第44話 魔術師へのジョブチェンジ

 ダンジョンに潜り、5階層で数匹の牛を狩ると、斧士ジョブのレベルが50になった。



 ルイス・キング・ロイドミラー


 HP 700

 MP 150

 力 1050

 丈夫さ 450

 魔力 50

 精神力 300

 素早さ 600

 器用さ 400


 ジョブ

 戦士Lv50,旅人Lv50,盗賊Lv50,剣士Lv50,槍士Lv50,武道家Lv50,弓士Lv50,船乗りLv50,斧士Lv50

 ジョブチェンジ可能


 スキル

 叩き割り,回転切り,吸収切り,獣切り,地砕き

 種火,飲み水,虫除け,安眠,地図

 罠看破,聴力強化,煙幕,鍵開け,縄抜け

 剣の舞,一刀両断,ドラゴン切り,精神統一

 薙ぎ払い,槍投げ,3連突き,獣突き,風壁

 掌底打ち,回し蹴り,正拳突き,踵落とし,金剛拳

 連射,山打ち,乱れ打ち,鳥打ち,吸収矢

 波乗り,雄叫び,潜水

 ぶん回し,地擦り


 ユニークスキル

 マイステータス閲覧

 セルフジョブチェンジ

 転職条件閲覧

 成長限界無効化



 マイステータス閲覧を発動し、ジョブチェンジ可能という表示を確認したルイスは、満面の笑みをつくり、ダンジョンの外に出るため、上に昇る階段に向かった。


 ダンジョンを脱出するまでの間、転職条件閲覧を発動し、???と表示されているジョブ候補を眺める。

 その中の1つ、どうにも不穏な表示がある。


『??? 戦士Lv30+槍士Lv30 人を殺す』


「う~ん…殺すっていわれてもな~」


 刀で岩を両断する、等の分かりやすく、実行するのに心理的な抵抗の無いものであれば、迷わず実行するのだが、こういう物騒な行為となると、二の足を踏んでしまうのは、人として当然だろう。


「まあ、焦ることも無いか」


 いまだに、転職条件は満たしているものの、ジョブチェンジ出来ていないジョブが多くある。

 焦って人を殺すことも無いだろうと思い直し、ルイスは切り出した牛肉を持ってダンジョンを出た。


 ダンジョンの外に出たルイスは、ジェシカに肉を渡し、たまには手伝うよと、二人で並んで肉を捌き始めた。

 捌くといっても、ジェシカは包丁を一本しか持ってきていないため、ルイスは自分の手を使って、肉を引き裂いている。

 ルイスは手を動かしながら、ジェシカに尋ねるように話しかけた。


「おっちゃんさあ、人を殺さないといけないかもしれないんだよね」

「へぇ~、いいんじゃね?別に」

「え?いいの?」

「相手が悪いことしたんだろ?だったら殺されても文句言えねぇよ」

「え?そうなの?」

「うん、そう教わった」

「そっか~」


 悪いことをした人ならば、殺してもいいらしい。

 ルイスはそういうものかと納得し、黙々と肉を引き裂き続けた。


 昼食を取り終わり、ジェシカに勉強を教えながら、ルイスはセルフジョブチェンジを発動した。



 戦士Lv50,旅人Lv50,盗賊Lv50,剣士Lv50,槍士Lv50,武道家Lv50,弓士Lv50,船乗りLv50,斧士Lv50僧侶,魔術師,商人,医師,調合士,踊り子,吟遊詩人,芸人,画家,木工士,釣り士,料理人



 前々からの予定では木工士ジョブだが、ステータスの力の数値は、もうすでに1000を越えている。

 木工士というジョブで、力が上がるのかも分からないし、上がらなければ、木工士にジョブチェンジする意味も無い。


 これ以上、魔法を我慢しながら物理寄りで進んでいく意味はあるのだろうか。

 いや、恐らくは無いだろう。

 ダンジョンでも、今のところ困っていない。


 魔法寄りのジョブを伸ばし、何かに行き詰まれば、また物理寄りのジョブを伸ばせばいいだろう。

 ルイスはそう考え、魔術師にジョブチェンジすることに決めた。

 やはりルイスは、魔術を使ってみたかったのだ。


 魔術師にジョブチェンジをしたルイスは、スキルを覚えた。

 魔術師ジョブは、Lv1になった瞬間に、スキルを覚えるジョブらしい。


 覚えたスキルは、マジックニードル。

 対象に突き刺さるような、細く鋭い魔力を打ち出すというもので、消費MPは2。


 ルイスは早速、近くに生えている木に撃ってみることにした。


 カッ、と音がし、木の幹に小さな穴が空いている。

 貫通するわけでも無く、見たところ穴は1,2cmほどの深さしか無い。

 魔力を込め続ければ、連続で撃ち続けることが出来るらしい。

 そして、他のスキルと同じく、詠唱やスキル名を声にする必要も無い。

 パーティーを組んでいる普通の冒険者であれば、自分が放った魔術に巻き込まないように、仲間に知らせるという意味を込めて、スキル名を叫ぶこともあるが、ルイスにその必要は無い。


「ああ~!難しすぎるだろ!連立方程式って!」


 ルイスが夢中になってマジックニードルを放っていると、ジェシカが叫び声をあげた。

 勉強を頑張っているジェシカの横で、1人で魔術で遊んでいたのを少し後ろめたく思ったルイスは、ずっとジェシカを見ていた風を装いながら、頭を撫でた。


「ここだよ、ここの数字を引くだけ」

「ん~?ああ、そっか。じゃあこう?」

「そうそう、それでオッケー」


 ルイスは思う。

 国語と英語と地理は教えても意味がないため、政治経済と理科と算数しか教えていないが、それでもたった2週間で、連立方程式まで進めるだろうか。

 最初はかけ算すら出来なかったのに。

 勉強を教えるといっても、たかだか毎日一時間ほどしか教えていない。


 ルイスは、ジェシカの頭を撫で、三角形の証明を教えることにした。

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