第41話 斧士へのジョブチェンジ

 結局、レベル上げの方法を弓から剣に戻したルイスは、それから2日で、船乗りのレベルを50まで上げた。



 ルイス・キング・ロイドミラー


 HP 600

 MP 150

 力 900

 丈夫さ 350

 魔力 50

 精神力 250

 素早さ 600

 器用さ 400


 ジョブ

 戦士Lv50,旅人Lv50,盗賊Lv50,剣士Lv50,槍士Lv50,武道家Lv50,弓士Lv50,船乗りLv50

 ジョブチェンジ可能


 スキル

 叩き割り,回転切り,吸収切り,獣切り,地砕き

 種火,飲み水,虫除け,安眠,地図

 罠看破,聴力強化,煙幕,鍵開け,縄抜け

 剣の舞,一刀両断,ドラゴン切り,精神統一

 薙ぎ払い,槍投げ,3連突き,獣突き,風壁

 掌底打ち,回し蹴り,正拳突き,踵落とし,金剛拳

 連射,山打ち,乱れ打ち,鳥打ち,吸収矢

 波乗り,雄叫び,潜水


 ユニークスキル

 マイステータス閲覧

 セルフジョブチェンジ

 転職条件閲覧

 成長限界無効化



 船乗りも、ルイスの予想通り、物理寄りのジョブだった。

 そして、覚えたスキルは3つ。

 もともと4つしかスキルを覚えないジョブだったが、1つが旅人ジョブでも覚える飲み水スキルであり、最終的に3つしか覚えられなかったのだ。

 しかし、ルイスはあまり気にしていない。

 趣味であるレベル上げを楽しんでいるし、ジョブチェンジも出来る。

 その結果、スキルを3つしか覚えることが出来なかったとしても、少し残念な程度だ。


 そして今は、ルイスの中でもはや恒例となっている、公衆浴場で湯船に浸かりながら、セルフジョブチェンジを発動している。


 戦士Lv50,旅人Lv50,盗賊Lv50,剣士Lv50,槍士Lv50,武道家Lv50,弓士Lv50,船乗りLv50,僧侶,魔術師,商人,医師,調合士,踊り子,吟遊詩人,芸人,画家,木工士,釣り士,料理人


 予定では、船乗りの次は木工士にジョブチェンジするはずだったが、予定外のことが起きてしまった。


 転職条件閲覧スキルを発動し、内容を見てみると、1つ見逃せない項目が増えている。


『??? 斧で魔物を殺した経験』


 ルイスとしては、やっぱりあったか~、という気分だ。

 剣、槍、弓ときて、斧があっても何もおかしくない。


 いやしかし、もう十分ではなかろうか。

 6階層から出現すると聞いたミノタウロスが、どれほどの強さなのかは分からないが、もう5階層までの牛の魔物なら、雑魚と呼べるレベルだ。

 もう魔術師になってしまっても、良いんじゃなかろうか。


 でも、先に物理寄りのジョブを済ませようと、つい先日決めたばかりだ。

 そんなに簡単に、自分の意見を覆していいものだらうか。


 別にいいのではないだろうか

 誰かに話している訳でも無し、ダンジョンをさらに深く潜ろうにも、危険だからと止められている。

 焦って強くなることはないのではなかろうか。


 いや、決めていたことだ。

 ルイスは決心し、セルフジョブチェンジの画面を閉じ、明日は冒険者ギルドで斧を借りることにした。


 昨日は、ルイスが帰ってくると、キュリーがいなかったため、ジェシカがきちんと弓を返しにきたか、聞けなかった。


 そのため次の日の朝、ルイスは寮を出ると、受付にいるキュリーに話しかけた。


「おはようございます」

「はい、おはようございます」

「昨日はありがとうございました。ジェシカは弓を返しに来ましたか?」

「はい、返却に来ましたよ」

「良かったです。あとですね、今日は斧を貸してもらいたいんですけど…」

「分かりました。少々お待ち下さい」

「すみません」


 キュリーはそう言って、冒険者ギルドの倉庫ではなく、寮に続く扉を開け、入っていく。

 ルイスはぼ~っとしながらキュリーを待ち、戻ってきたキュリーに頭を下げる。


「いつもいつもすみません」

「いえ、お待たせしました。こちらをどうぞ」

「ずいぶん大きいですね~」

「はい」


 キュリーが持ってきた斧は、人の背丈を越えるほどの大きさ。

 柄の部分まで含めれば、人の背丈の2倍はあろうかというサイズ。

 そんな巨体な斧ならば、重量も相当なものだが、ルイスは軽々と受け取った。


「斧ってこんなに大きいものなんですね」

「木を切るのではなく、武器としての性能を優先させている物ですので」

「へぇ~、何か特殊な効果とかあるんですか?」

「いえ、ありません。ですが頑丈なので、どれだけ雑に扱っても、壊れることは無いでしょう」

「確かに頑丈そうですね」

「はい」

「ありがとうございました。行ってきます」

「はい、お気をつけて」


 とんでもないサイズの斧を肩に担ぎ、ダンジョンに向かって町の中を歩くルイス。

 巨大な斧を担ぐルイスに、住人達はひそひそと囁くように、噂話に花を咲かせる。


「おい、あれってキュリーさんの武器だよな」

「あれを持ってるってことは、キュリーさんの弟子か?」

「ついにキュリーさんが弟子をとったのか…」

「ますます街の治安が良くなるな」

「バカヤロウ、目を合わせるな。狩られるぞ」


 色々な噂話が飛び交っているが、ルイスには聞こえない。

 住人達が、ルイスに聞こえないように話しているのだから、当然といえば当然だが。



 ルイスはB級ダンジョンにつくと、とりあえず1階層に出現する牛に巨大な斧を振り下ろした。

 すると、牛は縦に真っ二つになった。

 胴体を真っ二つにしたのではない。

 頭から尻にかけて、真っ二つにしたのだ。

 ルイスは、今まで切れ味の良い武器を使ったことが無かったため、真っ二つになっていることではなく、牛が切れたことに驚いた。


「おお~、切れてる」


 ルイスは真っ二つになったことには驚かない。

 これだけ斧が大きければ、当然だと思っている。


 しかし当然だが、牛が真っ二つになるなど普通ではない。

 牛には、皮や肉だけでなく、骨だってあるのだ。

 しかも、この世界のステータスシステムによって、地球の牛よりも何倍も硬いはずの牛の骨を両断する切れ味。

 明らかに普通の斧ではないが、ルイスにはそんなことは分からなかった。


 血だらけになった巨大な斧を肩に担ぎ、ルイスはセルフジョブチェンジを発動した。



 戦士Lv50,旅人Lv50,盗賊Lv50,剣士Lv50,槍士Lv50,武道家Lv50,弓士Lv50,船乗りLv50,僧侶,魔術師,商人,医師,調合士,踊り子,吟遊詩人,芸人,画家,木工士,釣り士,料理人,斧士



 無事に斧士ジョブが発現している。

 ルイスは、斧士にジョブチェンジした。


 ジョブチェンジを済ませたルイスは、そのまま5階層に降りた。

 今回は、腰にぶら下げている剣ではなく、肩に担いでいる巨大な斧でレベル上げをしてみることにした。

 牛を真っ二つに出来るのならば、気持ちよく狩り続けられそうだと、ルイスは考えたのだ。


 そんなルイスは、巨大な斧を上向きで手に持ち、5階層を走っている。

 巨大なため、少し邪魔くさいが、持って走る分には問題ない。


 牛に接近したルイスは、走っているそのままの勢いで、牛に斧を振り下ろした。

 巨大な斧は、5階層の牛も縦に真っ二つにした。


「気持ちいい~」


 自分よりも大きな牛を真っ二つにするのは、やはり気持ちがいい。

 心が晴れやかになるようだ。

 ルイスは、恍惚とした表情を浮かべた。


 それから2時間後、ルイスが走ったあとを辿れば、真っ二つに両断された牛の死体を何十匹と見られるだろう。

 ルイスは飽きることなく、多くの牛を両断して回った。

 もうすでに、この巨大な斧は、ルイスのお気に入りになっている。

 しかし、たまに使うくらいなら良いが、普段使いするには大きすぎる。

 重量は問題ないが、大きすぎて邪魔くさい。


 ルイスは、今日1日使ったら、キュリーに返そうと決めた。



 ーーーーーー



 船乗りの基本設定


 レベルアップ時のステータス上昇値

 HP 2

 MP 0

 力 2

 丈夫さ 2

 魔力 0

 精神力 2

 素早さ 0

 器用さ 0


 転職条件

 船に乗った経験


 覚えるスキル

 10 波乗り 乗り物に1日酔わなくなる 消費MP10

 20 飲み水 200mlのきれいな水を出す 消費MP2

 30 雄叫び 大きな声を出して対象を威圧し動けなくする 自分より精神力が高い相手には効かない 消費MP30

 40 無し

 50 潜水 10分間呼吸を止めても苦しくならない連続発動不可 消費MP10

 100 ??? 消費MP300

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