第2頁 湖の中心で、来いと叫ばれたけもの
レイン達一行は、ギルドが派遣してくれた馬車に乗って、依頼先の村へと向かった。
村までは約半日ほどかかったが、特に何事もなく到着することができた。村の入り口に着くと、彼らの姿を見かけた村人が出迎えにやってくる。
PL/フーリィ:あ、もう着いた。
PL/アミラ:すぐ着いた。
フーリィ:「近くて助かった~。あっという間だったな!」
GM:(省略してるだけで実際には半日掛かってるんだけどな?)
GM/村人:「おや、あなた達は冒険者の方ですか?」
ニトライド:「あぁ、そうだぜ」
GM/村人:「お待ちしておりました。落下してきた魔動機と蛮族の件ということでよろしかったでしょうか?」
レイン:「そうです、魔動機です!」
GM/村人:「あぁ、では早速なんですが、落下した場所と魔動機の破片ならすぐにお見せできますよ」
レイン:「いいんですか!?是非!!」
バーバラ:「嬉しそうだねぇ」
村人の案内に従い、村の小麦畑に向かうと、そこにはまるでクレーターのようにぽっかりとした窪みができており、そこから破片を一つ拾い上げレイン達に見せてくれた。
GM/村人:「これなんですけど…」
見たところそれは魔動機の外装甲の一部と思われるもので、くまなく見てもこれといって変わった点は見当たらなかった。
ニトライド:「レイン、何かわかるか?」
レイン:「これはいたって普通だな…」
GM/村人:「これ以外のパーツは蛮族の襲撃の際に持ってかれてしまったんです」
フーリィ:「蛮族が?なんだって蛮族がこんなものを欲しがるんだ?」
レイン:「レアだからね!」
バーバラ:「レインみたいなやつがいるのかもしれないねぇ」
レイン:「蛮族と一緒にしないでくれ!」
レイン:「村人さん、レアな魔動機を持って行った蛮族はどこに行ったんですか?」
GM/村人:「すみません、そこまではわからないですね。我々も襲撃された際は逃げるのに必死だったもので…。ただ、依頼には書いていなかったかもしれないのですが、実はその魔動機が落ちてきた時に、一緒に蛮族も落ちてきたんですよ」
アミラ:「蛮族が落ちてきた??」
GM/村人:「あぁいや、蛮族が落ちてきたというか…魔動機の中にその蛮族が乗っていたらしくて、その蛮族は落下の衝撃で死んでしまったらしいのですが」
バーバラ:「へぇ~、いったいそれはどういう蛮族だったんだい?」
GM:(ええと、村人の口からこの蛮族をどう表現したらいいんだろうか…)
GM/村人:「なんか、お猿さんみたいなやつでしたね」(笑)
PL/バーバラ:お猿さんみたいな(笑)
PL/フーリィ:なにか痕跡というか、クレーターの中で手がかりを探せませんか?
GM:うーーん、何も分からないかも。破片があるなってくらいかな。
ニトライド:「その猿みたいな蛮族の死体はどこにあるんだ?」
GM/村人:「死体ですか?死体なら村のはずれに埋めてしまいましたけど…見たいですか?」
フーリィ:「律儀だな、蛮族の死体を埋めるなんて…」
GM/村人:「そこら辺に放置していても悪臭がしますし、アンデッド化してしまっても困るので埋めたのですが、もう白骨化してるかもしれませんね」
フーリィ:「そんなに前なのか?」
GM/村人:「2週間前くらいの話です」
バーバラ:「けっこう前なんだねぇ」
GM/村人:「あ!そういえば、これが手がかりになるかは分からないんですが、蛮族の襲撃があった数日後に、村の近くの湖にまた魔動機が落ちてきたんですよ」
アミラ:「2個落ちてきたのか!」
GM/村人:「えぇ。その魔動機は湖の中に落ちてしまったので形は無事なんですけど、水底にあるので引き上げるのが難しくて。湖の中は肉食の動物がいるので、危険を冒してまで大きな魔動機を引き上げるのは、我々だけでは厳しかったのですよ」
フーリィ:「そっちには蛮族達は回収しに来なかったのか?」
GM/村人:「蛮族たちが気付いているのかどうかは分からないのですが、それ以降また村の周りをうろつくようにはなりましたね」
フーリィ:「あぁ、村の周りにいるのか」
GM/村人:「そうですね、村を出て行った村人達がたまに見かけたりするみたいですね」
ニトライド:「それは危ないな…」
フーリィ:「じゃあとりあえず湖に行ってみるか」
村人:「では案内しますよ」
ニトライド:「ありがとう!危なくなったら逃げるんだぞ」
村人に案内してもらいながら、一行は件の湖へと向かう。
湖の場所は村からほど近く、徒歩30分ほどで到着した。緑が生い茂る森に囲まれた綺麗な湖だ。
GM/村人:「ここなのですが…」
ニトライド:「うわすげぇ、綺麗な湖だな!」
レイン:「どこにあるんだい?」
GM/村人:「ちょうど中央あたりですね、水の中が暗くて見にくいかもしれませんけど…」
PL/レイン:あれ?誰か〈暗視〉もってなかったっけ?
※
種族特性の〈暗視〉で地上から暗い水中の中が見えるのかという話になったが、判断が難しかったので、とりあえず見えないということに。
湖を覗くと、確かに水底の中央付近にうすぼんやりと大きな何かが沈んでいることがわかるが、同時に、湖の中を巨大な“ワニ”が泳いでいることも確認できる。
アミラ:「わっ、あれなんだ!」
ニトライド:「あれは…なんなんだレイン!」
レイン:「見てわからないのかいニト、あれは“ワニ”だよ」
一同:(笑)
GM:(どうやらルールブックに載っている動物だとは思っていないようだな)
GM:魔物知識判定できますよ。
PL/レイン:えっ、できるんだ!?
GM:できるよ(笑)
PL/レイン:(ころころ)13!
GM:ならわかりますね。これは…『クロコダイル』です。
一同:(笑)
レイン:「あれはね、クロコダイルだよ」
フーリィ:「あんなのが強いのか?」
GM:ルールブックⅡに載ってます。
PL/ニトライド:載ってるんだ!へぇ~!
PL/フーリィ:そのままなんだね名前。
GM:それと、湖の水辺に女性がいます。ええと…水々しい女性がいます(笑)
PL/アミラ:それ、アミラは見えますか? ※アミラはルーンフォーク
GM:あ、アミラには見えないです。
PL/フーリィ:あーじゃあ妖精か。アミラで試すっていう(笑)
アミラ:「何だみんなあそこの一点を見て、何かいるのか?」
フーリィ:「あぁ、また妖精がいるみたいだな」
ニトライド:「そうか!アミラは見えないもんな!ぷぷー!」
アミラ:「なんだよお前~!!」
口を押えながら目をにやけさせているニトライドの背中を、アミラがポカポカと殴った。
ニトライド:「いてて…ちょっと聞いてみるか?前、他のところでも温泉の妖精とかいたしな」
フーリィ:「妖精だぞ?喋れるのはレインくらいじゃねーのか?」
レイン:「そうだね、僕が魔動機について聞いてみるよ」
唯一妖精語を話せるレインが、その水々しい妖精のもとへ近づいていった。
レイン:「そこの水の妖精さん」
GM/水の妖精:「あら、こんにちわ」
レイン:「妖精さんはいつもここにいるんですか?」
GM/水の妖精:「私はここに住んでいるわ」
レイン:「じゃあ最近、おかしなこととかありませんでしたか?何か降ってくるとか」
GM/水の妖精:「あぁ、あったわねぇ。何か大きな鉄の塊が降ってきたわ。あなた、あれが気になるの?」
レイン:「とっても、とっても気になるんです…!」
GM/水の妖精:「良かったらあれを湖から出してくれない?私、この湖が汚れるのが嫌なの」
レイン:「えぇ、勿論!引きあげますよ」
GM:あ、魔物知識判定を振ってください。
PL/レイン:(ころころ)…12。
GM:成功ですね。これはルールブックⅡに載っている『ウンディーネ』です。
PL/レイン:あのかの有名なウンディーネね、なるほど。
レイン:「でも、クロコダイルがいるから通れないんだよ」
GM/ウンディーネ:「そうね、彼もここに住んでいるからね」
レイン:「じゃあ話をつけてくれないですか?」
GM/ウンディーネ:「動物と話すなんて出来ないわ」
レイン:「うーん、どうしようかな。倒すのは心苦しいし…」
アミラ:「なぁ、レインなんて言ってるんだ?」
フーリィ:「なんか引き上げるとか言ってたけど、あんなものをどうやって引き上げようとしてんだよ。無理だろ?」
GM:魔動機のサイズは結構大きくて、小屋より少し小さいぐらいのサイズですね。
レイン:「じゃあ皆、あれを試してみないかい?誰か1人があれに縄を付けて皆で引っ張るんだ。確か、綱引きっていうんだよ!」
ニトライド:「綱引きくらい知ってるよ、村でやったぜ。よっしゃ任せろ!俺が縄を付けてくるよ!」
バーバラ:「大丈夫かい?クロコダイルがいるよ」
ニトライド:「頑張って話つけるわ」
PL/ニトライド:と言って、リカント語の応用でなんとかなりませんかね?
GM:え?なんですか??
PL/ニトライド:リカント語の応用でクロコダイルと話せませんか?
GM:話せないです(笑)
PL/ニトライド:ダメか~(笑)
ニトライド:「ばうばうっ!うーん、対話は難しいみたいだな」
GM/ウンディーネ:「手伝いましょうか?」
フーリィ:「お、なんか言ってるぞ」
PL/バーバラ:そうか、レイン以外わからないのか(笑)
一同:(笑)
レイン:「ちょっと待っててね。ウンディーネさん、いいんですか?」
GM/ウンディーネ:「水の底で息ができ、速く歩けるようになる魔法があるわ」
レイン:「本当ですか!?それをかけてくれるんですか?」
GM/ウンディーネ:「勿論よ」
レイン:「ありがとうございます。では、獣耳のこの男に」
GM:じゃあ、えー…
フーリィ:「おい、なんの話してんだ…?ニトになんかやらせるんじゃねぇぞ!」
弟に得体の知れない魔法を掛けられそうになったフーリィは、
レイン:「あぁごめんね…。ニト、君をパワーアップしてくれるらしい」
ニトライド「おぉ!まじか!頼む頼む!」
フーリィ:「なんだそれ、全員に出来ないのか?」
レイン:「出来ると思うよ」
フーリィ:「じゃああたしも行くよ!」
先ほどまでレインに噛みつく勢いだったのに、ただ“パワーアップ”と言うだけで、簡単に納得してしまうのだからこの姉弟は単純である。
レイン:「というわけでごめんねウンディーネさん、全員分お願いします」
GM:では、ウンディーネは『魔法拡大/数』を使って、妖精魔法【ボトムウォーキング】を全員にかけます。これによってあなた達は水底で活動する限り、水中の行動の制限やペナルティ修正が無くなり、水中で呼吸と発声が可能になります。
PL/ニトライド:じゃあ、足が付かなくなったらダメってことか。
GM:そうですね。足が付かなくなったら通常の泳いでいる状態になります。
PL/ニトライド:また足を付けたら戻る感じ?
GM:うん。
PL/アミラ:ジャンプはダメってこと?
GM:ジャンプはダメです。
PL/フーリィ:えっ…。
PL/アミラ:けっこう大変だな(笑)
GM:あ、呼吸と発声はいつでも出来るよ。水底に立ってる限り地上と同じような動きが出来る魔法ね。ジャンプすると泳ぎ状態になるからペナルティが発生する感じかな。
PL/ニトライド:なるほど。
レイン:「でも困ったなぁ、僕、『聖印』が本だから濡れちゃうとちょっとね…」
※レインは本を『聖印』に加工して所持している。
アミラ:「本なら置いていけばいいだろ?」
レイン:「これが無いと神聖魔法が使えないんだよ」
フーリィ:「じゃあ陸からクロコダイルを引き付けてくれ」
レイン:「でも、僕も魔動機見に行きたいし…」
フーリィ:「どうせ引き上げるんだから、待っとけって」
レイン:「え………」
PL/ニトライド:めっちゃ嫌そう(笑)
アミラ:「結局引き上げないといけないんだろ?」
レイン:「…そうだね、じゃあ引き上げは任せるよ」
ニトライド:「代わりに、クロコダイルは頼んだぞレイン」
レイン:「あぁ、何とかしてみるよ」
そういうと、レインは湖に向かって走りだし…
レイン:「さぁこい!クロコダイルー!!!」
叫んだ。
一同:(笑)
PL/アミラ:そんな方法なの!?(笑)
アミラ:「じゃあ、わたし達は今のうちに湖にはいろっと!じゃぼーん!」
ニトライド:「じゃぼーん!」
フーリィ:「じゃぼーん!」
バーバラ:「じゃぼーん!」
GM:では、クロコダイルがアミラ達の方に向かってきますね。
フーリィ:「あっ!」(笑)
一同:(笑)
レイン:「クロコダイル!こっちだ!こっちだぞー!!」
と言いながらレインは大きく手を振ってみるが、クロコダイルはそれを全く意に介すことなく、一直線にアミラ達の方向へ向かっていった。
PL/ニトライド:ダメか~(笑)
慌てて湖の外に出る一同。
彼らが水面から出ると、クロコダイルは興味をなくしたように湖の中央に戻っていった。
フーリィ:「やるしかないのか?やっていいのか?」
PL/バーバラ:お腹すいてるのかな?餌でもあげたら何とかならないかな?
ニトライド:「村人さんや、村に肉の備蓄とかある?貰ってもいいか?」
GM/村人:「いいですけど…村まで取りに行くので時間がかかりますよ」
ニトライド:「全然待つよ」
GM:では片道30分ほどかかるので、往復で1時間後に村人が肉を持って帰ってきました。
PL/フーリィ:時間かかったなぁ(笑)
村人:「よいしょ!これをどうすれば良いんでしょうか?」
バーバラ:「レインがその肉を持っていればいいよ」
フーリィ:「肉を持ってなるべく遠くで水に入ってもらって…」
ニトライド:「レイン頼めるか…?」
レイン:「わかったよ」
PL/レイン:と言って本を地面に置き、肉を持って水に入ります。
フーリィ:「そのまま肉置いてけよー」
PL/ニトライド:絵面おもしろ…てか1時間経ったけど水中歩ける?(笑)
PL/フーリィ:あ、かけなおさないと(笑)
PL/バーバラ:1時間経ったからもう1回『ボトムウォーキング』かけてもらわないと。
GM:あ!そっかそっか、忘れてた(笑)
GM/ウンディーネ:「あなた達何してたの…?」
一同:(笑)
フーリィ:「いや!こっちにも作戦があるんだって!」
GM/ウンディーネ:「うーん、わかったわ。もう次はないからね」
バーバラ「ありがとう!」(笑)
GM/ウンディーネ:「もうMPがないから…」
ニトライド:「MPってなんだ!?」(笑)
GM:では、ウンディーネは全員に同じ魔法をかけてくれました。
ニトライド:「ありがとう!じゃあ、頼んだぞレイン」
レイン:「行ってくるよ」
PL/レイン:腕まくりして肉を両手に持ち、水の中に入っていきます。じゃばじゃばじゃば…
ニトライド:「レインってあんなに頼りがいあったか?」
フーリィ:「なんか一皮むけたな…」
GM:では、レインが少し離れた位置に行って、水中に肉をボトボト落とすと、クロコダイルがぶわーっときて、肉をガブーっと食べています。
フーリィ:「今のうちだ…!」
アミラ:「私達も行こう!」
PL/フーリィ:念のために『獣変貌』しておきます。
PL/ニトライド:あ、俺も。
フーリィとニトライドは、まるで水面に入ることがスイッチであるかのように、自らの頭部を狐の姿へと変貌させた。
リカントの持つ種族特性『獣変貌』だ。
この形態には、筋力が向上するというメリットがあるが、口の形状の問題でリカント語以外の言語が発声できなくなるデメリットが存在する。
だが、この姉弟の間に限れば、それも関係のない話だ。
フーリィ「がうがう!(気をつけろよニト!)」
ニトライド「がうがう!(分かってるよ姉ちゃん!)」
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