断章 ある少女について

 禁火以前。まだ炎が意思を持たなかった時代にその少女はいた。

 

 少女の名は記録に残っていない。ただ一般家庭に生まれた活発な少女であるということと……彼女がエネルギー不足に喘ぐ世界において非常に稀有な力を持っていたということだけだ。

 

 それは炎を操り増幅させるという力だった。人々は彼女を崇め。また、彼女もそれに応え力を振るったという。


 人々は彼女を讃えこう呼んだとされる。


 火夏星 と。

 

                 ―———焚書を逃れた火の民所蔵の歴史書より

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