第33話
「このまま行かせると───」
アリーヌが声を遮り口を開けた。
「この場で倒すしかないです。あの人数を行かせると……村が……」
エルフ達は長寿で魔力が他の種族よりも優れている優秀な種族だ。
だからこそ人間がエルフ達を倒すのは厳しい。
ではどうするのか……それは人間界で選び出された精鋭たちがエルフの村へと向かう。
対策も何もないがそうするしかないのだろう。
そのため人数は少ないが、実際の戦闘シーンは想像するより激しいものだという。
「行きましょう」
「同感です、相手は気づいていません。そこをついて先手で一気に決めきりましょう」
空気で押し潰されそうな現状だ。
このような危機的状況はたびたびあったが今回は違う。
今までの戦闘はどこか心の中で勝てるだろうという慢心が少なからず感じられていた。
しかし今回この人数を相手にと想像した時、どこかにはあった慢心や余裕が感じられない。
だとしてもここで動かないと自分を変えることはできない、後悔するそう思った。
「では行きます」
「はい!」
そう言うと気づかれないように相手の背後に周り、アリーヌにアイコンタクトとし、飛びかかった。
「グァァァ」
「ぐぁ゙ぁ゙ぁぁ」
先制が決まり、次々と敵が倒れていく。
それに相手も二人で来ると思っていないのか、まだ敵がいると思いこみ架空の敵を警戒してくれていた。
「くそがぁぁぁ」
そういいながら魔法陣を展開させるが、アリーヌがその前に反撃。
奇襲にくると思っていなかったのか魔法陣が後方に固まっていたことで有利な展開が続いた。
「お前隙を見せたな!」
背後からの気配に気づく。
魔法陣を知らないためどんな魔法が出るかわからないが詠唱してる言葉で意味は大体理解できた。
「ファイヤーボール!!」
一瞬やばいと脳裏によぎるがその前に体が動く。
そしてファイヤーボールをかわし反撃。
そういった攻防が続き、
半分ぐらい敵を排除したぐらいだろうか。
短期決戦で戦い、テンポ良くここまでこれた。
しかしわかりきった話ではあったがアリーヌの肉体的疲労や終わりが見えない精神疲労が溜まってきていた。
そのため俺は戦闘場所をアリーヌの近くに変え、サポートがしやすい状況を作り出している。
ちなみに戦闘中でレベルアップが起きておりステータスはこちらだ。
名前:遠野尊
種族:ヒューマン
職業:学生
レベル:15→21
攻撃:3019→5572
体力:2580→3551
防御:2250→3701
敏捷:1972→3970
魔力:1390→3511
魅力:228→358
【スキル】
なし
【固有スキル】
経験値10倍、幸運、剣豪、言語理解
だいぶステータスの上昇はしているが20を超えてから一気に上がらなくなってきた。
そしてレベルアップで耐えてきた体力も限界が見えてきていた。
「アリーヌ!!」
アリーヌの背後にいる敵を見つけ、敵を切りつけた。
「すみません……」
やはりアリーヌの疲労を考えると一回立て直すしかないんだろうか?
アリーヌを別の場所に移動するしか……しかしそんな余裕もなければすぐにバレるのが見に見えている。
限界とは言えども魔力が残っている以上、探知魔法でバレるのは時間の問題だからだ。
……俺にも魔法が使えたらもう少しいい戦い方もできるだろうな
そんな甘い考えが脳裏に通り過ぎた時、爆発音が鳴り響いた。
疲労のあまり幻聴でも聞こえたんだろうか?そう思ったがどうやら聞こえていたのは俺だけじゃなかったようだ。
一部の敵兵士も後ろを向いたからだ。
戦闘中に背中を見せるなんて、そう思うかもしれないが煙が立つ場所を見るに近距離であることが見に見えた。
兵士に当たっているのだろうか、わからないがそれだけの爆発音に兵士たちも声を荒げていた。
「あらあら、随分楽しいことやられて」
そう顔を出してきたのは人間種ではない──
「あれは獣族の一種、兎族です……」
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