礼志22 帝祖七廟

この話をする前に、先に劉裕りゅうゆうの先祖について書いておこう。


7 右北平みぎほくへい府君 劉亮りゅうりょう

6 相國掾しょうこくえん府君 劉膺りゅうよう

5 ???? 劉熙りゅうき

4 開封かいふう府君 劉旭孫りゅうきょくそん

3 武原ぶげん府君 劉混りゅうこん

2 東安とうあん府君 劉靖りゅうせい

1 處士しょし府君 劉翹りゅうぎょう


以上が先祖、および呼び名だ。


劉裕がそう王となることを受諾すると、そう氏やしん司馬しば氏がなしたように、本貫地である彭城ほうじょうに一つの社を建て、「大臣は五つの廟を設ける」というしきたり通り、高祖父の劉旭孫以下劉混、劉靖、劉翹と、既に亡くなっていた正妻の臧愛親ぞうあいしんを祀った。


即位したところで、改めて劉亮、劉膺を祀った。恐らくこのときにいったん臧愛親が外され劉熙も祀られている。


永初えいしょと改元して間もなく、父の劉翹をぼく帝とし、生母の趙安宗ちょうあんそうを穆皇后とした。423 年、義母の蕭文寿しょうぶんじゅが死亡すると廟を加えた。


劉裕が死亡すると神主を廟に奉納。やはり魏や晋の例にならい、真ん中の太祖廟をあけておき、左右の八廟にそれぞれ劉裕と、7代の祖が祀られた。このとき廟が収まっている社は改築されていない。


劉義隆りゅうぎりゅうが皇帝として即位すると、生母の胡道安こどうあんを章太后と追尊。晋の孝武帝こうぶていが祖母の鄭阿春ていあしゅんを祀ったのと同じ位置関係(太廟の西側)となるよう配した。




宋武帝初受晉命為宋王,建宗廟於彭城,依魏、晉故事,立一廟。初祠高祖開封府君、曾祖武原府君、皇祖東安府君、皇考處士府君、武敬臧后,從諸侯五廟之禮也。既即尊位,乃增祠七世右北平府君、六世相國掾府君為七廟。永初初,追尊皇考處士為孝穆皇帝,皇妣趙氏為穆皇后。三年,孝懿蕭皇后崩,又祔廟。高祖崩,神主升廟,猶從昭穆之序,如魏、晉之制,虛太祖之位也。廟殿亦不改構,又如晉初之因魏也。文帝元嘉初,追尊所生胡婕妤為章皇太后,立廟西,晉宣太后地。孝武昭太后、明帝宣太后並祔章太后廟。


宋の武帝の初に晉の命を受け宋王為るに、宗廟を彭城に建つること魏、晉の故事に依り、一廟を立つ。初に高祖の開封府君、曾祖の武原府君、皇祖の東安府君、皇考の處士府君、武敬臧后の祠せるに、諸侯五廟の禮に從いたるなり。既に尊位に即けるに、乃ち七世の右北平府君、六世の相國掾府君を增祠し七廟と為す。永初の初、皇考處士を追尊し孝穆皇帝と為し、皇妣の趙氏を穆皇后と為す。三年、孝懿蕭皇后の崩ぜるに、又た廟を祔す。高祖の崩ぜるに、神主を廟に升らせ、猶お昭穆の序に從うこと、魏、晉の制が如くす,太祖の位は虛たり。廟殿の亦た改構せざること、又た晉初の魏に因れるが如きなり。文帝の元嘉の初、生みたる所の胡婕妤を追尊し章皇太后と為し、廟を西晉の宣太后が地に立つ。


(宋書16-3)




こういうのが読みたくて礼志やってんですよ(よだれ)


皇帝は七代祖まで遡って祭祀しなきゃいけない。なぜなら太祖廟を中心として八名の帝祖たちを祀る必要があるから。


ところで劉裕のご先祖様が劉交以後ずらずらと二十一代分本紀には乗っているわけですが、上掲七代のひとつ上のご先祖は「某」、つまりお名前不明です。ってことは更にその上にいる九代先祖の劉悝りゅうりの子として捏造されたとしてもおかしくないわけですね。


あと面白いのは劉義隆の胡道安追尊ですね。劉裕の動きを見ると、劉義隆ってその聡明さを愛されていた割に全く後継者候補として名前が上がってこないんですよ。これ、おそらく胡道安の地位が低かったのみならず、「責めを受けて殺された」と書かれているので、皇帝の子であり罪人の子でもある、といったことから候補から外されていたのだろうと推測されます。これは明帝の時代に鄭阿春が特に重んじられていなかったことにも繋がるのでしょう。いや明帝一瞬簡文帝を後継者にしようと考えたこともあったみたいに書かれてますけど。


ちなみに宣太后と聞いて一生懸命探して見当たらなくて泣いていたら、魏晋南北ブログさんより鄭阿春の事例をご紹介頂けました。そしたら「礼志の前の方に書いてありますよ」とのこと。


十九年二月,追尊簡文母會稽太妃鄭氏為簡文皇帝宣太后,立廟太廟道西。及孝武崩,京兆又遷,如穆帝之世四祧故事。安帝隆安四年,以孝武母簡文李太后、帝母宣德陳太后祔于宣鄭太后之廟。


ほんまや! スルーしちゃった!

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