第37話 武道家Lv50

 4階層でレベル上げ始めて2日、武道家のレベルが50になった。



 ルイス・キング・ロイドミラー


 HP 450

 MP 100

 力 650

 丈夫さ 250

 魔力 50

 精神力 150

 素早さ 500

 器用さ 250


 ジョブ

 戦士Lv50,旅人Lv50,盗賊Lv50,剣士Lv50,槍士Lv50,武道家Lv50


 スキル

 叩き割り,回転切り,吸収切り,獣切り,地砕き

 種火,飲み水,虫除け,安眠,地図

 罠看破,聴力強化,煙幕,鍵開け,縄抜け

 剣の舞,一刀両断,ドラゴン切り,精神統一

 薙ぎ払い,槍投げ,3連突き,獣突き,風壁

 掌底打ち,回し蹴り,正拳突き,踵落とし,金剛拳


 ユニークスキル

 マイステータス閲覧

 セルフジョブチェンジ

 転職条件閲覧

 成長限界無効化



 たった3日で、レベルが50になったことになる。


 ルイスは満足顔で、ステータス画面を眺めている。

 やはり、B級ダンジョンの魔物は、D級ダンジョンやC級ダンジョンの魔物に比べて、獲得できる経験値が大分多い。


 レベル1から、たった3日でレベル50になったのだ。

 ルイスはスキップしながら、ダンジョンから出る。


 時刻はもう夕方。

 いつの間にか、ジョブチェンジの際のルーティーンになっている、公衆浴場に向かいながら、セルフジョブチェンジを発動する。


 戦士Lv50,旅人Lv50,盗賊Lv50,剣士Lv50,槍士Lv50,武道家Lv50,僧侶,魔術師,商人,医師,調合士,船乗り,踊り子,吟遊詩人,芸人,画家,木工士,釣り士,料理人


 もう、良いんじゃないだろうか。

 もう、十分なんじゃないか。


 ルイスの中の、弱い部分が誘惑してくる。


 もう、魔術師いっちゃって良いんじゃない?

 もう、物理は十分じゃない?


「いや、落ち着け、まだだめだ」


 そう、現在の転職可能ジョブの中にも、物理っぽいものはある。

 船乗りと木工士だ。

 それに、転職条件閲覧スキルでも、弓士っぽいジョブが確認出来ている。


『??? 弓で魔物を殺した経験』


 この3つが無くなれば、魔術師になろう。

 この3つを、さっさとLv50にして、魔術師になろう。


 ルイスはなんとか誘惑に耐え、魔術師になりたいと叫ぶ、自分の感情に蓋をした。


 3つをLv50にするのにかかる日数は、これまでの経験から、9日しかかからない。

 それならば、3つのジョブをLv50にしてからでも、全然遅くない。


 ルイスはなんとか誘惑に打ち勝ち、明日は弓を借りようと決め、公衆浴場を後にした。


 冒険者ギルドに戻って来たルイスは、そのまま寮の自室に入った。


 いつもなら、キュリーに一言挨拶でもして、自室に戻るのだが、ここ数日、受付にキュリーの姿が無い。

 別にいないからといって、何か不都合があるわけでは無いが、数日間ずっと見ないというのは初めてだ。


 自室に公衆浴場で洗濯した衣類を干し、ごろんとベッドに横になる。

 腰を下ろせる場所がベッドしか無いため、自室にいるときは、ほとんどベッドに横になっている。

 そして、横になるとすぐに眠たくなる。

 毎日毎日10時間ほど、ジョギングをしているからだ。


 それだけ走っていれば、体は悲鳴を上げて当然だし、すぐに眠くなるのも当たり前だ。

 旅人ジョブで得た安眠スキルは、いまだに使ったことが無い。


 もう少しで瞼が落ちようとしていたころ、ルイスは上半身を起こした。

 まだ夕食を取っていないからだ。


 ルイスは1度、夕食を取らずに寝たことがある。

 その次の日の朝は、空腹で目覚めることになった。

 毎日異常なほどのランニングをしているため、異常なほどのカロリーを、体が欲するためだ。


 ルイスはベッドから起き上がり、食事を取るため、もう一度冒険者ギルドに戻った。


 冒険者ギルドに併設されている食堂兼酒場。

 酒を飲まない冒険者に聞けば、食堂と答えるし、酒を飲む冒険者に聞けば、酒場と答える場所。


 置いてある酒の種類は多くはないが、少なくもない。

 酒を飲みたいなら、別の酒場に行く必要は無いほどには、種類を置いている。


 食事を取りたいなら、なおさら他の食堂に行く必要は無い。

 他の食堂に比べ味は落ちるが、同じ値段で圧倒的な量を提供してくれる。

 そのため、まだ稼ぎの少ない若手の冒険者が主な客層だ。

 稼ぎが増え、味にも拘るならば、他の食堂に行けばいい。


 ルイスは、実力はさておき、まだまだ若手の冒険者である。

 そのため、この食堂を利用しても違和感は無い。

 別に、ベテラン冒険者がこの食堂を利用しても、違和感は無いのだが。


 そんな食堂でルイスが頼むものは、自然と固定されている。

 最初のうちは、1番安いメニューしか選んでいなかったが、今は違う。


 色は黒く、食感も悪い食パンのようなパンを1斤。

 少量の野菜と大量の肉を煮込んだシチュー。

 そこに、兎の丸焼きと、羊肉のステーキ。

 重量は約4kg。


 このセットで、5000ゴールド。


 肉とパンで済ませれば、値段はそれほど高くない。

 しかし、野菜を増やすと、値段が跳ね上がる。


 この街では、肉は取り放題だが、野菜は取れない。

 そのため、街の外からの輸入に頼っているからだ。


 しかも、街の外で栽培されているのは、ほとんどが麦。

 野菜を専門で栽培している者など、ほとんどいない。

 主食ということで、国などから推奨されているし、伝統も理由だ。

 親が麦のみを育てていれば、その子供も麦のみを育てるようになりやすい。

 しかも、ほとんどの子供がきちんとした教育を受けていないため、麦以外のものを栽培しようと考えないし、栽培方法も知らない。

 それゆえに、野菜の値段が高くなる。


 ルイスは、ほとんど野菜が入っていない食事を取り、寮の自室に戻った。

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