第1頁 失われた魔航船を求めて
今回のセッションは、キャンペーン上で3回目のセッションにあたり、レイン、フーリィ、ニトライドは初回から、アミラ、バーバラは2回目から参加している。
また、セッションはオンラインセッションツールを用いた肉声セッションにて行われている。
キャラ名:「」=キャラクターの発言
PLorGM/キャラ名:=プレイヤーの発言
GM:今日は『墜ちた魔動機と
PL/レイン:いいね!魔動機!
PL/フーリィ:わくわく!
GM:それでは導入ですが…フーリィが朝起きました!
PL/フーリィ:適当な導入だな!(笑)
“導きの港”ハーヴェス王国。港の名が表すように海岸沿いに位置し、船による交易が盛んな、ブルライト地方一活気に溢れた国だ。
また、数は少ないながらも、空を行く船『魔航船』により、海からでは行くことのできない他国との交流を可能にしている点も、この国を豊にしている要因の一つといえるだろう。
王国の首都ハーヴェスでは、港のみならず街中に水路が張り巡らされており、水路の上を頻繁に渡し船が行き交うその光景は、まさに“水の都”と表現するに相応しい。
リカントの姉弟であるフーリィ・フォスターとニトライド・フォスターは、そんな王都ハーヴェスに存在する冒険者ギルド『漆黒の刃』に所属する冒険者だ。
彼らは冒険者になるために故郷の村ベスティアを離れ、現在は王都ハーヴェスの新市街地に部屋を借りて暮らしている。
フーリィ:「う~ん!よく寝たな。さて、朝のお祈りをするか…」
フーリィは自室に置かれた簡易的な祭壇に向かって膝をつき、胸の前で両手を組み合わせた。
フーリィ:「(ミリッツァよ、今日も弟をお護りください…)」
祭壇に祀られているのは“慈愛と復讐の女神ミリッツァ”。フーリィが信仰している
この習慣は最近行うようになったもので、その祈り姿は本職の神官から見れば、どこかぎこちないものに感じるかもしれない。
フーリィ:「…よし、ニトを起こしに行くか」
フーリィは自室の向かい側にある弟、ニトライドの部屋をノックした。
…欲を言えば寝室はニトライドと共同の部屋がよかったのだが、入居時に弟に猛烈に反対されてしまったので、不満はあるが止む負えないだろう。
フーリィ:「おーい、ニト!」
弟の返事はない。
が、しばらくして小さく…もう食べられないよ~…むにゃむにゃ…という声が聞こえた。弟の寝言としては最もメジャーなものだ。
フーリィ:「あー、まだ寝てんな…」
フーリィは弟の部屋の扉を躊躇なく開くと、だらしなく涎を垂らしながら床のカーペットと同化している弟の頬を優しく叩いた。
フーリィ:「ほら起きなって、ニト!」
ニトライド:「痛い!痛い…あぁ、もう朝?」
フーリィ:「朝だよ!」
ニトライド:「起こしかたってもんがあるでしょ!起こしかたってもんがぁ!」
フーリィ:「昨日も酒飲んでたのか?すぐ飲み比べしたがるからなぁ…。ほどほどにしとけよ?」
ニトライド:「あぁ、毎回負けてんだけどやっぱ楽しいんだよね…。頭がいて~…」
フーリィ:「弱いくせに無茶するから…。いいからとっとと準備しな!今日も冒険者ギルドに行くよ!」
ニトライド:「え!?オレこんな状態なのにいくの!?」
フーリィ:「そうだよ!仕事仕事!」
ニトライド:「わかったよ…」
ニトライドはふらふらと洗面所に行くと、コップ1杯の水を飲みほした。ニトライドの朝のルーチンワークはこれにて完了だ。
フーリィ:「さてと、ギルドに行く道中にレインを迎えに行くか」
ニトライド:「そうだね。今日はレインどこにいるんだろう…」
フーリィ:「うーん、いつもの公園かなぁ。あそこでいつも朝合流するもんなぁ」
二人は冒険者ギルド『漆黒の刃』へ向かう道すがら、パーティメンバーの一人である、メリアのレイン・ハイリッジを迎えに行くことにした。
二人がいつもの公園に着くと、公園の大木に寄りかかり、本の虫になっているメリアの姿があった。
フーリィ:「あ!いたいた!」
ニトライド:「どうしたんだレイン、なんか変な独り言言ってるけど?」
レインは二人が近づいていることに気付く様子はなく、本に顔を近づけながらぶつぶつと奇妙な呪文を唱えている。
フーリィ:「そういえばここ、レインの特等席だったな。おはよ~!」
レイン:「……」
ニトライド:「あれ、聞こえてないのか?レイン、レイーーーン!」
レイン:「?…あ!2人じゃないか!おはよう!」
ニトライド:「全く、本読んでるといっつも周り見えなくなるんだから…しっかりしてくれよレイン」
レイン:「いやごめんね、つい面白くて。新しい知識が入ってたんだよこの本」
フーリィ&ニトライド:「へぇ~…」(興味なさそうに)
一同:(笑)
レイン:「また今度教えてあげるね…。今日もギルドに行くのかい?」
フーリィ:「そうだよ。ほら、家賃とか払わなきゃいけないからさ」
レイン:「そっかぁ。なんか寝泊まりする人は大変だね」
フーリィ:「あれ、レインは…?そっか、一晩中ここにいたのか?」(笑)
レイン:「そうだよ、ここの木が気に入っちゃってね」
フーリィ:「それ怒られないのか…?」
レイン:「まぁ僕は植物みたいなものだし、大丈夫でしょ」
フーリィ:「そういうもんか…?」
ニトライド:「ま、まぁ!許されてるならいっか!」(笑)
レイン:「じゃあ行こうか!」
ニトライド:「いやぁ~朝の…朝の朝日は気持ちいいなぁ~!」(笑)
一同:(笑)
GM:頭痛が痛いみたいな(笑)
フーリィ:「(今日は楽な仕事だといいなぁ…)」
フォスター姉弟とレインは、縁あって固定パーティを組んでいる冒険者達だ。
ニトライドが前衛役、フーリィが射撃役、レインが回復役を担っており、パーティとしてのバランスは悪くない。
だが、この3人だけではどうしても前衛のニトライドに敵からの攻撃が集中してしまうことが多く、弟思いの姉のフーリィとしては、それが常に心配の種となっている。
なので、依頼によってはそれ以外のメンバーをギルドで現地調達するパターンも少なくない。
三人がギルドの入り口に到着すると、ニトライドが意気揚々と扉を開いた。
ニトライド:「たのもー!」
アミラ:「お~!お前たち!また会ったな~!」
扉を開けてすぐに声を掛けてきたのは、以前『雪山の依頼』で一緒になった、ルーンフォークのアミラ・キュリアスだ。
その傍らには同じく一緒に依頼を共にした、ドワーフのバーバラ・イノールの姿もある。
フーリィ:「おっ、アミラじゃーん!」
バーバラ:「おはようさん、遅いじゃないかいあんた達」
フーリィ:「バーバラまで!」
ニトライド:「おっ!姉御も!」
バーバラ:「姉御?」
一同:(笑)
フーリィ:「なんだニト、姉はあたしだけで十分だろ!」
ニトライド:「いやー、やっぱなんか、さん付けってすごい違和感があるんだよな~…え、いいよね?」
バーバラ:「あぁいいよ!なんとでもお呼び!ババァでいいよ、ババァで!」
ニトライド:「それはちょっと抵抗があるけど…」(笑)
レイン:「二人とも、今日も早いね」
アミラ:「わたしはギルドの宿で寝泊まりしてるからな」
ニトライド「へぇ、このギルド宿あったんだ」
バーバラ:「ババァは朝早いから目が覚めちまってねぇ。早く次の任務に行きたいよ」
ニトライド:「姉御、一人称ババァなんだ」
一同:(笑)
ニトライド:「冒険者の皆さんも!おはよう!おはよう!」
ニトライドはギルドの酒場にいる冒険者たち全員に一人ずつハイタッチしながら挨拶をしていく。
これはニトライドがギルドに来る度にやっていることだが、なにも彼が冒険者全員と知り合いという話ではなく、誰これ関係なくやっているだけである。
どうやらニトライドがまだ幼い頃、故郷の村にきた冒険者から『ギルド全員に挨拶するのが冒険者のマナーだ』と教わったのが由来のようだが、当然、冒険者の間でそのようなマナーはない。
PL/アミラ:コミュ力高いなぁ(笑)
モブ冒険者:「おぅニトじゃねえか!おはよう!」(レインのPLがダミ声で)
ニトライド:「おはよう!おはよう~!」
レイン:「二トは今日も皆と仲がいいね」
フーリィ:「じゃあレイン、早く依頼を見てくれ」
レイン:「え、僕なのかい?」
バーバラ:「あんたが一番ちゃんと見てくれそうだしね」
フーリィ:「あたしよくわかんないから…」
レイン:「アミラ、何か依頼はなかったのかい?」
アミラ:「あ…!見てないや!あはは!ずっとギルドにいたのに忘れてた!」
レイン:「アミラ~…」
アミラ:「いやぁ、みんな今日も来るかなって思って待ってたんだよ~!」
レイン:「仕方ないなぁ」
ギルドの掲示板には本日も様々な依頼が張り出されていたが、その中に彼らほどの実力の冒険者が受けられそうな依頼が2つ見つかった。
・1つ目
依頼名:《落下した魔動機と蛮族の調査》
○依頼内容
村の畑に空から謎の魔動機が落下してきた。
魔動機はバラバラに壊れてしまっていたが、時を同じくして蛮族が村を襲い、幸いにも死人は出なかったものの、村の食料や魔動機のパーツをいくつか持ち去っていった。
数日後、村の近くの湖に再び空から魔動機が落下してきた。
村の近くでは蛮族の姿が目撃されており、魔動機と蛮族に関係があるのかは不明だが、また蛮族に襲われるかもしれないと村人は不安がっている。
落下した魔動機と蛮族の調査を頼む。
報酬:調査をすると5000ガメル、事態を解決すれば追加で10000ガメル
・2つ目
依頼名:《行方不明の魔航船》
○依頼内容
数日前よりハーヴェス王国からラージャハ帝国へ飛び去った魔航船の1隻が行方不明となっている。
乗員も行方不明のままであり、至急調査を願いたい。
報酬:10000ガメル
レイン:「ねぇ皆!見てよこれ!ねぇねぇ見て見て見てこれ!謎の魔動機だって!」
先ほどまでの優男感が嘘のように、バンバンと依頼書を叩きながら鼻息を荒げるレイン。
フーリィ:「急に興奮しだすなレイン…」
レイン:「だって!謎の魔動機って書いてあるんだよこれ、気にならないかい?」
バーバラ:「そうだねぇ、1つ目の方が貰えるガメルも多いし良いんじゃないかい?」
フーリィ:「あたしはどっちでもいいよ」
レイン:「これって両方受けれたりしないのかな?」
バーバラ:「なるほど…!強欲だねぇ!」
一同:(笑)
アミラ:「一緒に調べられたら、そっちの方がいいよな」
バーバラ:「確かに。どうなんだい?受付嬢さんよ」
GM/受付嬢:「2つの依頼ですか?受けられますよ」
バーバラ:「おぉ!じゃあ一緒に受けようじゃないかこれ」
レイン:「この2つが何か関係があるかもしれない…!でもやっぱり謎の魔動機だよな~!空から降ってきたんだぜ!」
PL/フーリィ:ぜ!?誰だお前は!本当にレインか?(笑)
一同:(笑)
GM/受付嬢:「その2つの依頼だったら丁度いいかもしれないですね。魔航船が行方不明になった方角も、1つ目の依頼があった村と同じ方角なんですよ。なので、ちょうど一石二鳥ですね」
フーリィ:「へぇ~。両方調べられるし、何か関係があるかもしれないしな」
レイン:「え、でもこれ、魔航船がバラバラになった部品とかだったら興ざめだなぁ…」
アミラ:「まぁそれは行ってからのお楽しみだろ~、な?」
フーリィ:「とりあえず蛮族がいるってんなら、もう黙っちゃいられないね!」
レイン:「じゃあ受付嬢さん!この2つ、依頼受けます!」
GM/受付嬢:「わかりました。では手続きを開始しますね」
GM:手続きを開始して、あなた達はまず村に向かうことになるんですが…
バーバラ:「その手続きの間にゴーレムを作ってもいいかい?」
一同:(笑)
フーリィ:「まってバーバラ。村まではどれくらいかかるんだ?」
GM/受付嬢:「村までは馬車で半日くらいですね」
バーバラ:「じゃあ行きながら作るよ」
PL/バーバラ:馬車の上で作りたいんだが出来るかい?
GM:馬車そんな広くないと思うけど、出来るかな?(笑)
※
バーバラが作成しようとしているゴーレムは『オーク』なので、実際にはさほど大きくはないはずなのだが…。
この時は一般的なファンタジーのゴーレムのイメージから、身長2メートル越えぐらいのゴツいゴーレムをイメージして話し合っている。
PL/レイン:もう作っちゃいなよ。
PL/バーバラ:じゃあ今作るよ!
PL/ニトライド:ゴーレムは馬車の横で走るのか(笑)
PL/アミラ:どすどすどす!(ゴーレムの足音)
一同:(笑)
GM:では、あなた達はゴーレムを作ってから、村へ向かうことになりました。
バーバラ「ゴーレム、でてきな!」
バーバラは一時間かけて地面に魔法陣を完成させると、その中心をメイスで力強く叩きつけた。すると、魔法陣に配置された樫の枝がメキメキと形を変え、ずんぐりとした木の人間、オークゴーレムが誕生した。
レイン:「相変わらず凄いな…この魔法」
バーバラ:「だろ?」
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