第16話


「これが……、ビハイヴの世界ってか……」


 角畑が子供時代に過ごした街並みが完璧に再現されていた。見て触れるだけには留まらず、言いようのない空気の臭いまでもがリアル。何もかもが過去の現実と寸分違わず、実物と見分けが付かない。 

 スマホがまだ存在していなかった時代なのか、ガラケーを弄りながら歩くサラリーマンがいる。


「すげえな……。最先端の科学技術で、ここまでできるのかよ……」


 すっかり背が縮んだ角畑がキョロキョロしていると、目の前に女子高生とみられる女の子が通りかかった。地元で有名な純白の半袖ワンピースの制服……。黒いベルト、胸には赤いマーク。


「あれは……、ひょっとして和子ねえちゃん?」


 小学生の姿となった角畑は、思わず心がキュンとする。

 近所に住んでいた和子ねえちゃんは、お嬢様学校に通っていた今でも憧れの女性ひと

 容姿端麗な上に誰からも好かれて優しい性格という、非の打ち所のないような三つ編みの美少女だった。


 角畑はフラフラと引き寄せられるように歩きながら、さりげなく静かに和子ねえちゃんの背後に回った。


 まさかとは思われるが……。

 だが角畑少年は、やってしまった。

 和子ねえちゃんが前を向いて歩いている隙を狙い、ひらひらしている制服スカートの後ろから近付くと、両手で盛大に捲り上げた。

 本当に、すごい早業だったのだ。


 意外と薄手のショーツをはいたお尻は、伸びたパンストのように肌色が透けて見えるほど。割れ目あたりにあるショーツのタグがハッキリと分かった。そんな距離で見る彼女の柔肌は、雪のように真っ白。

 そして思春期特有のムチ・モチ・プリンとした太ももは、少し汗ばんで信じられないほど艶やかであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る