孤儿
俺が生まれて直ぐに両親は殺されたそうだ。
理由は役人のやばい取引を目撃したから。
そんな事この街では珍しいことではない。
そんな理由で消されてるやつなんて沢山いるしもっと酷い殺され方をされてるヤツらもいる。
俺はその後親戚中にタライ回しにされやがて捨てられた。
捨てられた後は盗みや通りかかるヤツらを襲って何とか食いつないできたがそれだけじゃ足りなかった。
グ〜ッ..
『腹減ったぁ..』
お腹を抑えながらつぶやく
ポケットの中を漁り手のひらを開くがそこには紙くずやホコリしか出てこなかった。
『盗んだ金ももう無いし..』
仕方が無いととある中華屋を目指して歩いた。
以前にも盗み食いした事のある店だ。
中華屋の裏手に周り込む。
『この辺かなっと..』
窓があるところを見つけそこまで手馴れたようによじ登っていく。
窓までたどり着くと窓を開けて中に入る。
周囲に人がいないことを確認すると手当たり次第に食べ物をかき集める。
このぐらいあればしばらくは飢えることはないだろうそう思いその場を後にしようとした時、机にあったお皿が地面に落下する。
『やっべ..!!』
食器の割れる音が響きわたる。
後ろから扉を勢いよく開ける音が聞こえ後ろを振り向く。
「またお前か!!」
鬼の形相でこちらに迫ってくる店員。
『飯は貰っていくからな!』
そう言って走り出そうとした瞬間抱き抱えていた料理の缶ずめが転げ落ち足元に落ちる。
『へゃ?!?』
それに気が付かずそのまま盛大に転び落ちる。
『いってぇ..!』
転んでいるところを店員は首根っこをつかみあげそのまま外に連れ出す。
『離せ!このハゲ頭!!』
「このクソガキが!またうちの食べ物盗みやがったな!こい!」
『うるせぇ!俺を誰だと思っていやがる!あの有名な"雀天"の組員だぞ!』
「そんな見え透いた嘘ついてんじゃねぇ!!お前みたいなちんちくりんが雀天なわけ..」
店員がそう言いかけた時だ。
「おい坊主!なに仕事ほっぽり出して飯屋行ってんだよ!」
そう言って現れたのは背の高い男の姿だった。
『えっ...』
あれは..本物の"雀天"だ..
俺が唖然としてる中慌てて手を離されその場に落とされる。
そのまま俺は男の方へ駆けより周りを見渡す。
通りかかる人や野次馬たちが怯えた表情を浮かべる。
「ほら行くぞ..俺の仕事は終わった」
俺は彼を見上げる。
思わず鳥肌が立った。
その目はどこまでも冷たくて、でもどこか暖かいような気がした。
なんだか不思議な気持ちになる。
にしてもここまで人に恐れられる"雀天"ってどんな組織なんだろう..
俺も詳しくは知らないけどこの街光芒の東側はほぼ全てこの雀天が仕切ってるらしい..
俺も..俺もこの人みたく..
拳を強く握り締め男の跡を継いていく。
いつか俺もこの人みたく強くなりたい..!
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