第5話 称号のチェック
残りの称号も調べよう。後は「転移者」と「フォーリナ神殿の主」だ。
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転移者
称号スキル
言語理解(R) :この世界の言葉が聞き取れる。話せる。読める。書ける。
ステータスアップ(R):レベルアップするときのステータス値の上昇が大きい
フォーリナ神殿の主
称号スキル
神との文通(U) :神リリエラと文通できる。神殿内に魔道具あり
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「言語理解」は助かる。「ステータスアップ」は今のところ意味がない。
「神との文通」はありがたいのか?
多分ありがたいのだろう。他の転移者の状況を教えてもらえるだろう。
スピカと話してみた感じだと悪いことにはならない気がする。
「他の称号とスキルについては説明を読んだからいいかな。リリエラ様と文通できる魔道具はどこだろう? 連絡した方がいいよね?」
「そうですね。たぶん魔道具庫の中に文通用の魔道具があると思います。探しましょう。」
僕とスピカは魔道具庫に移動した。結構たくさんの魔道具が置いてある。
本棚のような棚に魔道具が陳列してある。
書物もある。魔導書もあるようだ。
後でチェックだ。先に目的の魔道具を見つけねば。
部屋の一角に机が置いてあり、地図と大き目のスマホのような物がおいてある。
大き目のスマホがリリエラ様と文通できる魔道具のようだ。
「これですね。」
予想通りだった。魔道具を手に取る。何でできているのだろう。
少し大きいがスマホにしか見えない。
この世界、やはり結構科学が発達しているのだろうか?
画面は液晶っぽいし、アイコンがひとつある。
封筒のような形をしている。スマホのメールそのままである。
「これかな?」
スマホのつもりでアイコンをタップすると、アプリが開いた。スマホじゃん。
スピカを見て言う。
「早速送ってみようかな? スピカは何か伝えたいこと、ある?」
「私は元気だと伝えてください。後はあなたの事を書いてください。」
「わかった。」
簡単な自己紹介と僕が置かれている状況を説明してほしいこと、スピカは元気だという事、とりあえずはスピカのアドバイスを参考にして行動することを書いて送信した。アプリはメールというよりLIN〇に近かった。
「これでどうかな?」
一応、スピカに書いた文章を読んでもらう。
「いいと思います。送ってください。」
送信してからしばらく画面を見続けたが特に反応はなかった。
残念ながら、既読か未読かをチェックする機能は無かった。
「これ、リリエラ様、気が付くかな? ずっと使って無かったんだよね。」
「そうですね。私も存在を知らなかったので、王妃だった時の物ではないでしょうか? その称号は初めて見ましたし、新しくできた称号だと思います。きっと、リリエラ様のアイテムボックスに魔道具が入っています。気が付かない可能性が高いと思います。」
「まあ、気長に待とう。」
「そうですね。」
机の上にある世界地図らしきものも気になる。
「これは地図?」
「そうですね。でも、魔道具? 魔導書? のようです。魔力を感じます。触ると何かが起こると思います。
ちなみに神殿の所有権があなたに移ったので、アイテムボックスに入れるまでもなく、武器や防具、魔道具すべてがあなたの所有物になっています。その地図のような物もです。」
「なるほど。・・・爆発したりしないよね?」
「大丈夫です。この神殿にはおかしなものは置いていません。すべて、役に立つもののはずです。」
「そうなの? とりあえず、触ってみるよ。」
そっと、地図に触れてみる。
『称号「魔道具ワールドマップ」を取得しました。』
「あれ? 称号が貰えたよ?」
「地図に関する称号ですか? もう一度ステータスを確認しましょう。」
再びステータスを確認しに行く。
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魔道具ワールドマップ
称号スキル
ワールドマップ(U):世界地図が見られる。以下のスキルをマップに表示
ブックマーク(U) :街や建物などの名前を記録できる
ダンジョン探知(R):ダンジョンの場所を探知できる
転移(U) :過去に行った場所に転移できる
索敵 :敵、味方などの位置を探知できる
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これは、とんでもなく優秀な称号ではないだろうか?
ものすごいスキルを得てしまった。転移まである。
「これは、すごいですね。ユニークスキル二つにレアスキル二つですか。地図があると索敵も便利そうです。」
「そうだね。ところで、ユニークスキルって僕だけが持っているってことなの?」
「そうです。ただ、稀に二人持っていることもあるそうです。三人くらいまでなら可能性があります。」
「ねるほど。でもほぼ一人だけという事だね。」
この魔道具量産できないのだろうか?
案外、材料に世界に一つしかない何かを使うのかもしれないな。
やっと、試せるスキルを得たので試してみよう。
「さて、まずはこの転移というスキルを試してみたいのだけど?」
「そうですね。転移は転移魔法もあります。私は転移魔法は知っていますが、転移スキルは初めて見ました。」
「ちなみに転移魔法はどんな感じ?」
「転移魔法はレベルが上がるに連れて一緒に転移できる人数が増えます。レベル1では自分だけです。」
「僕の転移スキルはレベルが無い? 僕しか転移できないのかな?」
「試してみましょう。」
でもどうやるんだろう?
疑問に思った瞬間、転移スキルの使い方が分かった。
「魔道具の地図が必要みたい。ここに転移してくるから待ってて。」
「わかりました。」
魔道具庫へ移動する。
魔道具の世界地図を裏返すと裏にも世界地図が描かれていた。ただし、こちらは白地図のようである。
転移スキルを使って行ける行先に色が付いているようだ。
白地図の一か所だけ赤く染まっている。神殿を含む狭い範囲のようだ。
赤い部分に触れると、その付近に地図が拡大された。どんどん拡大すると最終的に建物の部屋まで出てきた。
拡大したことによって赤い範囲はより詳しくなった。赤いのは今いる部屋とスピカがいる部屋、それをつなぐ通路だけである。
移動したい場所に指で触れると黒い点が現れた。この場所に転移できるわけだ。
「転移。」
一瞬で転移した。目の前にスピカがいる。
これ、街で使って大丈夫なのだろうか?
いきなり目の前に現れたら驚くと思うのだが?
使い方に注意が必要な気がする。
「無事転移できましたね。」
「そうだね。これ、転移先に知らない人がいても転移しちゃうのかな?」
「どうでしょう。私は転移すると思いますが、実際にやってみるしかないでしょう。」
「そうだね。あと、着ているものも一緒に転移するのだから、案外、密着していたら一緒に転移できないかな? でも転移魔法レベル1が自分だけならこのスキルも同じかな?」
「調べてみるしかないでしょう。案外何人でも転移できるかもしれませんよ?」
アイテムボックスから地図を出す。転移すると地図はアイテムボックスに収納されるようだ。
「手をつないだら一緒に転移できるかな?」
「やってみましょう。」
スピカが僕の左手に手をのせた。お手である。癒される。
さっきと同じ要領で転移する。
「いくよ。転移。」
残念。僕だけが転移した。すぐにスピカの元に戻る。
「残念でしたね。」
スピカはそれほど残念では無さそうに言った。転移できなくてもいいのだろうか?
確かにしばらくの間は転移に使い道は無さそうだが。
待てよ、一緒に転移できれば毎日この神殿まで転移して休めるぞ。進んだところまでは転移できるのだから少しづつ先に進むことができる。
「もっと密着して試してみよう。スピカ、抱き上げていいかな?」
「仕方ないですね。」
案外すんなり了承してくれた。モフモフを嫌がっていたからごねると思ったのだが。案外転移に期待しているのかもしれない。
「転移。」
おおっ! 成功したよ。スピカも転移している。
人の場合はどのくらい密着しなければならないのだろう?
どちらにせよ大人数の転移は無理そうではあるが、当分の間はスピカと一緒に転移できれば十分である。
「うまくいきましたね。」
平静を装っているが、スピカのしっぽが揺れていた。いろいろと楽ができそうだから気持ちは分かる。
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