劉裕101 九錫典策文5
惟
公道冠前烈 勳高振古
而殊典未加 朕甚懵焉
思えば、公の功績は
万古にも類を見ないものであるのに、
それを讃えるだけの顕彰を
なせておれずにいた。
これは朕の不明であるとしか言えぬ。
今 進授相國 以
徐州之 彭城 沛 蘭陵
下邳 淮陽 山陽 廣陵
兗州之 高平 魯 泰山
十郡 封公為宋公
そこで公には相国の地位を授け、
また十郡を
公の新たな封地とする。
十郡とはすなわち
である。
錫茲玄土 苴以白茅
爰定爾居 用建冢社
これらの地を公の徳で輝かせ、
公の住まう地として定め、
先祖代々の墓地、霊廟を建てられよ。
昔
晉鄭啟藩 入作卿士
周邵保傅 出總二南
內外之重 公實兼之
昔、
周の地、邵の地を統べた。
公はこれら内外を統べる重責を、
一手に司ってこられた。
今命
使持節 兼太尉 尚書左僕射
晉寧縣五等男 湛
授相國印綬 宋公璽紱
使持節 兼司空 散騎常侍 尚書
陽遂鄉侯 泰
授宋公茅土
金虎符第一至第五左
竹使符第一至第十左
いま、
相國の印綬と宋公の璽紱、
宋の地の祭壇に盛るべき土、
金虎符の左半分を第一~第五、
竹使符の左半分を第一~第十
まで持たせた。
相國位無不總 禮絕朝班
居常之名 宜與事革
相国とは全ての者を統べるべき地位。
その扱いは他の朝臣とは隔絶する。
常日頃より、朕の政務に
ともに与っていただきたい。
其以相國總百揆 去錄尚書之號
上送所假節 侍中貂蟬
中外都督太傅太尉印綬 豫章公印策
相国位にて万民を統べるのであるから、
錄尚書号は重複するため、省く。
併せて假節、侍中の貂蟬、
中外都督、太傅、太尉の印綬、
進揚州牧 領征西將軍
司豫北徐雍四州刺史如故
位を
現状のままとする。
惟公道冠前烈 勳高振古,而殊典未加,朕甚懵焉。今進授相國,以徐州之彭城沛蘭陵下邳淮陽山陽廣陵、兗州之高平魯泰山十郡,封公為宋公。錫茲玄土,苴以白茅,爰定爾居,用建冢社。昔晉、鄭啟藩,入作卿士,周、邵保傅,出總二南,內外之重,公實兼之。今命使持節、兼太尉、尚書左僕射、晉寧縣五等男湛授相國印綬,宋公璽紱;使持節、兼司空、散騎常侍、尚書、陽遂鄉侯泰授宋公茅土,金虎符第一至第五左,竹使符第一至第十左。相國位無不總,禮絕朝班,居常之名,宜與事革。其以相國總百揆,去「錄尚書」之號。上送所假節、侍中貂蟬、中外都督太傅太尉印綬,豫章公印策。進揚州牧,領征西將軍、司豫北徐雍四州刺史如故。
(宋書2-34_賞誉)
今ふと思ったんだけど、皇帝って七代前の先祖を顕彰しなきゃいけないんですよね。そうすると七代前の先祖の墓、霊廟を祀れる体制を取らなきゃいけない。で、劉裕の家は曾祖父である
終盤の官位に関する話は相国・宋公と言う「人臣の極み」にたどり着くことによって生じる権能の重複が見て取れる感じですね。ざっと整理するとこんな感じでしょうか。
相国
→錄尚書、假節、侍中、
中外都督、太傅、太尉
宋公
→豫章公
そもそも官職とは皇帝がなすべきことを、皇帝の名のもとに、皇帝の代理として行う、というのが名目。ならば権限がほぼ皇帝と変わらない以上、これまで帯びていた官職は全て「相国」、「国を補佐する者」の肩書きに吸収された、という感じなのでしょうね。と言うことは「軍事行動も皇帝の承認を得なくていい」という建前にもなってくる、のかな。
いっぽうで、吸収されなかった官位を見てみると揚州牧、征西將軍、司豫北徐雍四州刺史。皇帝と同じ権限というのは基本的に中央での話であり、地方はまた別の話、となってきそうです。ここで揚州という「首都エリア」についての権限、そして現在軍事行動を展開しているエリアの「内政監視官」としての役割、併せて「西方征伐」の総責任者、というのを見てみると、中央からの戦力補給、各エリアからの軍資補充権を得て、長安討伐に乗り込むべし、といった感じになるでしょうか。
官位の出し入れも、それぞれの職務が見えてくるとヒントにはなってくる感じですね。まだまだ見えきれないところもめっちゃ多いですけど。
そして金虎符および竹使符が謎&謎。これはそれだけ「自由に晋と宋の間を行き来できる」割り符、みたいな感じでいいんでしょうかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます