劉裕95 洛陽奪還詔勅2 

爰暨

木居海處之酋 被髮彫題之長

莫不忘其陋險 九譯來庭

 これらにより木の家に住む蛮族、

 海に浮かぶ島々で暮らす蛮族、

 ざんばら頭の蛮族、

 入れ墨を体に彫り込む蛮族どもが、

 その地の険阻なるも、

 遠方なるも差し置き、参内して参った。


此蓋播諸徽策 靡究其詳者也

 これはまこと公が周辺国家に振るわれた

 威徳のゆえであり、

 公以外にはなしえぬ境地であったろう。


曩者

永嘉不綱 諸夏幅裂

終古帝居 淪胥戎虜

永言園陵 率土同慕

 昔、永嘉えいかの乱にて中華は千々に裂け、

 歴代の皇帝たちの終の家は、

 蛮族どもに踏みにじられてしまった。

 かの方々の陵墓の修復は、

 我らの悲願であった。


明發遐慨 撫機電征

親董侯伯 稜威致討

 公はこれらの悲しみを背負われ、

 そして稲妻のごとく出征、

 自ら名士らを率いられ、

 その武威を大いに示して

 蛮族討伐を成し遂げられた。


旗旝首塗 則八表響震

偏師先路 則多壘雲徹

 その旗が道になびけば各地は打ち震え、

 その遠征軍が姿を現せば敵軍は霧散。


舊都載清 五陵復禮

百城屈膝 千落影從

 こうして洛陽らくようは公によって清められ、

 先帝らの陵墓は修復された。

 百の城が降伏し、千の集落が帰服した。


篇籍所載 生民以來

勳德懋功 未有若此之盛者也

 歴史書が記載を始め、

 民が国を意識するようになって以来、

 この華やかなる威徳、

 この壮烈なる功績は、

 公以上に盛んであった者など

 おらぬであろう。




爰暨木居海處之酋,被髮彫題之長,莫不忘其陋險,九譯來庭,此蓋播諸徽策,靡究其詳者也。曩者永嘉不綱,諸夏幅裂,終古帝居,淪胥戎虜,永言園陵,率土同慕。公明發遐慨,撫機電征,親董侯伯,稜威致討。旗旝首塗,則八表響震;偏師先路,則多壘雲徹。舊都載清,五陵復禮,百城屈膝,千落影從。自篇籍所載,生民以來,勳德懋功,未有若此之盛者也。


(宋書2-28_賞誉)




親董侯伯

後秦征伐は遠征って部分がかなり目立っているのだけれど、その総大将は司馬德文、つまり国家祭礼の補佐をするような人間であり、かつ王弘や范泰、袁湛といった東晋貴族トップたちも率いて、陵墓修繕事業、および改めての祭祀を執り行わせていたりもするのですよね。詔勅で言う「侯伯」はあくまで彼らのことを指すに過ぎず、軍旅については基本的に劉裕以外の誰も称えていない。文を尊び武を卑しむ思想がこんなところにもがっつりと現れている。


ただ詔勅後半の「策」って称されるものの中では、劉裕の功績がどんなもんだったかをもうちょい詳細に述べるシーンがあるから、武功についてはそこにとっておいたのかな、という気もしないではない。そこには桓玄打倒を王業のはじめとしてあげられた、九の大功が紹介されます。そこははじめやってた頃にもさらった方がいいと思ってはいたんだけど、やっぱり難しくて挫折したところ。あの頃よりはマシになってると思うので、頑張って挑戦してみます。

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