礼志11 修学問上奏 中

孝武帝こうぶてい謝石しゃせきの上奏を採用し、公侯以下太守クラスの家門の子弟百人を選んで学生として採用。更には学舎一百五十五間を増築した。とは言えそういった名目ばかりが揃えられ、実際に何らかの講義や特典が授けられたわけではなかった。このため士人君子の子らは娘の序列に加わることを恥と考えた。


これを見て殷茂いんもが言う。


「臣は耳にしております、礼を伝え広めることが風俗を整える鍵になる、一人ひとりを教化徳化するにあたっては学問こそが大いに資する、と。いにしえの王たちが天下を治めるにあたり学問を促進することで万物に徳を浸透させ、悪を鎮め善を伸ばし、日々を整えたゆえんでございます。


後進がより深き境地への理解を深め、よりかすかなものを拾い上げること叶えば、古今を通貫する道理を感得するにいたり、天下の統治は促進されましょう。


また孔子も顔回に申しております、学びを愛することを第一とせよ、齢七十となってなおさらなる高みを目指せ、と。良きものとともに歩み、やがては宗廟の良き霊の序列に連なるのだ、と。ゆえにこそ雅や頌と言った音楽は千年にわたり歌い継がれ、聖賢のなすべきふるまいは、明哲なる王が詩経国風に歌い継がれる精神と合一を目指すところに尋ねられるのです。




烈宗納其言。其年,選公卿二千石子弟為生,增造廟屋一百五十五間。而品課無章,士君子恥與其列。國子祭酒殷茂言之曰:

臣聞弘化正俗,存乎禮教,輔性成德,必資於學。先王所以陶鑄天下,津梁萬物,閑邪納善,潛被於日用者也。故能疏通玄理,窮綜幽微,一貫古今,彌綸治化。且夫子稱回,以好學為本,七十希仰,以善誘歸宗。雅、頌之音,流詠千載,聖賢之淵範,哲王所同風。


烈宗は其の言を納む。其の年、公卿二千石の子弟を選びて生と為し、廟屋一百五十五間を增造す。而して品課に章無く、士君の子は其の列に与るを恥とす。國子祭酒の殷茂は之を言いて曰く:

臣は聞く、正俗を弘化せるは禮教に存ず、性を輔け德を成らすは必や學にて資すと。先王の天下を陶鑄せる所以、萬物を津梁し、邪を閑め善を納め、日用に潛被せる者なり。故に能く玄理に疏通し、幽微に窮綜せば、古今を一貫し、治化は彌綸さる。且れ夫子の回に稱すらく、好學を以て本と為し、七十にして仰げるを希い、善誘を以て宗に歸す。雅、頌の音は千載を流詠し、聖賢の淵範は哲王が風に同ぜる所なり。


(宋書14-2)




礼志が礼を語るふうに見せかけた孝武帝 dis の書状態なのわろた。

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