雀天
パンダまん
第1話 正义
「許してください…お金は…必ず払うんで…」
弱々しい声が何もない広い部屋に響く
「許すも何も楽しいことしたならお金をちゃんと払わないとだめでしょ? 習わなかった?」
懐から銃を取り出し相手に向ける
「使った药はどうだった?さぞ楽しかったよね?そしたらお金を払わなきゃ」
鼻血を出し倒れている男を跨ぎ、がらんどうの目を向けながら淡々と告げる
「お金…今は…ないんです…お願いします…待ってください…三日後に…お金はいるので…」
男が命乞いをする
「じゃあ死ね」
躊躇なく引き金を引き男の眉間に風穴を開けた
一つ息をつき銃を戻す
扉を開け部屋から出る 日が顔に当たりまぶしい
カシラからもらったサングラスをつけ街へ出る。
ここは中国 光芒
地名とは裏腹にこの街は汚れている
暴力がすべてを解決し、またすべての元凶も暴力である
ここにきて三年 もう感情もない
すべてを捨て自分の中の正義を信じ生きてきた
拾ってくれたカシラに忠を尽くし、様々な汚れ仕事を引き受けた。
こんなんで正義を貫いているのかな?
疑問しかわかない
ふと怒鳴り声が聞こえる
この街ではいつものことだ
でも今回はちょっと違った
「このクソガキが!またうちの食べ物盗みやがったな!こい!」
「うるせぇ!俺を誰だと思っていやがる!あの有名な 雀天 の組員だぞ!」
雀天 光芒を仕切る黒社会の一つ 名前はカシラが麻雀が好きだからこうなった
名前は適当だが力はありこの街の東側は雀天の庭である
あのガキ突拍子もねぇパチこくなぁ。
ふとそのガキを見ると悲惨な姿だった
肉はなくあばらが浮き出ている
その姿を見るとなぜか足が前に出ていた
「おい坊主! なに仕事ほっぽり出して飯屋行ってんだよ!」
ガキに向かって一声かける
「えっ…」
困惑した表情でこちらを見る子ども
まぁそうだろうな
周りの野次馬がどよめく
「雀天だ…」
「目を合わせるなよ…殺されるぞ…」
そんな言わなくても
「ほら行くぞ 俺の仕事は終わった」
ガキの手を引き近くの路地裏に入る
人目がつかないところまで行き子どもと向き合った。
「おいガキ なんでうちの名前使った? うちの名前を使うのは命知らずの馬鹿がやることだ」
「そんなことわかってる! でもあの時言わなければ今こうして助かってない!」
目の前にいる子どもが力の限り叫ぶ
「そんなことよりおまえ本物の雀天の人? だったらお願いだ! 組織に入れてくれ! 俺はもう弱いままじゃ嫌なんだ! この街全体を見下して歩きたい!」
馬鹿なことをいうガキだ
「いいか坊主 こっちの世界には来るな てめーの中の正義すらろくに貫きとおせないやつが入る場所じゃねぇ これで飯でも食ってどっか行け」
ガキに十分すぎるほどの金を渡す
「こんなに! 俺は金なんて要らない! 力が欲しいんだ!」
叫ぶガキを背にし俺は路地裏から出た
これでいい
こんな場所に来ないほうがいい
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