閑話1 クラス転移


 昨日は大変な一日だった。


 授業中に魔法陣のようなものが現れたかと思ったら、光に包まれ、気が付けば城にいた。周りにはクラスメイト、目の前にはお姫様、偉そうな服を着たおじさん、魔法使いのような人。少し後ろに騎士が数人控えている。


 異世界転移。クラスごと。


 お姫様がものすごく驚いているのが印象的だった。




 昨日説明されたことをまとめる。


 隣国との戦争のために私たちを召喚した。

 前の召喚が五百年ほど前で、文献によると戦士が5名召喚された。おそらく、戦国時代の武士であろう。

 飢饉があり食べ物にもろくにありつけない状態だったらしい。


 そういう訳で、召喚してもそれほど問題ないだろうと、私たちを召喚したのだ。

 まさか五百年の間に文明が進歩して追い越されているとは思わなかったそうだ。

 こちらの世界は五百年前とあまり変わりのない世界なのだ。

 私たちが召喚されたとき、隣の部屋には御馳走が用意されていた。


 そういう訳で、私たちの姿を見た王女が驚いていたのだ。

 もっと、みすぼらしい者たちが召喚されると思っていたらしい。


 後から王様まで現れて、謝罪された。



 そして、文献によると私たちは日本へ帰れるらしい。

 こちらの方が豊かな世界だったので、前に召喚された5人のうち4人はこちらで生涯を終えたらしい。そして1人は報告のため日本へ戻ったそうだ。

 大量の魔力を貯める必要があるそうではあるが、それは魔物を倒せば貯められるそうである。



 私たちが日本の事を説明したら驚いていた。

 この世界には日本からの転生者、つまり日本で死んでこちらの世界で赤ちゃんとして生まれる人がいるそうである。5歳くらいの時に日本の記憶を思い出すそうである。当然、私たちと同じ時代から転生する。

 どうやら、王家では召喚した私たちの世界と、転生者の世界は別の世界だと考えたいたようである。

 国の名前も、もたらされた情報もあまりにも違っていたため仕方がないことかもしれない。

 召喚については国家機密であった。

 転生者が召喚について知る機会がなかったのだろう。



 私たちは平和な世界から召喚されたため、戦争には参加しないことになった。

 後方支援、それも城や王都で協力できることをすれば十分らしい。


 思いのほかまともな世界でよかった。

 私たちに戦争は無理だろう。



 後は私たちについて。

 授業中に教室にいた全員が転移していた。

 先生も含めて。

 ただし、先生は若くなっていた。

 ちょうど私たちの担任の若本すみれ先生の授業中だった。

 先生は55歳だったが、見た感じ私たちと同じくらい、つまり17歳から18歳くらいの女子になっていた。面影が残っていたのですぐに分った。


 そして今日。

 神様が来るらしい。

 

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