森井 真奈美
第9話
第三章 森井 真奈美
「ようこそ、角畑さんですね」
窓のない部屋の中には堀田の代わりに、見た事もないモデルのような若い女性が待っていた。
名刺を差し出す
ハーフ系の綺麗な顔立ちはエキゾチックで、ピンストライプの制服がよく似合っている。脚も腕も全てが長く、ヒールを履いているとはいえ、身長百七十センチの角畑が見上げるほどだ。少し視線を落とすと、シャツの下からでも主張してくる豊満な胸が谷間を覗かせていた。
「はじめまして、私は森井真奈美と申します。堀田要さんを担当している者です。当社の提供する『人工的並行世界』とも呼ばれる『ビハイヴ』のナビゲーターなのですが……案内役だと思って下さって結構です。奥で堀田さんがお待ちしておりますよ」
3LDKとおぼしき堀田の専用スペースは七十平米ぐらいで、一人で住むには充分過ぎるほどの広さだ。森井が示すリビング中央には、場違いなレースゲーム機の筺体のような屋根付きシートが鎮座していた。
「ヘッドベースまでどうぞ、角畑さん」
部屋の奥まで行くと窓はあるのだが、プラスチックのシャッターが下りている。
「ヘッドベースだと?」
暗めの室内で幻想的に浮かぶ黒いカーボン製のバケットシート。パジャマ姿で収まった堀田は、静かにリラックスしていた。スモークがかかった天蓋付きなので、表情までは分からなかったが、中を覗いてみると薄目を開けて起きているようだ。
「おい! 堀田!」
声をかけたが、反応がない。寝ているのかと思って体を揺り動かそうと試みたが、森井にやんわりと制止された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます