第13頁 天をかける竜


 雲を切り裂くようにして、真紅の竜がその姿を露わにした。

 流線状の体躯は金属質の鱗に覆われ、夕陽を美しく反射させている。

 左右に広げた大きく鋭い形状の両翼は、まるで一対の剣のようだ。


レイン:「ドレイク、やはり竜形態に変身したか…!」


PL/ニトライド:かっけぇ!


PL/フーリィ:かっこいいけど…!


 ドレイクは空を泳ぐようにして魔航船に近づこうとするが、改造された魔航船から放たれる射撃の雨によってで容易に近づくことはできない。

 ドレイクはその飛行性能によって弾幕を華麗に回避しながら、魔航船の周囲をぐるぐると旋回していたが、やがて魔航船の射撃範囲の死角に気が付いたのか、魔航船の直上に向かって飛び上がると、そのまま魔航船の甲板部分に着地した。

 

PL/ニトライド:えー!乗っかかりやがったぞ!こいつ!


GM/エド:「くっ!この魔航船は地上にある人族の領域に攻撃をするように設計されているから、上向きには攻撃出来ないんだ!」


PL/ニトライド:対空砲くらいつけとけ~!!


一同:(笑)


フーリィ:「まだ終わんねぇのか…!」


PL/フーリィ:あの、向かう前に準備時間とかないんですか…?


PL/アミラ:今の時間で回復したことに出来ない?


GM:ポーションくらいなら使ったことにしてもいいかな?


フーリィ:「レイン!魔香水だ!」


PL/レイン:MP6→11(5点回復)


レイン:「助かったよ!」


PL/レイン:ちなみにこれバフ系は消えてますか?


GM:実際はほとんど時間たっていないから、3ラウンドくらい経過した扱いにしようかな。


 レインたちが魔航船の甲板に駆け上がると、そこには巨大なドラゴンが冒険者たちを見下ろすように鎮座していた。


GM:では最終決戦です!竜形態の時は胴体と右翼と左翼の3部位があります。


PL/ニトライド:いけ、ニト!先制判定(ころころ)…14。いけたか?


PL/レイン:いや、竜形態は速いんだよ…。


GM:ドレイクに先制を取られてしまいました。


PL/ニトライド:え~~速いよ君~~!3回攻撃はきついなこれ!


GM:では、このラウンドは胴体は『竜化』したという扱いにして攻撃は行いません。翼だけが攻撃を仕掛けてきます。まず右翼がアミラに。命中判定(ころころ)…16!


PL/アミラ:回避!(ころころ)…15。うわ~!


PL/レイン:高い…!


GM:(ころころ)…14ダメージ!


 アミラ HP29→27(2点通し)


PL/ニトライド:ダメージは大したことないね。


GM:次はニトに左翼の攻撃です。命中判定(ころころ)…15!


PL/ニトライド:おし、避けたるぜ!避けろニト!回避判定(ころころ)…14!ニト~~!


一同:(笑)


GM:(ころころ)…17ダメージ!


 ニトライド HP29→18(11点通し)


PL/フーリィ:やばいやばい!


GM:こいつはコア部位が胴体なんですが、翼によって胴体に命中と回避のボーナスが掛かっています。なので回避が低めの翼を先に潰すか、一か八か胴体を先に倒そうとするかのどちらかです。


PL/ニトライド:いや~悩むけど胴体に当たる気がしないなぁ、どうせ出目2とか出るんでしょ?


一同:(笑)


PL/アミラ:まぁ着実にやっていこう。翼から!


PL/ニトライド:左、右、どっちからいこうかな。


GM:それはどっちでもいいよ!(笑)


ニトライド:じゃあ、先鋒いきます!左翼に命中判定(ころころ)…16!


GM:回避(ころころ)…17。


PL一同:え~!!


PL/ニトライド:オレもうダメージの準備してたのに!(笑) 次いくわ!命中判定(ころころ)…自動失敗!あーーー!!


PL/レイン:成長すな~~~~!!!


GM:したがりだな~~~(笑)


PL/バーバラ:ニトに【アースヒール】!私も左翼に攻撃するよ!命中判定(ころころ)…18!おっ!


PL/レイン:ニトよりいいじゃねぇか。


PL/ニトライド:やかましいわ!(笑) 刺すなオレの心を(笑)


GM:回避判定(ころころ)…16。当たります。


バーバラ:「いくぞ、くらえ!」


PL/バーバラ:(ころころ)…15ダメージ!


アミラ:「わたしもいくよー!」


PL/アミラ:左翼に命中判定(ころころ)…15。微妙だな~。


GM:回避(ころころ)…17!あー!避けんなよ~!(思わずPLを応援するGM)


PL/ニトライド:GMが言ってんだぞ!避けんなよ~(笑)


PL/フーリィ:翼に《牽制攻撃》命中判定(ころころ)…19!これはいいぞ!


GM:回避(ころころ)…17!失敗!


PL/フーリィ:当たってもファンブルが怖いよ~!(ころころ)…21ダメージ!


GM:お、あともうちょっとで翼がもげそうだ。


バーバラ:「翼が弱ってきてるよ、みんな!」


PL/レイン:とどめに攻撃魔法使うか?いや…MPないしやめとこう。


GM:じゃあもう終わりかな?


PL/バーバラ:あ、盾を燃やします。『燃えよ盾!』


GM:それ毎回言わないといけないの大変だな(笑)


PL/ニトライド:なんかもう癒しになってきたわ(笑)


 ドレイクは口をガバリと開くと、口内が白く光り輝き、バーバラに向けてエネルギーの塊を照射した。ドレイクが得意とする光のブレスだ。

 バーバラは盾でガードするも、防ぎきれないエネルギーが盾を貫きバーバラの肌を焦がした。


GM:生命抵抗力判定成功(ころころ)…半減で8ダメージ!


 続いて、ドレイクはその巨体からは想像できないような俊敏な動きで身体を左右に捻ると、刃のように鋭い両翼でアミラを斬りつける。

 金属鎧によって回避が苦手なアミラは、その両翼の攻撃を二撃とも受けてしまう。


GM:左の翼の攻撃!(ころころ)…19ダメージ!右の翼の攻撃!(ころころ)…13ダメージ!


 アミラ HP25→17


アミラ:防護点のおかげでなんとかなったけど痛い!


レイン:「アミラ!大丈夫かい!【キュア・ハート】!」


 アミラ HP17→32(15点回復)


PL/レイン:ぴったしマックス回復!でも残りMPは3…さ、次から魔晶石割るか…。


 ドレイクはバーバラとフーリィの攻撃を回避するが、ニトライドの活躍によって左翼に致命的な傷を負ってしまう。

 片翼が使えなくなったドレイクはその動きを大きく鈍らせたようだ。


ニトライド:「よし!左翼はやってやったぜ!」


GM:これで胴体の飛翔ボーナスが消えました。


レイン:「アミラ、胴体を狙うんだ!」


アミラ:「じゃあ、いくよ!」


PL/アミラ:命中判定(ころころ)…自動成功!これきたでしょ!(ころころ)…25ダメージ!


一同:おぉー!


GM:すげぇダメージ!


 ドレイクは翼を傷つけられたことに憤慨したのか、ニトライドに向かって噛みつき攻撃を繰り出した。


フーリィ:「ニト!避けて!」


PL/レイン:ニトにきた時が一番怖い。


GM:命中判定(ころころ)…15!


PL/フーリィ:避けれて当たり前だぞこの数値は!


PL/ニトライド:任せろ!俺はグラップラーだぞ!(ころころ)…13!?


PL/レイン:辞めたらその職業~!?


GM:(ころころ)…24ダメージ!


 ニトライド HP27→9


一同:え~~!やばい!


GM:続いて翼の攻撃対象は…あ。翼がニトを攻撃します。命中判定(ころころ)…22。


PL/アミラ:やばいやばい!ニトが死ぬ!


PL/フーリィ:避けて~~!


PL/ニトライド:回避判定(ころころ)…15!低いよ~~~~!


PL/フーリィ:いやぁ、死んだなぁ…。


PL/レイン:大丈夫!翼のダメージは低いから…!


PL/ニトライド:耐えてくれニト、フィジカルで…!


GM:いきますよ…!(ころころ)…13ダメージ!


 ニトライド HP9→2


PL/レイン:防護点込みで7ダメージ!よし!


PL/アミラ:ギリ耐えた!よかったー!


GM:グラップラーなのにデフォルトで避けられないの何とかならんのか(笑)


PL/ニトライド:いやぁ~避けれないもんですねぇ~(笑)


レイン:「ニト、【キュア・ハート】!」


バーバラ:「ニト、【アース・ヒール】いくよ?」


 ニトライド HP2→25(計23点回復)


PL/ニトライド:こんなに介護されるの恥ずかしいんだけど(笑)


GM:ニト、マジでヒロインだな。本当に(笑)


一同:(笑)


PL/ニトライド:ありがたい。いや、なんとかなった。


フーリィ:「よくもあたしの弟をやってくれたな!食らえ!」


 憎悪に燃えるフーリィの弓矢がドレイクに向けて発射されるが、その矢がドレイクに命中することはなかった。


フーリィ:「なんでだよぉ、くそぉ…!」


 その後、一度ニトライドが瀕死のダメージを負ったことで精神的に動揺したのか、ニトライドとフーリィの攻撃はドレイクに悉く躱されてしまう。

 しかし、アミラとバーバラが着実にダメージを与えていき、負けじとドレイクも反撃を繰り返すが、そのダメージは全てレインの魔晶石を使った回復魔法によって癒されてしまうのであった。


PL/ニトライド:どっから出てくるんだその魔晶石(笑)


GM:そんなに隠し持っていたのかお前(笑)


PL/ニトライド:誰かレインが俺に使った魔晶石の合計金額出してくれ(笑)


一同:(笑)


PL/バーバラ:(ころころ)…22ダメージ!


バーバラ:「後は頼んだよあんたたち!」


GM:ドレイクはもはや満身創痍。辛うじて気力で動いてるようです。


 このリプレイではかなり省略しているがドレイク戦がかなり長引いたため、リアル時間ではセッションの時間は深夜に差し掛かっている。

 PLとGMのテンションも極限状態を迎えようとしていた。


GM/ドレイク:「死んで…たまるか…。俺は蛮族の王…天の貴公子と呼ばれた男だ…!」


PL/フーリィ:なんか言ってるよ(笑)


GM:タイトル回収もしたところで…。


一同:(笑)


PL/アミラ:命中判定(ころころ)…17。微妙だけど当たるか…?


GM:回避判定(ころころ)…16!回避失敗!


GM/ドレイク:「ぐわーー、やめてくれ!その攻撃は俺にきく!俺が天の貴公子なんだー!」


アミラ:「さよなら!」


PL/アミラ:(ころころ)…20ダメージ!


GM/ドレイク:「ぐわーーーーー!!」


PL/アミラ:倒した?さすがに倒したよね!?


 ドレイクはアミラの閃光迸ほとばしる斬撃を頭部に受け、ズズンとその身体を魔航船の甲板に沈ませると、その後、起き上がることはなかった。


PL一同:よっしゃ~~!!


PL/フーリィ:誰も死ななかった…。


PL/レイン:全滅するかと思った…。


 ニトライド HP15/MP1

 フーリィ HP19/MP1

 アミラ HP19/MP7

 バーバラ HP33/MP1

 レインHP38/MP0


GM:みんな残りMPがギリギリすぎる(笑)


アミラ:「みんなのおかげで勝てたな!」


フーリィ:「辛い戦いだった…ニト、もう獣変貌解いていいんだぞ」


ニトライド:「そうだ、忘れてた…」


フーリィ:「もう終わった、全部終わったんだ…」


PL/ニトライド:セリフが最終回じゃん(笑)


ニトライド:「いやぁもう、冒険者やめようかなぁ~。全然当たらないしなぁ~」


一同:(笑)


レイン:「何言ってるんだよニト!帰ったら特訓だよ!」


アミラ:「わたしとの対決もあるだろ?」


GM:勝てる気がしねぇ(笑)


 ドレイクが倒されたのを見て、甲板の出入り口からエドが顔を覗かせた。


ニトライド:「あ、エドじゃないか」


GM/エド:「よくやってくれたなお前たち!さぁ、このでかい手土産を持ってハーヴェスに帰るぞ!」


バーバラ:「わーい!」


フーリィ:「このドラゴン…すげぇな。あたしたちが倒したんだ」


ニトライド:「改めて考えるとすげぇよな!」


GM/エド:「ドレイクと言えば蛮族の王とも呼ばれる存在だからな!」


ニトライド:「ほんとだったんだそれ…」


フーリィ:「あたしは疲れすぎて船の上にいるのに、乗り物酔いすることすら忘れてた…」


ニトライド:「ほんとうに…なんて、あれなんだ…」


 疲労により語彙力がゼロになったニトライドは、バタリと甲板の上に大の字に倒れこんだ。


PL/フーリィ:満身創痍だ(笑)


 ドレイクの報酬判定では『朽ちた魔剣』を入手した。売値はなんと4000ガメルだ。


PL一同:お~~!


GM:ということで、あなた達はハーヴェスで行方不明とされていた改造された魔航船を持ち帰り、更に魔動機が落ちてきた謎も解き明かして帰ってくることが出来ました。結果的にあなたたちは2つの依頼を達成しました!依頼料は合計2万5千ガメルです!


 ハーヴェスへの空の帰り道。甲板の上から沈みゆく夕陽を眺めながら、ニトライド達は依頼達成の余韻に浸るのであった。


ニトライド:「今回もなんとかなってよかったなぁ…」


フーリィ:「そうだな…」


レイン:「大変だったけど…またいつか浮遊島に行きたいなぁ…」


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 今回の冒険では興味深いことをたくさん学べた。

 一つ目は浮遊島を見つけたことだ。浮遊島があることは文献では知っていたが、実際に見たり行ったりしたのは初めてで、その存在に驚きを隠せなかった。

 しかも、あの浮遊島には魔動機文明時代の遺跡があったのだ。

 あの遺跡は元々浮遊島だった土地に建てられた建造物なのか、それとも遺跡があった土地が大破局ディアボリック・トライアンフの影響で空に浮かび上がり、後から浮遊島になったのか、気になるところだ。

 二つ目は人に優しい蛮族がいるかもしれないということだ。トロールは弱者に情けを掛けることがあると聞いたことがあったが、実際にトロールが人を治療していたのを目撃した。

 それと、僕たちがすぐ近くで話し声を出していたのにも関わらず、彼はずっと座禅を組んでいて、もしかしたらあれは寝たふりで、僕たちを見逃そうとしてくれていたのでは?と、バーバラが言っていた。

 ただ、僕は彼がその後に発した言語を理解することが出来なかったし、結局戦闘になってしまった。

 もし、あの時僕が彼の言語を理解できていれば、何か違った道もあったのかもしれない。少し、蛮族の言葉も勉強してみることにする。

 そういえば、僕たちがハーヴェスに帰還したあと、報告を受けたギルドが浮遊島に残った蛮族たちを掃討する作戦に出たという話を聞いた。

 あそこに残った蛮族たちを野放しにしてしまったことに少し心残りがあったが、これで安心だろう。

 僕たちは蛮族たちの頭領であるドレイクを無事に倒すことが出来たけど、ニトが大怪我を負ったり、まだまだ僕たちの実力不足を感じた。

 僕も魔力切れで魔晶石をたくさん使う羽目になったし…ひと段落ついたらニトと僕で、男水入らずの特訓だ!

 特訓に役立ちそうな本も探しておくとしよう。

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