第35話
「あのぅ。このまま王国にいくのってありなんですかね」
あれからキャンプで睡眠をとり、早朝の朝である。
本来、2日もかけて歩くような遠い場所ではないのだが昨日の出来事で体力的に限界だったため、予想以上にかかっていた。
「それについてなんだけど獣族の王がいるシャルロット王国に行くのがベストなんじゃないでしょうか」
「シャルロット王国?」
「獣族たちが住む王国のことです。人間たちはオランジェット王国、獣族たちがシャルロット王国と棲み分けが違います」
やはりどの社会もある程度の棲み分けがあるんだなの思うのと同時にこの世界について知らなすぎるのは良くないと実感した。
アリーヌは俺が口を開かないのを確認すると、再び口を開けた。
「今からオランジェット王国に行けばどうなるかはわかりません。まだエルフ村を襲撃していると王国は国民に伝えていないため、すんなりと通過できると思っていたんですが……」
口を閉じたアリーヌに俺は答えた。
「昨日のことですね」
そう言うとアリーヌは頭をふり、続けた。
「昨日のことが伝わっていれば秘密裏に、行こうとしていた近くの門が警戒されている可能性があるのでシャルロット王国に行くのがベストかと」
エルフが王国に向かっているとわかれば王国側も警戒が強まるということだろうか。
そもそも何故エルフが王国に侵入できるかと言うと、人間とエルフは表面上、関係が良好だとされているためだ。
そしてエルフが襲ってくれば、王国はそれを利用し、エルフを敵だと国民に発表するだろう。
そのためエルフ側も迂闊な行動はできない。
「何故シャルロット王国にいくのです?」
「それはシャルロット王国とオランジェット王国を繋ぐ門があるので、そっちに変えれば気づかれない」
「なるほど。慎重にいくならその方がいいですね」
「少し遠回りにはなりますが」
そう言うと体を起き上がらせ、シャルロット王国へと足を向け、歩きだした。
◇
「着きましたね」
あれから歩き進め、獣族の国、シャルロット王国に到着した。
シャルロット王国を見渡すと異世界でしか見られない光景が広がっていた。
見渡す風景に、少し興奮していたが、周りの目線が感じたため落ち着かせた。
「では中に入りましょう」
そう言うと門を通りすぎ、悠々と中に入れた、そう思っていたのだが──
昨日助けてもらった兎族そっくりな見た目だ。
あれは……。いや似たような人は多いからな、まさか昨日今日と出会うわけないよな……。
そう思い、眼の前を歩いたが──
「また会いましたね」
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