第10話 4階層
次の日、ダンジョンの一階層を駆け抜け、二階層へ向かう階段の前に到着したルイス。
3日間も走り続けていたため、一階層の地図は頭にインプットされており、迷わず辿り着くことが出来た。
「よし」
キュリーには大丈夫だと言われたが、出てくる魔物が少し強くなると言われたため、やはり少し怖い。
しかし、一階層で狩りを続けてもレベルが上がらない。
厳密にはどれだけ弱い魔物を狩ってもレベルは上がるが、必要経験値に対して取得経験値が低すぎるのだ。
そのため、取得経験値を増やすために、より強い魔物を狩り、多くの経験値を得なければならない。
ルイスは覚悟を決め、階段を降りた。
「え、弱くない?」
二階層に降り、緑色をした兎を白兎と同じく一撃で倒したルイスの一言である。
ダンジョンの魔物は一階層降りたくらいで劇的に強くなるわけではない。
一階層で狂気のレベル上げをした今のルイスのステータスでは、白兎と変わらず一撃で狩ることが容易だったのだ。
その後、何匹か狩りながら三階層に降り、そこで出現した赤兎も同じく一撃で仕留めた。
「あれ?」
想定を遥かに超える手応えの無さ。
この階層の赤い兎も、白兎との違いが全く分からないほどの強さでしかない。
「もう一階層降りるか」
ルイスは四階層に降りることにした。
四階層の兎は青い。
そして、三階層までの兎のように感じ取れない程しか強くなっていなかったのとは比べ物にならないくらい、青兎は強くなっている。
防御力は低い。
三階層までの兎と同じく、ルイスの攻撃一撃で狩れる。
しかし、速い。ルイスの攻撃を回避するのだ。
ルイスの動きも、1レベルの頃と比べると11倍になっている。それを避けるのだ。
ルイスは初日に行ったカウンター戦法に戻すしか無かった。
これで何匹か狩ってレベルが上がらなければ、三階層でマラソン狩りをしたほうが効率がいいだろう。
そう考えて4匹狩り、ステータスを確認するとレベルが上がっていた。
ルイスの顔がニヤつく。
一階層で50匹以上白兎を狩っても上がらなかったレベルが、たった4匹狩っただけで上がったのだ。
上の階層での貯金があったと考えても、おそらく圧倒的に経験値効率が良い。
ならば、マラソン狩りが出来るレベルになるまでカウンター戦法でレベルを上げ、数日マラソン狩りをしてまた下の階層に潜ればいい。
ルイスはそう考え、レベル上げを続けた。
二時間ほどレベル上げを続け、喉が渇いたためダンジョンの外にある井戸を目指して走り出す。
カウンター戦法で安定して狩れるようになったが、どうしてもマラソン狩りより効率が落ちる。
それは仕方がないが、井戸がダンジョンの外にしかないことのほうがルイスにとって大きな問題だ。
二、三時間おきにダンジョンの外に出なければならず、その度に階段を昇り、三階層分移動しなければならない。
井戸に行かずに済むよう魔法で水を出そうにも、そもそもまだジョブチェンジが出来ない。
無い物ねだりをしてもしょうがないとルイスは水を飲み、また四階層に戻った。
青兎を一匹狩る度にステータスをチェックするルイス。
これまでも兎を一匹狩る度にステータスをチェックしていた。
一匹狩り、走りながらレベルが上がってないかチェックをし、また狩る。というサイクルだ。
三時間青兎を狩り続け、少し力が湧き上がる感覚があった。
大分ステータスが高くなり、1度に上がるステータスが少なくなったため、レベルアップにおける気分の高揚も小さくなった。
ルイスはステータスを開き、レベルが上がったかをチェックした。
ルイス・キング・ロイドミラー
HP 39
MP 0
力 26
丈夫さ 26
魔力 0
精神力 13
素早さ 13
器用さ 0
ジョブ
戦士Lv13
スキル
叩き割り
ユニークスキル
マイステータス閲覧
セルフジョブチェンジ
転職条件閲覧
成長限界無効化
しっかりとレベルが上がっていることを確認したルイスは、今日の狩りを切り上げることにした。
魔術師の情報をキュリーに聞くためだ。
あまり遅い時間に冒険者ギルドに戻っても、キュリーは帰っているかもしれない。
しかも昨日は子供たちに持っていってもらった白兎の代金をルイスに渡すために、1人で待っていてくれていた。さすがに少し申し訳なかった。
もう少しすれば夕方になり、冒険者ギルドでは昨日のように渋滞が起きるだろう。
渋滞は回避したいし、遅くなっても目的を果たせない。
ルイスは両手に一匹づつ青兎を持ち、白兎が400ゴールドでの買い取りということは、青兎は1000ゴールドくらいにはなるかもと考えながら、帰路についた。
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