだ知らない。

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