第19話 レアドロップばんざい
本日は森の奥へ、ビッグディアやビッグベアを狙う。
冒険者ギルドでも薬草採取とは別にビッグディアの毛皮とビッグベアの毛皮の依頼を受けてきた。毛皮は通常のドロップなので倒せば必ず得ることができる。
そして、ビッグディアのレアドロップは角、ビッグベアのレアドロップは手である。どちらも薬の材料であり、かつ武器の材料にもなるそうである。
これからは、僕がパーティーメンバーにいるので、必ずレアドロップが一つ手に入る。昨日まではレアドロップのない魔物を倒していたので僕の存在価値がなかったが、今日は資金稼ぎに貢献できる。
遭遇した大角ウサギや大猪を倒しながら森の奥へ。
まず、ビッグディアに遭遇した。立派な角があるから雄かと思ったら、雌でも角があるそうだ。雌でも襲ってくるので当然なのかもしれない。
ビッグディアは素早くて、アーニャは苦戦していた。結局、スピカも加わる。ただし、ビッグディアを牽制するだけでダメージを与えない。
なんとか、アーニャが倒しきった。
僕のレベルが1上がった。さらに、アーニャもレベルが上がりレベル17になった。
続けて、もう1体のビッグディアを倒したあと、ビッグベアと遭遇した。
ビッグベアはそれほど素早くなかったので、時間はかかったがアーニャだけで倒しきった。
短い休憩を入れつつ、魔物との戦闘を続けた。
僕のレベルが7になったところで引き返すことにした。
帰りは魔物とは遭遇しなかった。
森を抜けると、夕方になっていた。
結局、昼食を森の中で取り、夕方まで戦い続けた結果、ビッグディア5体、ビッグベア3体と戦った。
ビッグベアの方が強いのだが、素早さ重視で戦うアーニャにとっては、ビッグディアの方が厄介な相手だったので、敢えてビッグディアと多く戦ったのだ。
ビッグディアの方が肉がうまいそうなので、スピカが喜んでいた。
1体倒すと、3人分でアイテムが3つ手に入る。ちょっと謎であるが気にしない。
毛皮は5枚ずつでよかったのだが、ビッグディアの毛皮が15枚、ビッグベアの毛皮が9枚、レアドロップのビッグディアの角が5つ、ビッグベア手が3つである。
今回も、肉は売らずに毛皮を5枚ずつと薬草、あとビッグディアの角を2体分売ることにした。
毛皮はどちらも1枚が銀貨2枚、ビッグディアの角は1本で金貨5枚、角は1体で2本なので、4本売ると金貨20枚である。
すべて合わせると、金貨22枚と大銅貨5枚になった。
ちょっと待て、220万円? おかしくないか?
余りの事に驚いていると、買取の手続きをしてくれていたイリスさんが言った。
「ビッグディアの角はなかなか手に入らないのです。貴重な薬の材料でもありますから高価なのです。」
確実にレアドロップすることは伝えていなかった。どうしたものかな?
厄介ごとに巻き込まれたくはないが、何かの時に役に立てそうな気がする。
伝えておくことにした。スピカとアーニャも反対はしないだろう。
「ちょっとギルドマスターにお伝えしたいことがあるのですが?」
「少々お待ちください。」
イリスさんにギルドマスターに会いたいと伝えると、すぐに個室に通された。
シリルさんにも来てもらった。
『スピカ、レアドロップの事伝えておこうと思うのだけど?』
念話でスピカと会話する。自分から話しかけるときはちゃんと伝わっているか不安だ。
『お任せしますよ。問題ないと思います。広めたりはしないでしょうし、利用もされないでしょう。むしろ、唯一、人に役立つスキルなのですからちゃんと伝えて、役立ててもらうべきです。』
ちょっとひどい言われようだけど、賛成なようで何よりだ。
「実は、僕、スキルの関係で必ず魔物がレアドロップを落とすんです。」
「何だって!」
ギルドマスターが驚いて声をあげる。イリスさんとシリルさんも驚いて目を見開いている。
「近いうちに旅に出ますが、役に立つこともあるかと思ったので、お伝えすることにしました。」
すぐに平静に戻ったギルドマスターにお礼を言われた。
「教えてくれてありがとう。かなり助かる。出来れば、旅の最中もできるだけいろいろな魔物と戦って、レアドロップを集めてくれないか? 何かあったときに依頼を出すかもしれん。」
「神獣様がいらっしゃれば、魔物を倒すこと自体は問題ないですよね?」
イリスさんが質問してきた。念のための確認だろう。
「問題ありません。スピカはミノタウロスキングも一撃でした。」
僕がそう言うと皆が驚いた。
「一撃・・・そこまでですか。」
イリスさんがため息とともに言った。
「当然です。」
スピカが胸を張る。
「あのう、皆さんにはとても良くしてもらっているのでお礼をしたいのですが? 夕食を一緒にどうでしょう? 御馳走しますよ?」
僕がそう言ったら。何故かスピカが答えた。
「いいですね。私はごちそうが食べたいです。」
「アサヒが泊っている宿は飯がうまいことで有名だ。あそこでごちそうになろうかな。イリスも大丈夫だろ?」
「はい、問題ありません。ごちそうになります。」
「私も問題ない。ありがたくごちそうになろう。」
皆、了解してくれた。力になってもらうばかりだからありがたい。
「仕事は皆に任せよう。早速行こうではないか。酒も頼んでいいのだろ?」
「もちろんです。金貨10枚くらい使うつもりでお願いします。」
僕がそう言うと。
「さすがにそれは無理です。宿の全員に食事をごちそうするおつもりですか?」
イリスさがおかしそうに笑いながらそう答えた。
さすがに、6人で100万円は食べないか。
・・・いや、スピカがいればもしかする?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます