劉裕118 功労報賞詔  

劉裕の即位に伴い、多くの功臣たちもまた昇進しました。

 劉道憐 司空→太尉、長沙王

 劉道規 臨川王(追封)

 徐羨之 尚書僕射→鎮軍將軍

 謝晦  右衞將軍→中領軍

 檀道濟 宋國領軍→護軍將軍

 劉義欣 中領軍→青州刺史(劉道憐長男)

 劉義慶 南郡公→臨川王

 (劉道憐次男、子無く死んだ道規の養子に)

またこれらの昇進に合わせ、各人にも昇進、報賞が言い渡されます。

関連はこちら:

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888050025/episodes/1177354054890000135



銘功紀勞 有國之要典

慎終追舊 在心之所隆

 功績功労の記録は文書作成の要、

 過去の振り返りは、

 意欲を高めるのにもつながろう。


大業創基 十有七載

世路迍邅 戎車歲動

自東徂西 靡有寧日

 この劉裕りゅうゆうが立ち上がってより、

 十七年の時が流れた。

 世には艱難辛苦が満ちあふれ、

 毎年のように軍事行動が起きた。

 国内の東から西に至るまで、

 安寧の日々を過ごすことが難しかった。


實賴

將帥竭心 文武盡効

寧內拓外 迄用有成

 実に将帥らの砕身、

 文武百官の尽力を頼りとし、

 内をやすんじ、外地を開拓、

 数々の業績が打ち立てられた。


威靈遠著 寇逆消蕩

遂當

揖讓之禮 猥饗天人之祚

 その武威は遠方にまで轟き、

 反逆者らは打ち倒された。

 ことさらにその功績が

 謳われることこそなかったにせよ、

 ついに私は、こうして天よりの

 饗讃を得るに至った。


念功簡勞 無忘鑒寐

凡厥誠勤 宜同國慶

 そなたらがなした功績労力を思うこと、

 夢の中ですら思い返されてならぬ。

 そなたらが誠を尽くし、成し遂げた、

 あらゆる勤めは、宋国建立の事績と

 等しく祝福されるべきであろう。


其酬賞

復除之科 以時論舉

戰亡之身 厚加復贈

 その報賞、及び労役免除の内容は

 状況に応じて決定し、

 また戦死者についても、

 残された家族には厚く補償を加える。




夫銘功紀勞,有國之要典,慎終追舊,在心之所隆。自大業創基,十有七載,世路迍邅,戎車歲動,自東徂西,靡有寧日。實賴將帥竭心,文武盡効,寧內拓外,迄用有成。威靈遠著,寇逆消蕩,遂當揖讓之禮,猥饗天人之祚。念功簡勞,無忘鑒寐,凡厥誠勤,宜同國慶。其酬賞復除之科,以時論舉。戰亡之身,厚加復贈。


(宋書3-11_政事)




武帝本紀下ってどうせどうでもいいような詔勅で水増ししてんだから、もっとがっつりこの辺の「臣下に対する報賞」載せてくれても良かったように思うんですよねえ。それこそ詔勅にある「凡厥誠勤 宜同國慶」ですよ。


改めて書いておくと、宋はこれまでの詔勅から何からを見返しても「簒奪者桓玄の打倒」をその正統性の根拠として置くため、宋書もまた桓玄打倒をエピックなイベントとして紹介するための構成がされています。つまり列伝を桓玄打倒に功あった人間たちに真っ先に割き、それ以外の人間は後ろの方に押しやってる。これが徐羨之伝にある建国功臣序列の詔勅にも影を落としていて、本来もっと序列の上の方にいたであろう人物も、桓玄打倒に功績がなかったらバッサリ削ってるんですよね。ご冗談でしょう……?


全宋文を覗いてきたけど、やっぱりそこにあるのも宋書からの引き写ししかなく。我々の価値観からすると「歪んで伝えられた」ようにしか思えないわけですけど、ただ「天命が下された」観点からすれば、「宋書の形式が正しい」んでしょうねぇ……いやだわ、価値観のズレって……。


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