第3話

「だってさ、かっこいいじゃんね?イツキくんの友達とは思えないもん。」

「そうそう。こんな田舎でさ、芸能人?くらいのレベルなんだよね。」

「まさに完璧なんだよね!顔が良くて背が高くて無口で車もバイクも持っててさー!」

「ここに来てるのも旬くん目当てなんだからねー。」   


「やっぱなー。イクちゃんちもそうだったかー。

みんな旬いくよなー。」

イツキくんが大袈裟に肩を竦める。


「私は違うよ。私はイツキくんの方がカッコいいと思うよ!」

私はニッコリ笑顔を作ってイツキくんの肩をポンと軽く叩く。


「ミカちゃんやさしー。でもいいよぉ。わかっているからぁ。」

イツキくんが片腕を顔に伏せて泣くフリをする。


「ホントだってば。」

言っても信じてもらえないがホントだ。

私はイツキくんの方がタイプだ。

イツキくんの、こういう明るいとこ。

スラリとした体型も笑顔がかわいいとこも気にいってる。


「タバコ吸っていいかな?

あいつさ。あんなだからモテるじゃん。すぐ彼女できるけど振れれるのも早いよ。」

カイトくんが断りをいれてタバコに火つけ話に加わってくる。


「ちょっとタバコやめてほしいんですけどー。カイトくんってまだ未成年だよね?」

「ミカちゃん、お母さんみたい(苦笑)」

「だって身体によくないし、警察に捕まらない?」

「フフ。悪いことしてないんだから、捕まりはしないでしょ(笑)」

「そうだけどさ。」


思ったことが口からでちゃうのは私のクセだ。

悪いとこでもあるのはわかっている…。


「旬くんに彼女できるのはわかるけど、なんですぐ振られちゃうの?振るんじゃなくて?」

「それ私も思ってたー。前の彼女ともすぐ別れたって言ってたじゃん?」

信じられないとカコとマミ。


「私たちが知らないだけで性格がめちゃくちゃ悪いとか?」

「あんだけのイケメンが振られるなんて考えられない!だったら私にくれー!!!」

イクが吠える。


「性格なんてめちゃくちゃいいでしょ。だから逆にその女子たちに聞きたいくらいだよな。」

ミズキくんはお菓子に手を伸ばしながら言った。


「あれじゃね?あいつバスケとバイトと友達付き合い以外は疎かだから。彼女は物足りなくなっちゃうんじゃないか?」

みんな顔を見合わせて

「「「なるほどねー。」」」

この場にいない彼のことで盛り上がり、そして勝手に納得する。


「確かに、旬くんて彼氏向きじゃないのかもねー。だし、彼女すぐできるってなんか誰でもいいみたいだし、それって軽くない?」

いくらイケメンでも彼女を蔑ろにする彼氏なんてみんなお断りでしょ。私はついポロッと本音が出た。


「軽いってなにが?」

ガラリと扉が開いてみんながそちらを向くと、長身のイケメンが入ってきた。 

噂をしていた彼、横木旬だ。












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